後遺障害7級の主な症状と慰謝料相場を解説

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後遺障害7級

後遺障害等級第7級は視力や聴力、あるいは四肢の欠損や障害など13種類に分類されます。
中には神経障害や外貌醜状など客観的に判断が難しい症状も含まれ、医師次第で等級が変わりやすい等級とも言われています。

交通事故により後遺障害7級になると、国の基準では、労働能力が事故前の56%に下がるとされています。量的にも質的にも健常者であった時の約半分しか働けなくなれば、職場に復帰することは難しくなり、仮に復帰できたとしても事故前より収入が減ることは明らかです。

後遺障害による減収は、交通事故を原因とする逸失利益として加害者に請求することができます。事故による精神的ダメージを金銭に見積もった慰謝料を追加すれば、請求金額を上乗せすることも可能です。
慰謝料を確実かつ効率的に回収するには、専門家の力を借りるのが一番といえます。専門的な知識や経験も乏しい被害者自身がいくら頑張っても、慰謝料回収の十分な成果は期待できません。
交通事故で後遺障害7級になったら、交通事故に強い弁護士に依頼して、被害の実状に適った十分な慰謝料を手に入れましょう。

後遺障害7級の認定基準~該当する症状は?

後遺障害7級は、1号から13号までの13症状を内容とします。

自動車損害賠償責任保険(自賠責)から保険金が支払われる後遺障害は、「介護を要する後遺障害」が1級と2級に(自賠法施行令 別表第一)、通常の「後遺障害」は重い方から順に1級から14級にそれぞれ分かれていて、後遺障害7級は通常の「後遺障害」の重い方から7番目の等級です(同 別表第二)。

7級の13症状を一覧で示します(自賠法施行令 別表第二 第7級)。

後遺障害1級に該当する症状
1号 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2号 両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3号 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6号 一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの
7号 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8号 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
9号 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10号 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11号 両足の足指の全部の用を廃したもの
12号 外貌に著しい醜状を残すもの
13号 両側の睾丸を失ったもの

各症状について解説します。

1号)一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの

1号の症状は、片眼を失明すると同時に、他方の眼の視力が0.6以下になることです。

「失明」とは、次のいずれかをいいます。

  • 眼球を摘出した
  • 光の明暗が全く分からない
  • 光の明暗が辛うじて分かる

他眼の視力が0.6以下になる原因は、眼の屈折異常(角膜と水晶体で屈折した光が網膜でピントが合わないこと)がほとんどです。

その場合の視力は、裸眼視力でなく、メガネ・コンタクトレンズ・眼内レンズによる矯正視力を基準とします(自賠法施行令別表 備考一後段)。

斜視(眼の位置のずれ)など屈折異常によらない視力低下については、裸眼視力が基準です。

視力の測定は、万国式試視力表を用います(同表 備考一前段)。眼科でよく見かける、ランドルト環という黒い円の切れ目や、アラビア数字・カタカナ・ひらがなを読み取る表のことです。

2号)両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

2号は、両耳で聴いても、40㎝以上離れた相手の普通の話し声の内容を聴き取れない症状をいいます。

聴力検査で通常用いられる純音聴力検査(耳にヘッドホンを付けてオージオメータという器械から発せられる音を聴き取る検査)の数値でいうと、次のいずれかです。

  • 両耳で聴いても70デシベル以上の音でないと聴き取れない(両耳の平均純音聴力レベルが70デシベル以上)
  • 両耳で聴いても50デシベル以上の音でないと聴き取れず(両耳の平均純音聴力レベルが50デシベル以上)、しかも、「ア」「オ」などいくつかの言葉のうち50%以下の言葉しか聴き取れない(両耳の最高明瞭度(聞き分けることのできる音の種類の割合)が50%以下)

3号)一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

片耳の聴力を全く失うと同時に、他方の耳が1m以上離れた相手の普通の話し声の内容を聴き取れないのが3号の症状です。

具体的には、純音聴力検査の数値が次の両方に当てはまる状態をいいます。

  • 片耳が90デシベル以上の音でないと聴き取れない(片耳の平均純音聴力レベルが90デシベル以上。日常会話がほぼ聴こえないため、聴力を全く失ったものとみなされる。)
  • 他方の耳が60デシベル以上の音でないと聴き取れない(他方の耳の平均純音聴力レベルが60デシベル以上)

4号)神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

4号の症状は、神経系統の働きや精神に障害が残り、簡単で手軽な仕事しかできなくなることです。

4号の代表的な症状として、脳外傷による高次脳機能障害や上下肢の麻痺、脊髄の損傷による下肢の麻痺を挙げることができます。

「簡単で手軽な仕事しかできなく」なったかどうかの基準を症状別に見ると、次のとおりです。

  • 脳外傷による高次脳機能障害については、「仕事に就くことはできるが、作業手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどにより、普通の従業者と同じレベルの仕事をすることができない」
  • 脳外傷による上下肢の麻痺については、「軽度の片麻痺(左右いずれかの上下肢を動かしたり支えたりするのが多少難しい)」または「中等度の単麻痺(左右いずれかの上肢または下肢を動かしたり支えたりするのがかなり難しい)」
  • 脊髄損傷による下肢の麻痺については、「1下肢の中等度の単麻痺(左右いずれかの下肢を動かしたり支えたりするのがかなり難しい)」

4号の症状に対しては、神経内科・脳神経外科・リハビリテーション科の医師およびリハビリ職(理学療法士、作業療法士)が協力して診療に当たります。

5号)胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

5号では、胸部または腹部の臓器の働きに障害が残ることを症状としています。
主な具体的症状は、次のとおりです。

呼吸器に関する具体的症状

  • 動脈を流れる血液内の酸素の圧力が60トル(Torr 圧力の単位)を超え70トル以下で、しかも、炭酸ガス(二酸化炭素)の圧力が限界値範囲内(37トル以上43トル以下)にない
  • 呼吸について、%1秒量(深く息を吸って一気に吐き出した空気量のうち最初の1秒間で吐き出した量(1秒量)の割合を%で示したもの)が35以下、または%肺活量(年齢や性別から算出された予測肺活量に対する実測肺活量の割合を%で示したもの)が40以下で、中等度の呼吸困難(健常者と同じペースでは無理だが、自分のペースでなら1㎞程度の歩行ができる)が認められる
  • 呼吸について、%1秒量が35を超え55以下、または%肺活量が40を超え60以下で、高度(連続しておおむね100m以上歩けない)または中等度の呼吸困難が認められる

いずれも呼吸苦により身体活動が大きく制限される症状といえます。

循環器に関する具体的症状

  • 除細動器を植え込んでいる(ICD:植込み型除細動器)

