交通事故が発生しやすい月は、警察庁の統計によれば12月です。同月に交通事故件数が最大になる理由にはいくつかありますが、日が短くなって暗くなるのが早いこと、年末にかけて交通量が増える、慣れない道を走る運転手が増える、ことなどが理由と見られます。
目次
交通事故が発生しやすい時間帯は?
交通事故が発生しやすい時間帯、曜日、月、季節を見れば、日ごろから運転時に注意するべきことがはっきりしてきます。
まずは、時間帯別の交通事故発生状況を見てみましょう。
交通事故発生が多い時間帯は、朝と夕方から夜
交通事故は、いわゆる通勤時と帰宅時に相当する、朝の8時ごろ、夕方の17時から18時に多く発生しています。これは単純に交通量が増えることが一番の理由ですが、朝の通勤時にはどうしても気が焦ってしまうこと、夕方から夜にかけては視認性の低下と疲れも要因として考えられます。
明るい時間は運転しやすく、暗くなると難しくなる?
自動車の運転は、明るい方が簡単なのは誰もが感じることです。運転時に注意すべきポイントがはっきりして、頭の回転も速い時間帯です。
逆に暗くなると運転が難しいと思われがちですが、日が暮れて真っ暗になった後は、実はそんなに難しいと実感することはありません。当然車はライトを点灯し、街灯が灯って歩行者の姿ははっきりし、反射板などを利用した標識もはっきりと見えるのです。かえって集中できるので、夜の方が運転しやすい、という声もよく聞きます。
しかし、眠気という敵が、起こしてしまった事故は大きいという結果を招いています。
死亡事故の割合は夜間の方が圧倒的に高い!
交通事故件数と死亡事故を昼夜別に見ると、その差は明らかです。
警察庁交通局が発表した「平成26年中の交通事故の発生状況」によると、同年に発生した交通事故573,842件のうち、昼間の事故は417,458件(72.7%)に対して、夜間の事故は156,384件(27.3%)となっています。
夜間の死亡事故率はなんと昼間の2.7倍!
一方、死亡事故は、昼間が1,994件(49.7%)に対し、夜間は2,019件(50.3%)となり、交通事故全体に占める死亡事故の割合を示す死亡事故率は、昼間が0.48%、夜間が1.29%と、夜間の死亡事故率はなんと2.7倍になっています。
夜間の方が、交通量が少ないためにスピードを出してしまうことや、居眠り運転による大きな事故が多いことが考えられます。
歩行者にとって危険な時間帯は夕暮れ時
自動車の運転が一番難しいのは、夕暮れ時と言われます。日が傾いて西日がきつく物が見づらくなり、そこから一気に暗くなってヘッドライトを点けている車と点けていない車が混在する時間帯です。
また同じ時刻でも、秋には日に日に日没が早くなり暗くなる時刻が早まります。同じ時刻に退勤し車を走らせても、昨日より今日の方が暗いと気づかずにしばらく走ってしまうこともあるでしょう。
歩行者・自転車も自分を守るための対策を
夕暮れ時は、運転手から歩行者が見えづらくなる時間帯でもあります。
車での帰宅ラッシュと同じ時間には徒歩で帰宅する人が増え、塾帰りの子どもたちや部活が終わって学生が帰宅する時間です。運転手は早めのヘッドライト点灯を心がけ、歩行者は反射素材を身に付けるなどの自衛策を取りましょう。
また、原則として車道の走行が義務付けられた自転車も、なるべく道路の端を走行し、エンジン音だけで自動車やバイクの動向を予測せずに、しっかりと目で見て判断することが必要です。
週末の事故が多いというイメージは正しい?
「金曜の夜は事故が多い」「サンデードライバーが事故を多く起こしている」というイメージがありますが、本当なのでしょうか?
(内閣府HPより転載)
平成27年度交通安全白書に、上記の曜日別一日平均死亡事故発生件数の分析が掲載されています。
発生件数は土曜日が11.7件、金曜日が11.4件、日曜日が11.1件と、やはり週末が上位を占めていますが、月曜日は11.0件、水曜日は10.8件、火曜日と木曜日は10.5件と、週末が突出して多いというデータではありません。
時代の変化で、曜日別の死亡事故の差が減少?
