後遺障害11級認定の獲得手順~症状と弁護士に依頼した慰謝料相場~

後遺障害11級

後遺障害第11級の労働能力損失率は20%です。健常者の80%の労働力となりますが、外見上はそれほどではなく、被害者本人は苦しみを背負ってしまいます。弁護士に依頼し、適正かつ十分な慰謝料を得ることができるように、等級認定の申請手続きを進めましょう。

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交通事故による後遺障害の慰謝料を獲得するために

交通事故に遭って後遺障害が残ってしまった場合には、被害者は加害者に慰謝料を請求することができます。

そして後遺障害に対する慰謝料は、自動車損害賠償保障法(自賠責法)に定められている後遺障害の等級と、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準といった、請求方法による基準で決まってきます。

後遺障害と認められるために必要な条件は?

交通事故による後遺障害の認定を受けるためには、以下のような条件があり、これらの条件を満たし、なおかつ医師が発行する後遺障害診断書や資料などを添え、損害保険料率算出機構に後遺障害認定の申請を行う必要があります。

  • 交通事故の状況と、被害者が医師に申告する症状の程度が一致すること
  • 事故発生当初から医療機関へ定期的に通院していること
  • 事故発生当初から被害者が訴える症状が続いており、一貫性があること
  • 後遺障害の症状が重いと認められ、日常生活において症状が継続していること
  • 後遺障害の症状と矛盾のない画像診断や検査結果があること

後遺障害認定の申請においては、専門的な知識を持って書類の準備や資料の整理を行わなければならず、以上の条件が揃っていたとしても、申請時に不備があれば後遺障害の認定は難しいとされます。

そのため、交通事故の後遺障害認定に実績のある弁護士に依頼し、準備を万端にして認定が受けられるようにすることが望まれます。また、後遺障害の認定は申請書類と資料のみで審査されるという特徴があるため、弁護士などの交通事故に詳しい専門家の経験と実績を大いに活かすべきだと考えられます。

後遺障害第11級認定に該当する後遺障害は?

後遺障害の等級は、後遺障害の症状が最も重いものが第1級とされ、そこから軽くなるごとに級数の数が増え、最も軽い等級が第14級です。

本項で説明する後遺障害第11級は、労働能力損失率は第12級の14%に対し、第11級は20%と定められています。

交通事故に遭ってしまう前と同じ仕事や作業をする際、また外貌の変化などを考え合わせると、仕事内容によってかなりの不便を感じ、精神的に辛い状態に陥り、復帰できないケースも考えられます。

また、以下に説明する第11級10号の「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」に該当する症状は、外見上は健常者と変わらないものの、後に悪化する可能性もあり、逸失利益などの損害賠償請求において、適正で十分な損害賠償金を受けておきたいところです。

後遺障害第11級の認定条件となる後遺障害の症状

次に、どのような後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害第11級に相当するのかを見て行きましょう。

後遺障害第11級認定に必要な条件
1号

両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

2号

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

3号

一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

4号

十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

5号

両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

6号

一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

7号

脊柱に変形を残すもの

8号

一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

9号

一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

10号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

これらの条件に1つでも当てはまる症状があれば、後遺障害第11級認定が受けられます。

後遺障害11級と判断される具体的な症状は?

上記の認定条件を、それぞれ具体的に説明します。

1号)両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

交通事故によって、両方の眼球に著しい調節機能障害が残った場合、または運動障害が残った場合には後遺障害第11級が認定されます。

調節機能障害とは、遠くの物や近くの物を見た時にピントを合わせる機能に障害が起こることです。この機能が2分の1以下になった場合に「著しい調節機能障害」と定義されます。また、眼だけで物を追うことができる範囲を注視野と呼び、この注視野が2分の1になった場合に「著しい運動障害」と定義されます。

しかし、眼の調節機能は年齢と共に衰えるため、55歳を超える場合は後遺障害として認定されないことに注意が必要です。

2号)両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

交通事故によって両方の眼のまぶたに著しい運動障害が残った場合は、後遺障害第11級に認定されます。

具体的には、自分ではまぶたを開けているつもりでも十分に開かずに瞳孔が隠れたままの状態のもの、また自分ではまぶたを閉じているつもりでも実際には閉じられておらず、瞳孔や角膜が露出してしまう状態が「著しい運動障害」とされます。

