後遺障害9級認定の獲得手順~症状と弁護士に依頼した慰謝料相場~

後遺障害9級

後遺障害第9級の症状は、仕事や学校という元の社会生活に戻ることが難しいものもあります。また、高次脳機能障害や精神障害、頭痛など、一見交通事故とは関係ないと思われる症状も含まれます。弁護士の力を借りて、確実に損害賠償を受けるようにしましょう。

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交通事故による後遺障害の慰謝料を獲得するために

交通事故の被害者となってしまい、負傷の治療をしても完治せずに後遺障害が残ってしまった場合、被害者は加害者に慰謝料を請求することが可能です。

そして後遺障害に対する慰謝料は、自動車損害賠償保障法(自賠責法)に定められている後遺障害の等級と、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準といった、請求方法による基準で決まってきます。

後遺障害と認められるために必要な条件は?

後遺障害の慰謝料を加害者に請求するためには、後遺障害の等級認定を受けなければなりません。後遺障害を背負わされた被害者の苦しみを金額に変えることはできませんが、損害賠償の手続きを円滑に進めるための制度と言っても良いかもしれません。

認定を受けるためには、以下のような条件があり、これらの条件を満たし、なおかつ医師が発行する後遺障害診断書や資料などを添え、損害保険料率算出機構に後遺障害認定の申請を行います。

  • 交通事故の状況と、被害者が医師に申告する症状の程度が一致すること
  • 事故発生当初から医療機関へ定期的に通院していること
  • 事故発生当初から被害者が訴える症状が続いており、一貫性があること
  • 後遺障害の症状が重いと認められ、日常生活において症状が継続していること
  • 後遺障害の症状と矛盾のない画像診断や検査結果があること

後遺障害第9級の認定を受けようとする状態であれば、事故直後に医師の診察を受けていないことはないでしょうし、定期的に通院せざるを得ないと考えられますので、以上の条件を満たすのは難しくないでしょう。

一方で、後遺障害認定の申請には、専門的な知識を持って書類の準備や資料の整理を行わなければならず、以上の条件が揃っていても、申請時に書類の不備や資料の不足があれば後遺障害の認定は難しいとされています。

そのため、交通事故の後遺障害認定に実績のある弁護士に依頼し、手続きを万全にして認定が受けられるようにすることが望まれます。

後遺障害第9級認定に該当する後遺障害は?

後遺障害の等級は、後遺障害の症状が最も重いものが第1級で、そこから軽くなるごとに級数の数が増え、最も軽い等級が第14級となります。

本項で説明する後遺障害第9級は、労働能力喪失率は第10級の27%に対し、35%と定められています。労働能力が健常者の65%しかないという重い後遺障害を背負ってしまった状態です。

このような重い後遺障害が残ってしまうと、事故前と同じ仕事や作業をする際に、仕事内容によってはかなりの不便を感じ、元の仕事に復帰できないケースも考えられます。また、第9級に定められている症状の数は、各等級の中で最も多くなっているのが特徴です。

後遺障害第9級の認定条件となる後遺障害の症状

どのような後遺障害が残ってしまった場合に後遺障害第9級に相当するのか、その症状を列挙します。

後遺障害第9級認定に必要な条件
1号 両眼の視力が〇・六以下になったもの
2号 一眼の視力が〇・〇六以下になったもの
3号 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4号 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5号 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7号 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8号 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9号 一耳の聴力を全く失ったもの
10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12号 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの
13号 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14号 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
15号 一足の足指の全部の用を廃したもの
16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
17号 生殖器に著しい障害を残すもの

これらの条件に1つでも当てはまる症状があれば、後遺障害第9級認定を受けることができます。

後遺障害9級と判断される具体的な症状は?

上記の認定条件を、それぞれ具体的に説明します。

1号)両眼の視力が〇・六以下になったもの

交通事故によって視力が低下し、両眼の矯正視力が0.6以下になった状態です。矯正視力とは裸眼ではなく、メガネやコンタクトレンズを装着した場合の視力を指します。あくまでも交通事故が原因とされるもので、もともと視力が悪かった人は該当しません。

2号)一眼の視力が〇・〇六以下になったもの

交通事故によって片方の眼の矯正視力が0.06以下になった状態です。矯正視力が0.06以下ということは、一般的にはかなりの近眼に相当しますが、他方の眼に後遺障害がないということから後遺障害第9級と認定されます。

3号)両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

半盲症とは、視野の右半分、または左半分が欠ける状態を指します。交通事故により両方の眼に半盲症、視野狭窄(視野が狭くなる)、視野変状(視野が欠損するなど)が起こった場合は、後遺障害第9級となります。片方の眼の場合は第13級です。