心室細動や心室頻拍といった命にかかわる危険な不整脈が突然生じるリスクを常に抱えた状態であり、不整脈を誘発する行為が厳しく制限されます。

消化器に関する具体的症状

  • 胃の切除により、消化吸収障害(胃の全てを失ったなど)、ダンピング症候群(食後30分以内にめまいが生じるなど)、胃切除後逆流性食道炎(胸やけ・胸痛・嚥下困難など)の全てが認められる。
  • 人工肛門を造設し、パウチ(便を受け入れる袋)の装着ができる(人工肛門周囲のびらん(ただれ)によりパウチを装着できないと5級に該当)
  • 完全便失禁(肛門の括約筋が全く働かなくなり、溜まった便が絶えず肛門から出続けること。おむつ・リハビリパンツ・パッドの着用が欠かせなくなる。)

めまいや胸やけなどの不快な症状は、思うような活動を妨げるものです。パウチやおむつなどから漏れる便臭は、周囲との関りを難しくさせます。

泌尿器に関する具体的症状

  • 片方の腎臓を失い、残った腎臓の糸球体濾過値(GFR 腎臓のフィルター役である糸球体が1分間に血液を濾過して尿を作れる量)が30ml/分を超え50ml/分以下
  • 持続性尿失禁(膀胱の括約筋が全くまたはほとんど働かなくなり、膀胱に尿を溜めることができす、常に尿道から尿が出てしまう状態)がある
  • 切迫性尿失禁(尿意を感じてもトイレまで我慢できず漏れてしまう状態)のため、終日パッドなどを装着し、しばしば交換しなければならない

血液内に不純物が残りやすくなったり、尿臭によって他者との交流が妨げられたりといった好ましくない状況につながる症状です。

以上のように、5号の症状は呼吸器・循環器・消化器・泌尿器が中心となっています。

6号)一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの

片手の、親指を含む3本の指を失った、または親指以外の4本の指すべてを失ったのが6号の症状です。

「手指を失った」とは、親指では第1関節(指節間関節)、その他の指では第2関節(近位指節間関節)から先すべてがなくなった状態をいいます(自賠法施行令別表 備考二)。

指を失った手が利き手かどうか、右手か左手かは、6号の認定に影響しません。

片手の多くの指を失えば、物を掴むなど、基本的な身体動作がかなり制限され、生活や仕事に大きな影響を生じます。特に、自動車のハンドルを握れなくなれば、現代の車社会においてドライバーとしての損失は重大です。

7号)一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの

7号の症状は、片手の5本の指すべて、または親指を含む4本の指について、用を廃したことです。

「手指の用を廃した」とは、次のいずれかをいいます(自賠法施行令別表 備考三)。

  • 指の第1関節から先の骨(末節骨)の半分以上を失う
  • 指の付け根の関節(中手指節関節)に著しい運動障害を残す
  • 親指なら第1関節(指節間関節)、その他の指なら第2関節(近位指節間関節)に著しい運動障害を残す

「著しい運動障害」とは、関節の可動範囲が、障害のない方(健側)の手指の半分以下になることです。

6号と同様、用を廃した指の手が利き手かどうか、右手か左手かは、7級の認定に影響しません。

片手の指のほとんどが用を廃した状態になれば、手の働きがかなり制限され、生活や仕事などへの影響は必至です。特に、自動車のハンドルをしっかり握れなくなれば、ハンドル操作が思うようにいかず、再び交通事故に遭うおそれが高まります。

8号)一足をリスフラン関節以上で失ったもの

リスフラン関節は足骨の前後をつなぐ関節

リスフラン関節とは、足骨の前後、つまり5本の中足骨と足根骨とをつなぐ関節のことです。

足関節

中足骨(ちゅうそくこつ)とは、足の甲にある5本の細長い骨で、各指の骨につながっています。

足根骨(そっこんこつ)とは、土踏まずから踵までの間にある7つの骨(踵骨(しょうこつ)、距骨(きょこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、立法骨(りっぽうこつ)、内側・中間・外側の各楔状骨(けつじょうこつ))の総称です。

「リスフラン関節以上で失った」に当たる2つの症状

「リスフラン関節以上で失った」とは、次のいずれかをいいます。

  • リスフラン関節から先の足部分が無くなった
  • リスフラン関節を境に中足骨と足根骨とが切り離された

後者は、中足骨はあるものの、リスフラン関節から垂れ下がり、足の一部としての働きができず、リスフラン関節から先の足部分が無くなったに等しい状態といえます。

9号)一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

9号は、片側の上肢(腕)が骨折したままグラつきが残り、常に固定具をつけないと生活に支障が出る症状をいいます。

偽関節とは骨がくっ付かない状態のこと

偽関節とは、折れた骨がくっ付かずに体内でグラグラ動いている状態をいいます。くっ付かない部分がまるで関節のような状態になることから、偽の関節、つまり偽関節と呼ばれるわけです。

偽関節に対しては、骨折部分を固定し、適度な負荷をかけて骨がくっ付くのを促す治療が行われますが、「難治骨折」のひとつとされ、治りにくいのが実状といわれています。

9号認定の対象となる骨折部位

9号の偽関節といえるには、次のいずれかの部位に生ずることが必要です。
 上腕骨(肩関節から肘関節までの骨)の骨幹部(骨の中央部分)または骨幹端部(骨の端部分)
 橈骨(とうこつ。2本ある前腕骨のうち親指側の骨)および尺骨(しゃっこつ。2本ある前腕骨のうち小指側の骨)の両方の骨幹部または骨幹端部

「著しい運動障害」とは硬性補装具による常時固定が必要な状態

「著しい運動障害を残す」とは、硬性補装具(プラスチックや金属でできた患部を固定する用具)によって常に骨折箇所を固定しなければならない状態をいいます。
上腕骨など、人の活動に重要な役目を果たす骨が常時固定されると、生活活動がかなり制約されることは明らかです。

硬性補装具による上肢の常時固定が不要な偽関節は、8級8号に当たります。

10号)一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

片側の下肢(脚)の骨折がくっ付かないまま残り、常に固定具をつけないと生活に支障が出る症状は、10号に当たります。

「偽関節」「著しい運動障害」の意味は9号の場合と同じです。

10号認定の対象となる骨折部位

10号の偽関節といえるには、次のいずれかの部位に生ずることが必要です。
 大腿骨(股関節からひざ関節までの骨)の骨幹部または骨幹端部
 脛骨(けいこつ。膝関節から足首までの2本の骨のうち内側の骨)および腓骨(ひこつ。膝関節から足首までの2本の骨のうち外側の骨)両方の骨幹部または骨幹端部
 脛骨だけの骨幹部または骨幹端部

これらの部位の骨折により硬性補装具による常時固定が必要な場合に7級10号が認められます。

硬性補装具による下肢の常時固定が不要な偽関節は、8級9号に当たります。

11号)両足の足指の全部の用を廃したもの

「足指が用を廃した」とは、次のいずれかの状態をいいます(自賠法施行令別表 備考五)。
 親指であれば第1関節(指節間関節)から先の骨(末節骨)の半分以上を失い、その他の4指であれば第1関節(遠位指節間関節)から先すべてを失う
 足指の、付け根の関節(中足指節関節)または第1関節(指節間関節または遠位指節間関節)に著しい運動障害を残す