3号)一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

交通事故によって片方の眼のまぶたを全部、もしくは大部分を失い、眼を閉じた時に眼を覆うことができない状態が残ると、後遺障害第11級と認定されます。

両方の眼のまぶたに著しい欠損が残るものは、より重篤な後遺障害とされ第9級となります。

4号)十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴とは、歯科医師による適切な治療を指します。交通事故により歯が失われたり欠けたりした場合に、差し歯を入れたりブリッジなどで義歯を付けたりした場合が該当します。事故発生後に歯科に行って適切な治療を受け日常生活に不便はなくても、後遺障害として認められます。

歯に対する後遺障害は、14歯以上に対し歯科補綴を行った場合の第10級、10歯以上で第11級、7歯以上で12級、5歯以上で13級、3歯以上で14級と、5段階に分かれています。等級認定において、より高い等級が認められるケースがあることに注意しましょう。

5号)両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

交通事故によって両方の耳の聴力が、1mの距離では小声を聞いて理解することができない場合、後遺障害第11級と認定されます。

具体的には、両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上と規定されています。もともと耳がよく聞こえない人だと、事故によって聴力が低下したと気付かない場合もあります。聴力は主観的な部分が大きいので、専門的な医師により治療や検査を受けるべきでしょう。

6号)一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

交通事故によって、片方の耳の聴力が、40cm以上の距離で普通の話し声を理解することができない状態を指します。

具体的には、片方の耳の平均純音聴力レベルが70~80dB未満で、かつ最高明瞭度が50%以下の場合です。上記の5号と同様に、病状固定を行う前に耳の調子がおかしいと思ったら、専門的な耳鼻科の医師による検査を受ける方が良いでしょう。

7号)脊柱に変形を残すもの

交通事故によって脊柱に大きな障害を受けて変形してしまった場合には、後遺障害第11級が認められます。一方、脊柱の変形により運動障害が起きている場合には第6級や第8級に等級が上がります。入念な専門医の診断を受けることが必要です。

具体的な認定基準は、レントゲンやCTなどで明らかに脊柱が潰れていることが確認できること、脊柱固定手術で人工関節を埋め込まれていること、3個以上の脊柱に椎弓切除術が施されていること、などが該当します。

8号)一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

交通事故によって片方の手の人差し指、中指、または薬指のどれか1本を失った場合、後遺障害第11級と認定されます。

指を失った状態とは、親指以外の第2関節より先を切断してしまった場合です。

9号)一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

交通事故によって片方の足の親指を含む2本以上の足の用を廃した時、後遺障害第11級が認定されます。

この場合の「用を廃した」とは、指の長さが半分以下になってしまった状態、親指の場合は第1関節、その他の指は第2関節より先の可動域が2分の1以下になった状態を指します。

10号)胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

交通事故によっておこる胸腹部臓器の損傷により後遺障害が残った場合で、労務に与える影響が最も少ない場合に後遺障害第11級が認定されます。

具体的には、心臓の人工弁置換術を受けた場合、肝損傷や急性肺動脈血栓症などの後遺障害が残った場合などが当てはまります。

後遺障害第11級認定を獲得するための重要なポイント

すべての等級において、後遺障害の認定を受けるために大切なことは、被害者が正確な申告を行い、事故当初から適切な治療と検査を受け続けていることです。

そして、事故直後に医師の診察を受けていないと、交通事故との因果関係がはっきりしないとされ、後遺障害証明書を作成してくれない場合があります。

急性期を除き、信頼の置ける医師による治療を受けるべき

後遺障害第11級の認定を申請するような交通事故による負傷は、事故直後に医師の治療を受けないということはないと思われます。

被害者は病院に行き治療を受けているはずですが、なかなか治癒せずに病院を転々とするなど、医師としっかりとした信頼関係が築けていないケースもあるでしょう。そうした場合には、その後遺障害が交通事故によるものなのか、あるいは他の事故やもともと持っていた症状なのか、医師にとっても判断がつかないこともあるでしょう。

事故直後、救急車で搬送されるなどして、急性期の治療に関して病院を選ぶことは難しいと思われますが、本格的な治療は、なるべく通いやすくて専門的な治療を施してくれる医師を選ぶべきでしょう。

後遺障害診断書は、等級認定において非常に重要

後遺障害の等級が認められるかどうかは、すべて書類による審査によって行われます。その際に最も重要になってくるのが後遺障害診断書だと言われています。

医師ならば誰でも後遺障害診断書は書けますが、より説得力のある、申請する等級をしっかりと意識したものが書けるかどうかは、医師の経験がモノを言います。

また、医師との信頼関係も重要です。真面目に治療に通い、それでも治癒せずに後遺障害が残ってしまい等級申請を行うとなれば、医師もなるべく認定が行われるように親身に書類を作成してくれるでしょう。

後遺障害が残ってしまい、被害者の心情的にはかなり辛いとは思いますが、医師に文句ばかり言い、治療も放棄するような人に、しっかりとした後遺障害診断書を作成してくれという望みは、おそらく叶えられないと思われます。

被害者と医師、一体となって負傷の治療を行い、後遺障害が残ってしまったら、適正かつ十分な慰謝料を得るべく、等級認定に向けて取り組めるような関係性をつくっておきましょう。

後遺障害第11級認定の申請を弁護士に依頼すると?

