もらい事故の対処法と備え~保険には弁護士費用特約を~

もらい事故

被害者に過失がないもらい事故では、保険会社が示談交渉を行えない!

弁護士費用特約の活用が得策

安全に気を付けて、普通の運転をしていても、交通事故に巻き込まれてしまうことがあります。

例えば「赤信号で停車していたら、後ろから車に追突された」「駐車場内で適切に駐車していたら、走行してきた車に当てられた」「対向車がセンターラインを越えてきて接触・衝突した」などの場合です。

歩行中であっても「青信号の横断歩道を渡っていたら車にはねられた」といった、被害者側に何の落ち度もない交通事故に遭ってしまうことがあります。このような事故は、被害者側から見て、もらい事故と言われます。

交通事故の3分の1を占めるもらい事故

もらい事故は、保険会社の統計によると、交通事故の約3分の1を占めているとされます。これだけ多い割合で発生しているのに、もらい事故の対処法は、意外と知られていないのではないでしょうか。

もらい事故では、自分が加入する保険会社が示談交渉を代行することができないのです。そのため、被害者自身が示談交渉を行うか、弁護士を雇って損害賠償交渉を進める必要があり、自分の責任がないからといってのんびり構えていると、十分な損害賠償を得られない可能性があります。

もらい事故に遭ってしまった場合の、対処法と備えを紹介します。

もらい事故とは、一方の過失が0の事故

もらい事故とは、被害者にまったく落ち度のない事故ですから、過失割合は(被害者)0:100(加害者)となります。

過失割合とは、事故当事者における過失の割合を示すもので、基本的には双方の保険会社同士が話し合って決定するもので、警察が決めるわけではありません。

もらい事故のパターンは少ないが、件数は多い

さまざまな交通事故の事例によって、過失割合はおよそどれくらいになるかは示されていますが、一方の割合が0となる事故パターンは実は少ないのです。

しかし先に述べたように、交通事故の約3分の1がもらい事故とされていますから、いかに上記の例のような事故が多いのかが分かります。

初期対応は普通の交通事故とほとんど同じ

もらい事故と考えられる事故に遭ったとしても、事故後の初期対応は普通の交通事故とほとんど同じです。

負傷者の救護

もらい事故でも、最優先すべきは負傷者の救護です。負傷者を安全な場所に移し、救命措置が可能なら行い、救急車の要請を行います。

警察への通報

交通事故が起こったら、警察への通報は義務となります。

軽微な追突事故などの場合、全部自分が悪いと謝り、事故の相手方がその場で示談を申し出てきて、警察に通報しないように言い出すことがあります。

その理由は、事故を起こしたことを会社に知られたくない、免許停止・取り消しになったら仕事ができない、先を急いでいるからすぐにその場を去りたい、などさまざまですが、いくら良い条件の示談内容を示されても、絶対に応じてはいけません。

警察に事故報告を怠り、現場の実況見分が行われないと、事故証明書が発行されず、最悪の場合、もらい事故でも保険金が支払われない場合があるのです。

また、追突事故によってむち打ち症になる場合がありますが、その場では痛みや不調を感じない時があり、人身事故だと申告しておかないと、物損事故で処理され十分な補償が受けられない可能性もあります。

事故現場の記録を行う

救急車や警察官が到着するまでの間に、可能な範囲で事故現場の状況を記録しておきましょう。

事故当事者の証言や警察が行う実況見分が優先されますが、もらい事故だと証明するためには、事故直後の記録が重要となる場合があります。

携帯電話やスマートフォンのカメラで現場の写真を撮り、明らかにもらい事故であると証明できるような証拠が記録できればベストです。

また、目撃者がいれば協力をお願いし、警察に証言してもらいましょう。

加害者の情報を聞く

もらい事故は加害者側の責任が100%で過失相殺が行われず、損害賠償金は通常の事故に比べて高額になります。

確実に連絡が取れるように、相手の自動車のナンバーを控えるのはもちろん、氏名、電話番号、住所、会社名、加入している保険会社の情報まで聞いておきます。これも、携帯電話やスマートフォンのカメラや、録画機能を使うのが良いでしょう。

保険会社に連絡

以上の交通事故後の措置は通常の交通事故でも同じですが、保険会社への連絡の時点で、もらい事故の場合は違ってきます。

後に説明するように、保険会社はもらい事故の示談交渉はできないのです。

保険会社に連絡をし、自身の契約に弁護士費用特約などが付いているかを確認し、その上で弁護士に相談するかどうかを決めてください。

病院に行き、医師の診断を受ける

たとえ痛みや不調が感じられなくても、必ず事故直後に病院へ行き医師の診断を受けましょう。むち打ち症などはすぐに痛みが出ない場合が多く、人身事故にするには医師の診断書が必要になります。

時間が経過した後に病院に行った場合、事故との関連性が疑われる場合があります。

もらい事故の一番大きな特徴。保険会社が示談交渉してくれない

交通事故の損害賠償交渉において、もらい事故の場合は、保険会社が示談交渉を行ってくれません。

自動車保険に示談代行サービスが付帯されていれば、通常の交通事故であれば自分が加入している保険会社の担当員が加害者側と示談交渉を行ってくれますが、もらい事故の場合は弁護士法違反になるため、示談交渉はできないのです。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

もらい事故の場合、被害者には賠償責任が生じません。

そのため、保険会社は損害賠償金を支払う必要がないため、被害者の示談交渉を代行してしまうと、この弁護士法第72条違反になってしまいます。

では、もらい事故の場合、加害者はどうすれば良いのでしょうか?

次の3つの方法が考えられます。

①自分で示談交渉を進める

もらい事故の場合、被害者自身で示談交渉を行うのが原則です。しかし、交通事故の示談交渉に関する知識のない人が、交渉の専門家である加害者側の保険会社担当員と示談を進めたとすると、多くの場合は加害者ペースで進んでしまうことが考えられます。

慰謝料など損害賠償金の相場は調べれば分かりますが、交渉のノウハウがないとその金額を引き出すことは難しいでしょう。

②弁護士費用特約を利用し弁護士に依頼する

近年、自動車保険に弁護士費用特約を付帯する契約者が増えています。

保険の自由化によりサービス内容が充実してきたこともありますが、一般人の示談交渉が難しいと知れ渡ってきていることも一因だと言われています。

弁護士費用特約は、保険会社が弁護士費用を支払ってくれるもので、被害者は新たな負担なしで弁護士に示談交渉を依頼することができるのです。

保険会社によって金額は違いますが、年間数千円でこの特約を付けることが可能となるので、万が一のために弁護士費用特約付きの保険に加入しておくことをお薦めします。

③弁護士の法律相談を受ける

自動車保険に弁護士費用特約を付けていなかった場合は、費用をかけたくなければ被害者自身で交渉するしかありません。しかし、弁護士の力を借りて交渉をすれば、慰謝料など損害賠償金の増額が期待できるのも事実です。

まずは弁護士の法律相談を受け、どれくらいの示談金が得られるのか見込みを教えてもらい、自身で交渉した場合との差を明らかにし、検討するのも良いでしょう。

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