「著しい運動障害」とは、関節の可動範囲が、障害のない足指の半分以下になることです。

両足の指すべてがこうした状態になるのが11号の症状です。

足指は立ったり歩いたりするのに大事な働きをする部位なので、そのすべてが用を廃すると生活や仕事に大きな支障が生じます。

12号)外貌に著しい醜状を残すもの

「外貌」とは、頭・顔・首のように、上肢・下肢以外で日常露出する身体の部分をいいます。
「醜状」とは、交通事故の後に残る、見た目の悪い状態のことです。

「外貌に著しい醜状を残す」とは、次のいずれかの症状に該当し、人目に付く程度以上のものをいいます。

頭の外貌醜状が認められる症状

頭に残った、手のひら(手首から指の付け根までの範囲)の大きさ以上の瘢痕(怪我や火傷などで傷付けられた皮膚が修復された後に残る跡)、または手のひらの大きさ以上の頭蓋骨の欠損(人工頭蓋骨が入れられる)

顔の外貌醜状が認められる症状

顔に残った、鶏卵の大きさ以上の面積の瘢痕、または10円銅貨以上の大きさの組織陥没(くぼみ)

首の外貌醜状が認められる症状

首に残った、手のひらの大きさ以上の瘢痕

平成23年から外貌醜状の男女差は廃止

平成23年1月まで、交通事故被害者である女性の外貌醜状は、男性の外貌醜状より高い等級が与えられていましたが、外貌醜状による損害は男女で差がないことを理由に、同年2月より、男女の間での外貌醜状の等級の違いはなくなりました。

13号)両側の睾丸を失ったもの

男性が両方の睾丸(精巣)を失えば、もはや精子を作ることができず、生殖機能が完全に失われたことになります。このことは、男性にとって大きな損失であるため、自賠責保険からの保険金によってその損失を穴埋めするべきと考えられたわけです。

片方の睾丸を失えば相等級13号に

交通事故で片方の睾丸を失った場合、いずれの後遺障害等級にも該当しません。

ただ、性交をしても、両方の睾丸がある場合より精子の数が少なく、子どもができる確率が下がることから、13級11号(胸腹部臓器の機能に障害を残すもの)に「相当」するとして、「相等級13級11号」の認定を申請できます(自賠法施行令別表 備考六)。

7級該当の判断における注意点

交通事故により生じた症状が7級に当たるかどうかを判断する際、注意する点が2つあります。

7級の症状が複数の場合、併合5級となるケースも

等級の認定では、いずれかの等級に該当する症状が2つ以上ある場合、一番重い等級より上の等級が最終的な等級とされることがあります。等級の併合というシステムです(自賠法施行令2条1項3号ロハ二)。

7級の場合でいうと、たとえば、7級の症状が2つあれば、2級上の5級に認定され、併合
5級と呼ばれます。7級と6級の症状が1つずつある場合は、6級より2級上の併合4級で
す(同号ハ)。

併合級の保険金額は?

等級の併合がなされると、併合級に応じた保険金額を自賠責から受け取れることになりま
す。
たとえば、7級の症状が2つあると、併合級である5級の保険金額を受け取れるわけで
す。

併合級の慰謝料と逸失利益はどう決まる?

等級の併合があった場合、後遺障害への賠償のうち慰謝料については、併合級を基準に慰
謝料が決められます。

後遺障害へのもうひとつの賠償である逸失利益の決め手となる労働能力喪失率については、
併合級を基準とするもの、併合前の最も重い等級を基準とするもの、併合級を基準としつ
つ喪失率を減らす(下方修正する)ものなど、裁判例も分かれています。

症状が複数でも1つの後遺障害といえる場合は併合にはならない

いずれかの等級に該当する2つ以上の症状があっても、各症状が1つの後遺障害に伴うものであれば、等級の併合は行われません。後遺障害が1つである以上、認められる等級も1つであるべきだからです。

たとえば、1つの事故により、右下肢に著しい運動障害を伴う偽関節を残し(7級10号)、右下肢の長さが5㎝縮んだ(8級5号)としましょう。

この場合、通常の併合ルールによれば、7級より2級繰り上がって併合5級となるはずです
(自賠法施行令2条1項3号ハ)。

ただ、右下肢の短縮は右下肢に偽関節が生じたことに伴う症状に過ぎず、ここで認められる後遺障害は偽関節だけといえます。等級の併合は行われず、偽関節の7級だけとなるわけです。

医師によって7級該当の判断に差が出やすい症状もある

後遺障害の等級認定申請に際し、症状が7級に該当するかどうかを最初に判断するのは、後遺障害診断書を作成する医師です。

7級の13症状のうち、2号・3号(聴力)や6号(手指を失う)など、検査の数値や身体部位の外形だけで判断できるものは、医師によって7級該当の判断に差が出ることはまずありません。

これに対し、4号(神経精神の障害により軽易な労務以外に服することができない)や5号(胸腹部臓器の障害により軽易な労務以外に服することができない)など、検査の数値や身体部位の外形に加え、障害程度の評価(軽易な労務以外に服することができないかどうか)も必要となる症状については、障害程度の評価の面で医師により差が出てしまうことがあります。

後遺障害7級における高次脳機能障害の特殊性

交通事故で脳に損傷を受けて高次脳機能障害となり、7級4号の認定をもらうと、自賠責から保険金を受け取れることは前述のとおりです。

高次脳機能障害を理由に7級の認定を申請すると、他の症状で申請した場合と異なり、損害保険料率算定機構の「高次脳機能障害専門部会」という専門機関で認定審査が行われます。
このことは、7級の等級認定において、高次脳機能障害が他の症状とは異なる特別な症状であることを示すものといえるでしょう。

ここでは、後遺障害7級における高次脳機能障害の特殊性について、そのあらましを紹介します。

脳外傷による高次脳機能障害といえるための3要件

後遺障害7級における高次脳機能障害は、交通事故で脳外傷を負ったことにより生じたものでなくてはなりません。

脳外傷による高次脳機能障害といえるには、次の3要件が必要です。

脳外傷を示す画像診断など

第1に、頭部のエックス線(X-P)・CT・MRIの画像、脳波の波形記録に脳外傷が示されていなければなりません。

高次脳機能障害は、交通事故などによる外傷の他、脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血といった脳の病変によっても起きるからです。