4号)両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

交通事故によって両方の眼のまぶたに著しい欠損が残った状態です。著しい欠損とは、まぶたを閉じた時に角膜を完全に覆うことができない状況となります。片方の眼の場合は第11級です。

5号)鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

交通事故によって鼻の軟骨部分の全部、あるいは大部分を失い、嗅覚や呼吸機能が大きく損なわれた状態です。鼻の欠損は外貌の美醜に影響を与えるため、第7級が認定される可能性もありますので、注意が必要です。

6号)咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

交通事故によって顎の骨や筋肉に回復できない損傷を受けたり、脳や神経に障害が残ったりした場合に咀嚼障害や言語障害が発生することがあります。

後遺障害第9級に該当する咀嚼障害は、普通の食材は問題なくても、歯ごたえのある堅いものが食べられない状態を指します。言語障害については、「口唇音」「歯舌音」「口蓋音」「咽頭音」の4種類の発音方法のうち、1種類の発音方法ができなくなった状態です。

7号)両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

交通事故により両耳の聴力が、1m以上の距離で普通の会話も聞き取れない後遺障害が残った状態です。具体的には、両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上、または50dB以上かつ最高明瞭度が70%以下とされます。

8号)一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

交通事故により片方の耳の平均純音聴力レベルが80dB以上となり、他方の平均純音聴力レベルが50dB以上になった状態です。

9号)一耳の聴力を全く失ったもの

交通事故によって片方の耳の聴力を完全に失ってしまった状態です。完全に失われた状態とは、平均純音聴力レベルが90dB以上のものです。

10号)神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

具体的には、交通事故による高次脳機能障害、脳の損傷による麻痺、脳の器質的な損傷を伴わない精神障害、外傷性てんかん、頭痛などにより、一般就労はできても、問題解決機能に障害があったり、作業効率や持続力などの問題が発生したりしている状態です。

11号)胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

交通事故によって負った呼吸器、心臓、消化器系、泌尿器などの損傷が後遺障害となり、健常者と比べて仕事が制限される状態です。

12号)一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの

片方の手の親指を、あるいは親指を除く2本の指を失ってしまった時、後遺障害第9級が認定されます。

13号)一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

片方の手の親指を含む2本の指の用を廃したもの、または親指以外の3本の指の用を廃した状態です。「用を廃した」とは、末節骨の2分の1以上を失った場合、指の根元あるいは第2関節の可動域が2分の1以下になった状態、などが当てはまります。

14号)一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの

片方の足の親指を含む2本の指を失ってしまった時、後遺障害第9級が認定されます。

15号)一足の足指の全部の用を廃したもの

片方の足の指すべての用を廃してしまった時、後遺障害第9級が認定されます。「用を廃した」とは、片足の親指の第1関節を切断し、長さが2分の1以下になった状態、などが当てはまります。

16号)外貌に相当程度の醜状を残すもの

外貌とは、手足を除き常に露出している部分のことで、頭、顔、首を指します。相当程度の醜状とは、顔に5cm以上の線上の傷がはっきり確認できる状態で残っている状態となります。

17号)生殖器に著しい障害を残すもの

交通事故によって生殖器に深刻な損傷を負い、後遺障害が残った状態です。適用される症状は、ペニスの大部分を欠損、勃起障害、両側の卵管に閉塞や癒着を残すもの、などです。

後遺障害第9級認定を獲得するための重要なポイント

すべての等級において、後遺障害の認定を受けるために大切なことは、被害者が正確な申告を行い、事故当初から適切な治療と検査を受け続けていることです。

さらに、完治しないまでも真面目に治療に取り組み、社会生活に復帰するべく努力を続ける姿勢が必要です。

信頼の置ける医師による治療を続けるべき

後遺障害第9級の認定を申請するような後遺障害が残る場合には、事故直後に医師の治療を受けないということはないと思われます。

被害者は病院に行き治療を受けているはずですが、なかなか治癒せずに病院を転々とするなど、医師としっかりとした信頼関係が築けていない時もあるでしょう。

そうした場合には、その後遺障害が交通事故によるものなのか、あるいは他の事故やもともと持っていた症状なのか、医師にとっても判断がつかないことも出てきます。

特に第9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」は、一般的には診察が難しい高次脳機能障害や、精神障害や頭痛など、「気力がなくなった」「集中力がなくなった」など、被害者本人では気付かない症状があります。