週末だけが休日ではなく、金曜日の夜だからと交通量が急増することもなくなるなど、ライフスタイルの変化がこういう状況を作り出しているのかもしれません。サンデードライバーが乗る車の安全性能が高まり、カーナビの進歩で運転中の危険が減少していることも一因と言えるでしょう。
月別では交通事故発生件数、交通事故死者数ともに12月がピーク
月別の交通事故発生件数、交通事故死者数の推移を見てみましょう。秋から年末に向けて交通事故は増え、12月にピークを迎えるというはっきりした傾向が読み取れます。
(内閣府HPより転載)
交通事故発生件数は交通量に比例
12月は「師走」とも呼ばれますが、語源は普段はどっしり構えている先生(師匠)すら走り回るほど忙しい月だということです。
現代では昔に比べて、年末に全ての仕事や習い事のけじめをつけるという習慣は薄まってきましたが、それでも年末に向けてクリスマスなどのイベントは目白押しで、会社では仕事納めで普段の月よりもバタバタする事が多いでしょう。
「忙しい」という感覚は、交通事故を起こす要因になり、交通量もやはり12月が年間を通して一番多いわけです。つまり道路に走っている自動車が多いという事は、当然事故が発生する可能性も高くなるのです。
参考までに、交通事故による死者数の最多日は12月25日(金)の26人、最少日は2月5日(木)の3人となっています(2015年)。
交通事故の発生件数と死者数の推移を追うと、意外な関係性が見えてきます。自動車の安全性能の高まりと警察による取り締まり強化...
季節的要因も12月の事故発生を誘発
12月の季節的要因も見逃せません
日照時間が最も短く、死亡事故の発生が多い夜間の時間が長くなることも要因のひとつです。加えて、自動車の運転に影響を与えるほど寒くなり始める気候となってくるので、細心の注意が必要な季節と言えます。
季節の変動に対する準備を怠らないことが大切
大雪が降るような1月から2月は、そもそも自動車での外出を控えることも多く、タイヤの備えも万全となっています。雪が降り始める、橋が凍結し始める12月が最も危険なのです。
スタッドレスタイヤやチェーンは早めに準備して急な降雪に備えたり、夜間や早朝は路面が凍結しているのではないかと用心したりする心構えで交通事故を起こす危険性を減らしたいものです。
冬季だけではなく、季節ごとの天候急変にも機敏に対応
運転に影響を与えるような天候は、交通事故件数の多い秋から冬だけではありません。それぞれの季節ごとに発生する天候急変に機敏に対応できるように、日ごろから知識を備えておきましょう。
急な大雨への対応
雨天時に路面が滑りやすくなるのは周知の事実ですが、特に降り始めが危険です。乾燥した道路に雨が降ると、泥やホコリが雨に混ざって非常に滑りやすい状態になるのです。いきなりゲリラ豪雨に遭ったような時は、スピードを抑え、車間距離を十分に取り、必要ならばライトを点灯させて車の存在を周りに知らせましょう。
また雨が降ると当然のようにワイパーを動かしますが、激しい雨では周りが見えないほどになります。特にサイドミラーなどが見にくくなるため、視野の確保には十分に注意しましょう。
強風への対応。横風に注意!
台風の時だけではなく、ゲリラ豪雨にも強風はつきものですし、冬にも強い風が吹き続ける地方があります。
運転に影響を与える風は、正面や後ろからの風よりも、横風の場合がほとんどです。強い横風を受けると車体から衝撃が伝わり、慌ててハンドルを切ると事故につながる恐れがあります。
ハンドルをしっかりと握り、冷静に対処しましょう
また強風時には大型車に近付かない方が賢明です。大型車の陰に入ると風が急になくなり、車体が大型車に引き寄せられる状態となります。
子どもの交通事故件数ピークは5月から7月
12月に交通事故発生件数が多いというのは事実ですが、これはあくまで交通事故全体の総数の話になります。たとえば交通弱者の代表である子ども(小学生)の交通事故件数は、5月から7月が最も多く“魔の季節”とも言われていて、一般的な交通事故の発生件数のピーク時とは重なりません。
小学生の交通事故遭遇件数が5月から7月に多いのは、4月に新学期を向かえた後の“慣れ”による油断が事故につながるという理由が有力です。
小学生などの未成年が自転車事故を起こした場合のリスクとは?このページでは、小学生がなどの未成年が実際に自転車事故を起こし...
交通事故が発生しやすい時期に特に注意して運転をすることは当然ですが、同時に統計に影響されることなく、季節に応じた注意事項を頭に入れ、常に交通安全に心がけることが交通事故を避ける一番の手段でしょう。
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