認知障害を裏付ける神経学的所見

第2に、医師による神経学的検査において、認知障害ありとの所見が記載される必要があります。
認知障害は、高次脳機能障害の典型的症状だからです。

神経学的検査とは、国が定めた「神経学的検査チャート」を用い、患者への質問や観察を通じて、本人の精神神経状態を評価する検査をいいます。

この検査により、記憶・記銘(新しいことを覚える)・集中・遂行機能(自分で計画して物事を行う)・判断などの力が低下した認知障害の状態にあるとの医師の所見がチャート上に記載されなければなりません。

人格変化がうかがえる日常生活状況の記録

第3に、家族が記した日常生活状況の記録から、本人の人格変化がうかがえることが必要となります。
人格変化も高次脳機能障害を特徴付ける症状だからです。

人格変化とは、交通事故をきっかけに感情不安定・不機嫌・攻撃性・暴言や暴力・幼稚・羞恥心低下・多弁・自発性や活動性の低下、病的な嫉妬・被害妄想などが生じたことをいいます。

脳損傷による高次脳機能障害の要件充足は関係者の負担が大きい

これら3要件を整えるには、本人が医療機関でのいくつかの検査や家族からの日常観察を受けなければならず、交通事故で受傷した身には大きな負担です。
医療機関にとっても、検査・診断・所見に多くの時間と手間を費やすことになります。
家族からしても、毎日の生活記録作成は骨の折れることですし、検査代・診断書代などもばかになりません。

脳損傷による高次脳機能障害の要件を整えることは、本人はもとより、医療機関や家族などの関係者に大きな負担を強いることになります。

高次脳機能障害での後遺障害7級は認定されにくい

以上の3要件を満たしたうえで後遺障害7級の申請をしても、なかなか認められないのが実状といわれています。

7級認定のためには、脳損傷による高次脳機能障害があることの他に、「簡単で手軽な仕事しかできなくなった」ことが必要なのですが、「簡単で手軽な仕事しかできなくなった」かどうかの判断がとても難しいからです。

高次脳機能障害での等級判断は紙一重の差

先ほど7級4号の症状解説において、「簡単で手軽な仕事しかできなくなった」かどうかの判断基準として、「仕事に就くことはできるが、作業手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどにより、普通の従業者と同じレベルの仕事をすることができない」という基準を紹介しました。
ただ、実際の申請事案では、この基準をもってしても判断に苦しむのがほとんどです。

たとえば、同じく脳損傷による高次脳機能障害を内容とする9級10号では、就労能力について「通常の仕事ができる職種がかなり制限される」ことが要件とされています。
これは、7級の「普通の従業者と同じレベルの仕事をすることができない」という要件と紙一重の差といえるでしょう。

こうして、7級の申請をしても、低い等級の9級または12級、悪くすると非該当と認定される事態が生じてしまうわけです。

高次脳機能障害での等級認定に納得できなければ異議申立ての検討を

後遺障害7級と9級・12級とでは逸失利益や慰謝料の金額に大きな差が出ますし、非該当ではそうした賠償をまったく受けられなくなってしまいます。

7級の申請に対して9級・12級・非該当の認定がなされ、それに納得できなければ、交通事故に詳しい弁護士に相談して、損害保険料率算定機構への異議申立てを検討しましょう。

高次脳機能障害での後遺障害等級認定は特別機関で審査

高次脳機能障害を理由に後遺障害7級を申請すると、損害保険料率算定機構の特別機関で審査が行われます。

通常の後遺障害等級認定申請では、調査に当たるのは損害保険料率算定機構の職員です。
これに対し、高次脳機能障害での認定申請については、損害保険料率算定機構の中に設けられた「高次脳機能障害専門部会」において調査と審査が行われます。

この専門部会のメンバーは、脳外傷の専門医はもちろん、弁護士や交通法学者といった法律専門家も含まれているのが特徴です。

高次脳機能障害での後遺障害等級認定については、医学と法律の両面から検討が加えられて審査結果が決められる点が、他の後遺障害等級認定と異なる特徴といえるでしょう。

このような取り扱いは、高次脳機能障害という特殊な障害について、慰謝料などの補償を被害の実状に適ったものにするため、部会メンバーの医療と法律についての知識と経験を生かそうというねらいがあるものと思われます。

損害保険料率算定機構での審査の流れについては、同機構WEBサイトで詳しい紹介がされています。

参考リンク:損害保険料率算定機構WEBサイト「自動車保険の概況 2020年度版」PDFファイル 28p~30p

後遺障害7級の慰謝料の相場

自賠責基準による後遺障害7級の慰謝料相場

強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責)では、国の基準により、後遺障害7級の慰謝料は419万円(2020年3月31日までの事故は409万円)とされています。

これが後遺障害の慰謝料についての自賠責基準と呼ばれるものです。
自賠責基準は、賠償実務において、後遺障害による慰謝料額の最低ラインとして扱われています。

参考リンク:国土交通省WEBサイト「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準 第3の2(1)②」※PDFファイル

任意保険基準による後遺障害7級の慰謝料相場

後遺障害の慰謝料基準には、自賠責基準の他に、任意保険を扱う保険会社が個別に定める任意保険基準があります。

任意保険基準による慰謝料は、自賠責基準より少し高く、後述の弁護士基準(裁判基準)よりはるかに低い金額です。
被害者の後遺障害の状態次第では、自賠責基準と同額の金額を提示してくる保険会社もあるとさえいわれています。

これまで任意保険基準は保険会社の内部情報として公にされてきませんでしたが、最近は任意保険基準をWEB上で公開している保険会社もあります。

たとえば、損害保険ジャパン株式会社が定める後遺障害の慰謝料基準は、次の表のとおりです。

後遺障害者等級 父母・配偶者・子のいずれかがいる場合 左記以外
第1級 1,850万円 1,650万円
第2級 1,500万円 1,250万円
第3級 1,300万円 1,000万円
第4級 900万円
第5級 700万円
第6級 600万円
第7級 500万円
第8級 400万円
第9級 300万円
第10級 200万円
第11級 150万円
第12級 100万円
第13級 70万円
第14級 40万円

損害保険ジャパン株式会社WEBサイト「WEB約款」より転載)

7級の慰謝料は500万円で、自賠責基準の419万円より少し高く、次に紹介する弁護士基準(裁判基準)よりずっと安くなっています。

弁護士基準(裁判基準)による後遺障害7級の慰謝料相場

交通事故の被害者となったとき、弁護士に加害者との慰謝料交渉を依頼すると、弁護士費用はかかりますが、もらえる慰謝料は通常、大幅に増加します。弁護士は弁護士基準(裁判基準)を基に慰謝料交渉を行うからです。

弁護士基準(裁判基準)とは、慰謝料の金額を判示した裁判例を基に算出された慰謝料額の目安のことです。弁護士が示談交渉や裁判において求める慰謝料の基準とすることから、このように呼ばれています。

弁護士基準(裁判基準)は、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)に掲載されています。
この「赤い本」によれば、弁護士基準(裁判基準)による後遺障害7級の慰謝料は1,000万円です。