家族や友人、知人の支援はもちろん必要ですが、専門的な治療を施してくれる医師を選ぶことも大切なのです。

後遺障害診断書は、等級認定において非常に重要

後遺障害の等級認定は、すべて書類による審査によって判断されます。その際に最も重要になってくるのが後遺障害診断書だと言われています。

どんな医師でも後遺障害診断書は書けますが、より説得力のある、申請する等級をしっかりと意識したものが書けるかどうかは、医師の経験が大切です。

医師との信頼関係も重要で、真面目に治療に通い、それでも治癒せずに後遺障害が残ってしまい等級申請を行うとなれば、医師もなるべく認定が行われるように親身になって書類を作成してくれるでしょう。

後遺障害が残ってしまうとなると、被害者の心情的にはかなり辛いとは思いますが、医師に文句ばかり言い、治療も放棄するような人に、しっかりとした後遺障害診断書を作成してくれることは、よほど人の良い医師しかいません。

被害者と医師、一体となって負傷の治療を行い、それでも後遺障害が残ってしまったら、適正かつ十分な慰謝料を得るべく、等級認定に向けて一緒に取り組めるような関係性をつくっておくことが大切です。

後遺障害第9級認定の申請を弁護士に依頼すると?

後遺障害の等級認定の申請は、交通事故に遭う前には一般人であった被害者にとってかなり難しい作業です。そして後遺障害第9級ともなると、慰謝料を含む損害賠償金額は高額となり、加害者側も被害者側が出す条件を鵜呑みにすることはないでしょう。

たとえ運よく望み通りの等級が認められたとしても、その等級を基準として加害者が加入する保険会社が示してくる慰謝料を含む損害賠償の金額は、被害者が得るべき金額の最低ラインだということを理解しておきましょう。

自賠責基準による後遺障害第9級の慰謝料は245万円

強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責)では、後遺障害第9級の慰謝料は245万円と定められています。これは、後遺障害第9級の適正な慰謝料金額を算出する際の最低水準だと考えてください。

また、任意保険基準の場合、保険会社は計算方法を明らかにしていませんが、一般的には自賠責基準より少し高く、下記の弁護士(裁判)基準よりはるかに低い水準です。被害者の後遺障害の状態によれば、自賠責基準と同額の金額を提示してくる保険会社もあると言われています。

弁護士(裁判)基準による、後遺障害第9級の慰謝料は690万円!

弁護士に加害者との示談交渉や等級認定申請の手続きを依頼すると、弁護士費用はかかりますが、得られる損害賠償金や慰謝料は、ほとんどの場合で大幅に増加します。

この弁護士(裁判)基準とは、先例や過去の裁判における判例を基準にして算出されたものです。日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)によると、弁護士(裁判)基準による第9級の後遺障害の慰謝料は690万円と記載されています。

これだけの差があれば、弁護士に依頼してもたいていのケースでは十分に費用はまかなえるものです。そしてこの金額はいわゆる相場であるため、交通事故に強い優秀な弁護士の場合は、この水準以上の慰謝料を得ることができる可能性も出てくるでしょう。

交通事故の被害者が、弁護士の力を借りるべきもう一つの理由

交通事故の被害者となってしまった場合、示談交渉の相手は、たいていの場合には加害者が加入する保険会社の示談交渉担当員となります。

保険会社の示談交渉担当員というプロを相手に、一般人の被害者が有利な損害賠償の条件や慰謝料の金額を引き出すことは非常に難しいでしょう。交通事故の示談に関する知識がない被害者にとっては、損害賠償金の相場さえ分からないでしょう。

そして、後遺障害第9級に相当する後遺障害の症状が残ってしまった場合には、被害者自身で手続きを行うことが難しいかもしれません。弁護士に示談交渉を依頼するべきレベルだと考えられます。

示談や後遺障害の等級申請は、弁護士に依頼するメリット大!

交通事故の後遺障害に対する慰謝料は、前述の通り、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準によって大きく変わり、等級が1つ変化すると金額も大きく増減します。弁護士に相談すれば、認定を得るためだけではなく、等級を上げるための申請方法も示してくれることもあります。

第9級の自賠責基準の慰謝料は245万円、弁護士(裁判)基準では690万円ですが、第10級しか認められないと、自賠責基準では187万円、弁護士(裁判)基準でも相場では550万円となります。

第9級に該当する後遺障害の症状は、仕事や学校といった社会への復帰が困難な場合もあります。交通事故の被害者となり後遺障害が残ってしまった場合、そしてもし等級の認定や慰謝料に不満がある場合は、適正かつ十分な慰謝料を得られるように、弁護士に相談することをお勧めします。

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