後遺障害認定の申請は、交通事故に遭う前には一般人であった被害者にとって、かなりハードルの高い作業になります。後遺障害第11級ともなると、慰謝料を含む損害賠償金額は高額となり、加害者側も被害者が出す条件をすんなりとは受け入れてくれません。

たとえ運よく等級認定が認められたとしても、その等級を基準として加害者が加入する保険会社が示してくる慰謝料の額は、後遺障害の慰謝料として得られるべき金額の最低ラインだという現実を知っておきましょう。

運悪く交通事故の被害者となってしまった場合には、最初から弁護士に示談や損害補償、慰謝料の交渉を依頼した方が良いと思われます。その理由は、被害者が得る慰謝料などの金額に表れています。

自賠責基準による後遺障害第11級の慰謝料は135万円

強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責)では、後遺障害第11級の慰謝料は135万円と定められています。これが、後遺障害第11級の適正な慰謝料金額を算出する際の最低水準だと考えてください。

また、任意保険基準の場合、保険会社は計算方法を明らかにしていませんが、一般的には自賠責基準より少し高く、下記の弁護士(裁判)基準よりはるかに低い水準です。被害者の後遺障害の状態によれば、自賠責基準と同額の金額を提示してくる保険会社もあると言われています。

弁護士(裁判)基準による、後遺障害第11級の慰謝料は420万円!

弁護士に加害者との示談交渉や等級認定申請の手続きを依頼すると、弁護士費用はかかりますが、得られる損害賠償金や慰謝料は、ほとんどの場合で大幅に増加します。

この弁護士(裁判)基準とは、先例や過去の裁判における判例を基準にして算出されたものです。そして、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)によると、弁護士(裁判)基準による第11級の後遺障害の慰謝料は420万円と記載されています。

これだけの差があれば、弁護士に依頼してもたいていのケースでは十分に費用はまかなえるものであるばかりか、この金額はいわゆる相場であるため、交通事故に強い優秀な弁護士の場合は、この水準以上の慰謝料を得ることができる可能性も出てくるでしょう。

交通事故の被害者が、弁護士の力を借りるべきもう一つの理由

交通事故の被害者となってしまった場合、示談交渉の相手は、たいていの場合には加害者が加入する保険会社の示談交渉担当員となります。

保険会社の示談交渉担当員というプロを相手に、一般人の被害者が有利な損害賠償の条件や慰謝料の金額を引き出すことは非常に難しいでしょう。交通事故の示談に関する知識がない被害者にとっては、必要書類の準備だけでも大変なのです。

交通事故の被害者は、一日でも早く治療を終え、後遺障害を抱えながらも会社や学校などの社会生活に戻りたいと思うのが普通でしょう。しかし等級認定手続きや交渉を被害者自身で行うとなると、身体的にも精神的にも日々の生活自体に苦労が伴うため、加害者側の保険会社とのやりとりには心底疲れてしまうことが考えられます。

また、交通事故に遭った直後に弁護士への依頼を始めるのが最も良いのですが、保険会社の提示する金額に納得がいかないという理由でも構いません。その時点からでも遅くはないので、弁護士の活用を考えてみましょう。

示談や後遺障害の等級申請は、弁護士に依頼するメリット大!

交通事故の後遺障害に対する慰謝料は、前述の通り、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準によって大きく変わり、等級が1つ変化すると金額も大きく変化します。弁護士に相談すれば、認定を得るためだけではなく、等級を上げるための申請方法も示してくれることもあります。

第11級の自賠責基準の慰謝料は135万円、弁護士(裁判)基準では420万円ですが、第12級しか認められないと、自賠責基準では100万円を超えず、弁護士(裁判)基準でも相場では300万円に満たない金額となります。

第11級に該当する後遺障害の症状は、社会復帰が困難とは言えないまでも、仕事に戻るまで時間がかかり、後遺障害を抱えたまま仕事をすることも、最初はかなり難しいことになると考えられます。

交通事故の被害者となり後遺障害が残ってしまった場合、そしてもし等級の認定や慰謝料に不満がある場合は、適正かつ十分な慰謝料を得られるように、弁護士に相談することをお勧めします。

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