後遺障害7級の慰謝料相場を3つの基準で比較
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
419万円 500万円 1,000万円

弁護士への依頼により慰謝料アップの期待大

慰謝料交渉を弁護士に依頼したときとそうでないときとでは、もらえる慰謝料の額が倍以上の差があることがわかります。
これだけの差があれば、もらった慰謝料の中から弁護士費用を賄うことも十分に可能といえるでしょう。

これまで弁護士への依頼というと敷居の高いイメージがありましたが、最近の弁護士事務所の中には、一般の人に分かりやすく弁護士費用の中身を明示したり、初回相談を無料で行ったりする所もあり、一般の人にとって弁護士への敷居は低くなりつつあります。

また、弁護士基準(裁判基準)による1,000万円という金額はいわゆる相場(通常の目安)であるため、交通事故に強い優秀な弁護士に依頼すれば、この金額以上の慰謝料をもらえる可能性も出てくるでしょう。

後遺障害7級の逸失利益の計算方法

高次脳機能障害など7級の後遺障害が残ると働くことが難しくなり、収入が減ってしまいます。こうした収入の減少は、事故に遭わなければ得られたであろう利益(逸失利益)として、加害者に請求することが可能です。

後遺障害による逸失利益は、平成13年に国が定めた「支払基準」により、次の式で計算することとされています。

“収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数“

参考リンク:国土交通省WEBサイト「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準 第3の1」※PDFファイル

後遺障害7級の逸失利益の労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、高次脳機能障害などの後遺障害の影響により本来の仕事ができなくなるであろう将来の期間のことです。就労可能年数ともいわれます。

労働能力喪失期間は、支払基準の別表において、後遺障害等級が確定した時の年齢だけを基に決められていて、等級がいくつかは問われていません。

参考リンク:国土交通省WEBサイト「就労可能年数とライプニッツ係数表」※PDFファイル

高次脳機能障害になった人の労働能力喪失率の決め方

支払基準の別表によれば、7級の労働能力喪失率は56%です。労働能力が、健常者だった事故前の約半分になったことを意味します。

交通事故で高次脳機能障害になった人の逸失利益の計算式も、他の後遺障害の場合と変わりません。
上記でご紹介したとおり、収入、労働能力喪失率、ライプニッツ係数を基に算出されます。

ただ、労働能力喪失率については、記事の初めにお話した高次脳機能障害の症状の特徴から、支払基準別表に定められた56%を基本にしつつ、次の4点を考慮のうえ、実際の労働能力喪失率を決めるのが賠償実務の扱いです。

  • 事故前にはできていたが事故後にできなくなった仕事の内容
  • 復帰した職場でのトラブル
  • 他人の指導や援助がないとできない仕事
  • 日常生活における支障

これらは、高次脳機能障害の4大症状である記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害を労働の面にあてはめたものといえるでしょう。

裁判例に見る後遺障害7級の逸失利益

後遺障害7級の逸失利益をめぐって被害者と加害者の間で争いとなり、裁判に持ち込まれた場合、裁判所はどのような判断をしているのかを見ていきましょう。

裁判では支払基準によらない逸失利益の算定も可能

判例は、交通事故による逸失利益をめぐる裁判において、裁判所は、国が定めた支払基準に縛られることなく、労働能力の喪失率や喪失期間を認定できるとしています(最高裁判決平成18年3月30日)。

個々の争いにふさわしい具体的な解決をすることが裁判の目的であり、逸失利益の算定についても、支払基準といった一律の基準によるのでなく、各ケースの実状に適った算定をすることが、具体的解決という裁判の目的を果たすことになるからです。

裁判において被害者は、支払基準を超える労働能力の喪失率や喪失期間を主張し、それを基に算定された逸失利益を加害者側に求めることができます。

7級(高次脳機能障害を除く)の逸失利益が争われた裁判例

実際に、7級の逸失利益が争われた裁判例を見てみましょう。

7級の中でも特殊な症状である高次脳機能障害についての裁判例は後ほど紹介することにして、まずそれ以外で7級の逸失利益が争われた裁判例を紹介します。

後遺障害7級の逸失利益に関する裁判例(高次脳機能障害を除く)
判決年月日 年齢・性別 障害部位(号) 労働能力喪失率 労働能力喪失期間 特徴
①東京地裁 平成20年6月30日 39歳 男 転換性障害による右下肢不全麻痺(7級相当) 56%(56%) 10年(28年) 転換性障害(ストレスなどの心理的な原因が身体の症状に転換されて現れたもの)としての右下肢不全麻痺であり、脳損傷による麻痺に比べて早めの改善が見込めることから、労働能力喪失期間が支払基準より短く認定された。
②名古屋地裁 平成22年4月23日 41歳 男 脊髄損傷による巧緻運動(箸・文字書き・ボタン留のめなどの細かい作業)や歩行の障害 50%(56%) 26年(26年) 原告(事故被害者)が副業収入のあることから、支払基準より低い喪失率とされた。
③大阪地裁 平成21年7月30日 20歳 女 腰髄損傷および下肢反射性交感神経性ジストロフィー(RSD 外傷治癒後も痛みやしびれが続く症状) 不明 不明 事故後も給与の支払いを受けて減収がないことから、裁判所は逸失利益を認めなかった。
④大阪地裁 平成20年10月14日 72歳 女 右ひざ関節が用を廃する(8級7号)右下肢が1㎝短縮(13級8号)
(併合7級)
45%(56%) 8年(8年) 被害者が事務職であり、膝や下肢の障害が業務に及ぼす影響がさほど高くないことから、併合級でなく、併合前の最も等級の高い8級の労働能力喪失率を用いたものと推測される。
⑤名古屋地裁 平成22年12月8日 20歳 女 顔の外貌醜状 20%(56%) 47年(47年) 労働能力喪失率が支払基準より低いのは、大学生で未就労のためと思われる。
⑥東京地裁 平成20年7月22日 27歳 女 頭の外貌醜状 10%(56%) 10年(40年) 帽子や髪の毛で隠せば旅行会社添乗員の業務に大きな支障がないため、支払基準より大幅に低い労働能力喪失の率や期間としたものと考えられる。
⑦名古屋地裁 平成21年8月28日 22歳 女 顔の外貌醜状 56 %(56%) 45年(45年) ホステスの命ともいえる顔に外傷性瘢痕が残ったため、支払基準どおりの認定となった。
⑧さいたま地裁 平成21年6月24日 59歳 男 第4腰椎圧迫骨折による、左の膝と股関節の障害、左下肢短縮、脊椎の変形、骨盤骨の変形、右大腿部痛
(併合7級)
29% (56%) 10年(13年) 労働能力喪失率29%は、併合7級の喪失率56%から損害保険料率算定機構が当初認定した10級の喪失率27%を差し引いた数字。併合級の喪失率を下方修正したものといえる。
⑨京都地裁 平成23年8月9日 49歳 男 右大腿骨偽関節、左肩関節と左足関節の障害、左腓骨の変形
(併合7級)
56%(56%) 18年(18年) 併合級の労働能力喪失率について、併合級そのものを基準にした。
⑩神戸地裁 平成20年8月29日 60歳 男 左足の関節と指の障害、左膝関節痛
(併合7級)
56%(56%) 10年(12年) 左足の関節と指、左膝の各障害が職人として働くための致命傷とまではいえないことから、支払基準での労働能力喪失期間12年をわずかに下回る期間にしたものと思われる。
⑪大阪地裁 平成22年5月12日 40歳 男 人工肛門造設後、パウチ内の小腸液を頻回に捨てなくてはならず、脱水予防のため多量の水分摂取も必要 56%(56%) 27年(27年) 人工肛門造設後のパウチ処理などに手間を要することから、支払基準どおりの労働能力喪失の率と期間を認めた。

※( )内は支払基準での数値

高次脳機能障害以外の裁判例は判例に沿うものが主流

11の裁判例のうち、⑦⑨⑪以外は、支払基準と異なる労働能力喪失の期間や率を認定しています。

高次脳機能障害を除く7級の逸失利益をめぐる裁判では、前述の判例(最高裁判決平成18年3月30日)に沿った判断が主流であることを示すものといえるでしょう。

7級のうち高次脳機能障害の逸失利益に関する裁判例

高次脳機能障害による7級の逸失利益が争われた裁判例を紹介します。

高次脳機能障害による後遺障害7級の逸失利益に関する裁判例
判決年月日 年齢・性別 障害部位(号) 労働能力喪失率 労働能力喪失期間 特徴
①大阪地裁 平成22年8月27日 25歳 男 意識障害を伴う頭部外傷(7級相当) 56%(56%) 42年(42年) 支払基準どおりの認定。
②東京地裁 平成23年6月22日 11歳 女 頭蓋骨骨折・急性硬膜外血腫 56%(56%) 49年(49年) 支払基準どおりの認定。
③東京地裁 平成20年6月17日 64歳 男 外傷性脳挫傷と硬膜下血腫で7級4号/嗅覚脱失(完全喪失)で12級相当
(併合6級)
56%(併合級67%) 9年(11年) 併合級でなく、併合前の最も等級の高い7級の労働能力喪失率を用いた。
④名古屋地裁 平成22年3月19日 35歳 男 記銘力・注意力集中力・知的能力・状況判断力・類推力・想像力・思考力の低下(7級4号)左右上下視の複視(13級2号)
(併合6級)
90%(併合級67%) 32年(32年) 大学教授という職において高次脳機能障害に陥ることは致命的な障害になることから90%という高い労働能力喪失率を認めた。
⑤名古屋地裁 平成22年11月15日 9歳 男 脳外傷による高次脳機能障害(7級4号)・眼球障害(9級相当)・外貌醜状(9級相当)
(併合6級)
67%(併合級67%) 58年(49年) 併合級の労働能力喪失率について、併合級そのものを基準にした。
⑥東京地裁 平成20年5月12日 37歳 女 脳外傷による高次脳機能障害(7級4号)・右膝関節の機能障害(12級7号)・咀嚼障害(12級相当)・外貌醜状(12級14号)
(併合6号)
67%(併合級67%) 30年(30年) 併合級の労働能力喪失率について、併合級そのものを基準にした。
⑦大阪地裁 平成23年3月11日 33歳 女 脳挫傷と外傷性くも膜下出血による高次脳機能障害(7級4号)・貌醜状(7級12号)・下肢醜状(14級5号)
(併合5級)
60 %(併合級79%) 34年(34年) 併合級の労働能力喪失率79%に併合前の最高級の喪失率56%を加味して下方修正したものと推測できる。
⑧東京地裁 平成22年5月13日 50歳 男 脳外傷による高次脳機能障害(7級4号)・両眼半盲症(9級3号)・右顔面の外貌醜状(12級3号)
(併合6級)
67%(併合級67%) 17年(17年) 併合級の労働能力喪失率について、併合級そのものを基準にした。

高次脳機能障害では併合級になるものが多い

裁判例を見る限り、高次脳機能障害の等級認定では併合級になるものが多いことが分かります。

高次脳機能障害の症状は、記憶力などの認知障害と感情不安定などの人格変化といった精神面の障害が中心である一方、麻痺・起立や歩行の不安定・構語障害(構音障害ともいう。呂律が回らない状態。)など身体面の障害を伴うことも多いのが特徴です。

こうした高次脳機能障害に伴う身体面の障害が後遺障害等級の独自の等級に該当することが、併合級になることが多い理由かと思われます。

後遺障害7級で障害者手帳はもらえる?

身体障害者手帳には医療費の助成、所得税・住民税の減額、鉄道やバスといった公共交通機関の運賃割引などいくつかのメリットがあるため、後遺障害7級の認定を受けたら身体障害者手帳ももらいたいところです。

後遺障害7級で身障者手帳を取得できる場合がある

身障者手帳を取得するには、身体障害者障害程度等級表(障害等級)6級以上に該当することが必要です。

後遺障害7級の症状の中には、障害等級6級以上に該当し、身障者手帳を取得できるものがあります。
たとえば、次の3症状です。

後遺障害7級1号は視覚障害6級に相当

交通事故で片眼を失明し、他眼の視力が0.2を超え0.6以下になれば、後遺障害7級1号に該当すると同時に視覚障害6級にも該当するため、身障者手帳を取得できます。

後遺障害7級2号は聴覚障害6級1号に相当

交通事故によって両耳の平均純音聴力レベルが70デシベル以上(両耳で聴いても40㎝以上離れた相手の普通の話し声の内容が分からない状態)になると、後遺障害7級2号と聴覚障害6級1号の両方に該当するので、身障者手帳交付の対象です。

後遺障害7級8号は肢体不自由の下肢6級1号に相当

交通事故により片足のリスフラン関節から先を失うと後遺障害7級8号に該当し、同時に肢体不自由の下肢6級1号にも該当するため、身障者手帳をもらうことができます。

自分の症状を障害等級表に照らし合わせて身障者手帳取得の検討を

後遺障害7級すべての症状が必ずしも障害等級6級以上に該当するとは限りません。

ただ、前述の3例のように障害等級6級以上に該当するものもありますので、後遺障害7級をもらったら、障害等級6級以上の症状に当てはまらないかどうか検討してみましょう。

身体障害者障害程度等級表(障害等級)は、厚生労働省のWEBサイトで公開されています。

参考リンク:厚生労働省WEBサイト 「身体障害者手帳の概要 等級表」※PDFファイル

障害等級7級でも身障者手帳をもらえる特例がある

障害等級7級の症状がひとつだけでは身障者手帳をもらえないのが原則です。

ただ、障害等級7級の症状が2つ以上ある(たとえば、右上肢7級と右下肢7級)、あるいは障害等級7級の症状と6級以上の症状とがある(たとえば、右上肢7級と右下肢4級)場合、特例により、6級として扱われ、身障者手帳をもらえることになっています(身体障害者障害程度等級表 備考1~3)。

自分の症状が障害等級6級以上に該当しなくても、こうした特例に該当しないか検討し、身障者手帳をもらえる可能性を探ってみましょう。

身障者手帳取得の判断に迷ったら弁護士に相談を

とはいえ、身障者手帳の取得に初めて取り組む人にとって、障害等級表の見方などが分からず、どのように判断したよいか迷うのが普通です。

そんなときは、障害者制度に詳しい弁護士に相談して、身障者手帳をもらえるよう力を貸してもらいましょう。

労災の場合、後遺障害7級でいくらもらえる?

後遺障害7級認定のもととなった交通事故が被害者の就業中または通勤途中に起きた場合、自賠責保険の対象になると同時に、業務災害または通勤災害(併せて労働災害)として、労働者災害補償保険(労災保険)の対象にもなります(労災法7条1項 1号・2号)。

交通事故についての労災保険と自賠責保険の関係については、自賠責保険による補償を先に受けるのが原則です(自賠責先行の原則。厚生労働省通達 昭和41年12月16日基発第1305号)。

一方で、被害者が希望すれば、例外的に、労災保険による補償を先に受けられるともされています(厚生労働省通達 平成17年2月1日基発第0201009号)。

ここでは、交通事故の被害者が労災保険から補償を受ける場合について、その補償内容について見ていきましょう。

後遺障害7級でもらえる労災補償は3種類

後遺障害の等級認定は労災保険の障害等級認定と同じ基準で行われることから(自賠責保険等の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示1号)の第3)、後遺障害7級と労災障害7級の症状はまったく同じ内容です(労災保険法施行規則 別表第一)。

後遺障害7級の認定を受けた人が労災保険を使うと、労災障害7級の補償を受けられることになります。

労災障害7級の補償内容は、次の表のとおりです。

名目 金額 根拠規定
障害補償年金(業務災害)
障害年金(通勤災害)
1年間につき、給付基礎日額×131日分 労災法15条・22条の3
別表第一
障害特別年金 1年間につき、算定基礎日額×131日分 労災特別支給金支給規則7条
別表第二
障害特別支給金 159万円 労災特別支給金支給規則4条
別表第一

給付基礎日額とは、事故前3か月間の賃金総額を暦日数で割った1日当たりの賃金額です(労災法8条1項)。

算定基礎日額とは、事故前1年間に支払われた特別給与(ボーナスなど、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金)の総額(算定基礎年額)を365日で割った額をいいます(労災特別支給金支給規則6条6項)。

障害補償年金または障害年金、障害特別年金は、1年分が偶数月に2か月分ずつ支払われるのに対し、障害特別支給金は、全額を1回で支払う一時金払いです。

障害特別年金と障害特別支給金の目的は社会復帰の促進

障害補償年金または障害年金が労災によって労働能力が低下することによる減収分を補うものであるのに対し、障害特別年金と障害特別支給金は福祉的な観点から被害者の社会復帰を促すためのお金という違いがあります。

交通事故による慰謝料は労災補償の対象外

労災補償は、労災を被った人の収入の穴埋めと社会復帰の促進を目指すものであるため、交通事故による精神的ダメージへの賠償である慰謝料は労災保険から支払われません。
慰謝料は、精神的ダメージを与えた加害者側に請求することになります。

後遺障害7級認定を獲得するための重要なポイント

交通事故の被害者が後遺障害7級の認定を受けるには、事故直後から、医師に症状を正しく申告し、症状にふさわしい診療を受け続けることが必要です。

また、完治するしないに関わらず真面目に治療に取り組み、社会生活に復帰する努力を続ける姿勢を医師に示すことも大切になってきます。

後遺障害診断書は、等級認定において非常に重要

後遺障害の等級認定審査は何種類かの書類に基づいて行われますが、特に重要なのが医師の作成する後遺障害診断書です。

後遺障害の知識と経験豊かな医師を主治医に

等級認定の審査に通り、7級をもらえるだけの診断書となるかどうかは、作成する医師が後遺障害についての知識と経験をどの程度持っているかが決め手になります。

医師を選べるのであれば、こうした知識と経験の豊かな医師に診てもらうようにしましょう。

協力的な診療態度で7級該当の判断を引き出そう

後遺障害7級の認定を申請できるのは、1号から13号までの13症状です。
医師が7級申請のための後遺障害診断書を書くには、本人の症状が7級に該当するという医師の判断が前提となります。

視力や聴力の低下、手足の指を失ったり関節の可動範囲が狭まったりといった症状は、検査の数値や身体部位の形を見るだけで判断できるため、医師により診断がマチマチになることはまずありません。

一方、神経系統や精神の障害、外貌醜状といった症状は、検査の数値や身体部位の外形に加え、「服すことのできる労務の程度」「麻痺の軽度または中等度」「人目に付く程度」といった評価も必要となるため、医師により診断がマチマチになることも考えられます。

医師の気持ちを7級に該当するとの判断に持ってために患者側がするべきことは、症状を正しく申告して指示どおりに通院するといった真剣な診療態度、本人の日頃の状態を正しく具体的に医師に報告する家族の協力的態度を示すことにほかなりません。

それでも担当医が障害程度の評価に厳しく、後遺障害診断書の作成に消極的だったら、交通事故に詳しい弁護士に相談し、医師に診断書作成を働きかけてもらうのがよいでしょう。

真面目に診療に通って医師との関係を良好に

7級の審査に通るだけの診断書を書こうという気持ちを医師に持たせることも重要です。

そのためにも、医師の指示どおりに真面目に診療に通いましょう。
真面目に通ったにもかかわらず後遺障害が残ってしまったとなれば、医師としても、審査に通る診断書を書いてあげようという気持ちになるはずです。

後遺障害が残ることは、本人にとってとても辛いことです。
だからといって、医師の診療の仕方に文句を言ったり、指示どおり診療に通おうとしない患者に対して、審査に通る診断書を書いてあげようと思う医師は、よほど情け深い人でない限り、まずいないと考えてよいでしょう。

後遺障害等級の認定率は、約5%という狭き門です。
しかも認定審査で占める後遺障害診断書の重要性を考えれば、医師との良好な関係を保てるかどうかが認定を左右するといっても過言ではありません。

高次脳機能障害で後遺障害認定を受けるためのポイント

高次脳機能障害を理由に後遺障害7級をもらうには、次の3点が大切です。

脳外科でMRI検査を受ける

1つ目は、必ず脳外科でMRI検査を受けてください。

画像検査のうち、脳の細かな所まで確認できる精度は、高い順にMRI>CT>レントゲンの順です。
高次脳機能障害は脳が物理的に変化して起きることから(脳の器質的病変)、7級の審査に通るには、その病変を目に見える形で示す画像が必要となります。
脳のわずかな病変もできるだけ逃さずに捉えるには、最も精度の高いMRI画像を用いるのが一番といえるわけです。

しかも、MRIから脳の病変をしっかりと読み取れるのは、脳外科の医師にほかなりません。

診療医に意見書を書いてもらう

2つ目は、診療した医師に意見書を書いてもらうことを忘れないようにしましょう。

高次脳機能障害の等級申請では、後遺障害診断書のほかに、「脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書」という書類を提出しなければなりません。
この意見書の中でも、「高次脳機能障害」の欄の4つの能力(意思疎通、問題解決、持続力・持久力、社会行動)、および特筆すべき事項を正しく、しっかりと書いてもらうことが特に重要です。

そのためにも、医師の指示通りに診療に通って、真面目な患者だと好感を持ってもらうことが、等級申請に通る意見書を書いてもらうための第一歩といえるでしょう。

意見書の様式は、厚生労働省のWEBサイトにPDFファイルで公開されています

参考リンク:脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書 様式1 ※PDFファイル

家族が書く報告書を提出する

3つ目は、家族が、「日常生活状況報告表」という本人の日常生活についての報告書を書いて提出することです。

高次脳機能障害では、様々な症状や能力低下が生じます。これらを一番詳しく把握できるのは、限られた時間内で診察する医師よりも、生活を共にする家族なのです。

「日常生活状況報告表」は、54項目の質問に三択で答える形式になっています。本人の日常で最も多く見られる状態を選んで記入してください。

報告書の様式は、厚生労働省のWEBサイトにPDFファイルで公開されています

参考リンク:日常生活状況報告表 様式2

外貌醜状の面接調査には弁護士の同行を

外貌醜状の面接調査には、できれば弁護士に同行してもらいましょう。

外貌醜状の後遺障害認定では面接調査が行われる

外貌醜状を理由に7級の申請をすると、損害保険料率算出機構の下部組織として全国にある最寄りの自賠責損害調査事務所において面接調査が行われます。
後遺障害認定は書面によるのが通常ですが、外貌醜状の場合、文書や写真だけでなく、その実際の状態を担当者が直接確かめる必要があるからです。

7級の外貌醜状である、頭の瘢痕や頭蓋骨の欠損、顔の瘢痕やくぼみ、首の瘢痕を調査担当者がスケールなどで大きさを測ったり、くぼみの状態をじっくり観察したりするわけです。

弁護士の同行により外貌醜状の面接調査も安心なものに

こうしたことは、相手が調査事務所の職員とはいえ、本人にとってとても辛く恥ずかしい時間にほかなりません。

「外貌」の意味する「人目につく程度」かどうかについても、本人と担当者とで捉え方が食い違う可能性があります。本人からすれば「人目について恥ずかしい」という思いがあっても、担当者から見れば「人目につく程ではない」と感じることもあるからです。

そんなときに弁護士が同行してくれれば、「法律のプロと一緒」という心強さ、醜状の測定など担当者の調査の仕方を監視してもらえる安心感、担当者が主観に走らないよう適度なコメントを入れてくれる頼もしさを感じられることでしょう。

関節の可動範囲は自賠責保険の基準に則って測定を

交通事故により、片手の5指または親指を含む4指、あるいは両足指すべてについて、関節の可動範囲が健常状態の半分以下になれば、7級7号または11号に当たります。

自賠責保険が基準とする関節可動範囲の測定方法は、「関節可動域表示ならびに測定法」(1995年 日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会の共同作成)です。
この測定法によらない関節可動範囲の測定は、被害の実態にそぐわない等級認定につながり、7級をもらえなくなるおそれもあります。
実際、この測定法と異なる測定の仕方による数値を診断書に記載する医師がいるという指摘がなされていることも事実です。

被害の実態に適った認定をもらうには、医師に「関節可動域表示ならびに測定法」に則った関節可動範囲の測定をお願いすることが大事になります。
医師との日頃の関係を良好なものにしておけば、こうしたことをお願いしやすくもなるでしょう。

後遺障害7級認定の申請を弁護士に依頼すると?

後遺障害7級認定の申請を、被害者だけで行ったときと、弁護士に依頼したときとでは、どんな違いがあるのでしょうか。 

被害者が療養や社会復帰の準備に専念できる

7級の申請をしようと思っても、普段こうした手続に関わったことのない被害者にすれば、何から始めてよいのか分からなかったり、初めて耳にする書類を集めなくてはならなかったりと、大きな負担そのものです。

申請を交通事故に詳しい弁護士に依頼すれば、必要な手続をすべて行ってもらえます。
被害者は、申請手続の負担から解放され、自分自身の療養や社会復帰の準備に専念することができるのです。

より高額の慰謝料を手にすることができる

幸いに申請が通って後遺障害7級をもらえたとしても、慰謝料をなるべくたくさんもらいたいと考える被害者側が示す金額を、できるだけ安く抑えたいと思う加害者側がすんなり受け入れることは、まずないでしょう。

むしろ、7級の慰謝料額として加害者側の保険会社が示してくる額は、自賠責基準による最低ラインの金額であることが普通です。

慰謝料の請求を弁護士に依頼すれば、弁護士基準(裁判基準)による慰謝料額を基準に交渉してくれるので、自賠責基準よりはるかに高い慰謝料をもらえることが期待できます。

示談交渉において有利な条件を引き出すことができる

被害者自身と弁護士の違いは、示談の交渉力にも現れます。

交通事故の被害者が臨む示談交渉の相手は、加害者が加入する保険会社の担当員であるのが普通です。
保険会社で経験を積んだ示談交渉のプロを相手に、交渉に不慣れで、交通事故の賠償額相場さえ知らない被害者が自分に有利な条件を引き出すことは、不可能に近いといってよいでしょう。

そんなとき被害者の力強い味方になってくれるのが、弁護士です。
交通事故についての法律知識と実務経験に富んだ専門職として、加害者側の保険会社との示談交渉の場でその才を十分に発揮してくれるでしょう。
それは被害者に有利な条件を引き出すことへとつながっていくのです。

まとめ

ここまで見てきたとおり、後遺障害7級の申請や示談交渉を弁護士に依頼することで、被害者の負担が軽くなると同時に、より高額の慰謝料を手にすることができます。これは弁護士に依頼する大きなメリットです。

弁護士に依頼するタイミングは、交通事故に遭った直後がベストですが、示談交渉で加害者側から示された金額に納得がいかないと思った時でも遅くはありません。

運悪く交通事故の被害者になってしまったら、後遺障害等級認定や示談を有利に進めるため、弁護士の活用をぜひ考えてみましょう。

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