遷延性意識障害~植物状態とも呼ばれ、介護を要する後遺障害第1級に~

遷延性意識障害

「遷延性意識障害」は「脳死」とは違う

回復の可能性があるため、十分な損害賠償金額を得ることが大事

「遷延性意識障害」(せんえんせいいしきしょうがい)は、介護を要する後遺障害第1級にあたる、後遺障害としては最も重い症状です。

「遷延」とは“長引くこと。のびのびになること”(三省堂大辞林より)の意味で、交通事故直後に意識不明の状態になっても、数日程度で意識が回復する場合は「遷延性意識障害」ではありません。

交通事故により大切な家族が「遷延性意識障害」と診断された方は大変な悲しみと苦しみの中にあり、大きな負担を強いられることになりますが、交通事故の損害賠償は金銭によるものになりますので、十分なサポートを受けられるように弁護士の力を借りて示談交渉、または裁判などに臨むことをお薦めします。

(注)本ページを読まれる前に

本ページに記載している症状や治療法は、一般的な知識として覚えておいた方が良いというもので、症状によって自分で判断を行うことや、記載した治療をお薦めするものではありません。必ず医師の診断を受け、適切な診断と治療を受けてください。

「遷延性意識障害」とは?

「遷延性意識障害」は、いわゆる「植物状態」と呼ばれる重い障害です。

頭部に強度の衝撃を受けた時の「脳挫傷(外傷による脳組織の挫滅)」や「びまん性軸索損傷(回転性の外力が加わることによる脳神経細胞の断裂など)」が原因となるものがほとんどで、約半数が交通事故によるものだと言われています。

「遷延性意識障害」とは、脳の広範囲が壊死または損傷することで発症し、昏睡状態に陥り、意思疎通が喪失した身体症状を指します。

「遷延性意識障害」の定義

日本脳神経外科学会は、1972年に「植物状態の定義」として次の6項目を定めています。

  1. 自力移動不可能
  2. 自力摂食不可能
  3. 尿失禁状態にある
  4. たとえ声は出しても意味のある発語は不可能
  5. 「眼を開け」「手を握れ」、などの簡単な命令にはかろうじて応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通が不可能
  6. 眼球はかろうじて物を追っても認識はできない

脳損傷を受けた後にこれら6項目を満たす状態に陥り、ほとんど改善がみられないまま3カ月以上が経過したものが「植物状態」と定義されています。

簡単に言えば、自分自身で移動ができない、自分自身で食事が摂れない、排泄がコントロールできない、声を出せない、あるいは声は出ても周囲の者に意味が理解できない、周りの人と意思疎通ができない、目が開いていて眼球を動かす事ができても、周りの状況を認識できているか確認できないという症状が3カ月以上続いた場合に「遷延性意識障害」と診断されるのです。

なお、「遷延性意識障害」と「植物状態」は同じ症状ですが、この障害を持つ家族や関係者にとって、人を植物に例えることに抵抗感が強いと考えられることに配慮し、現在は「遷延性意識障害」という呼び方を用いることが多いようです。

「脳死」との違いは?

「遷延性意識障害」と「脳死」が同じだと誤解されることもありますが、これはまったく違うものです。「遷延性意識障害」は、脳を損傷していても生命維持に必要な脳幹、中枢神経系、および循環器・呼吸器・消化器の臓器は正常に機能している状態です。

一方「脳死」は生命維持に必要不可欠な脳幹を含む脳の機能が不可逆的に損傷している状態で、「遷延性意識障害」が回復の可能性があることに対し、「脳死」は意識の回復は見込めないものです。「脳死」の判断は、深昏睡、瞳孔固定、脳幹反射の消失、平坦脳波および自発呼吸の消失が6時間にわたり続いた時に行われます。

「遷延性意識障害」は回復するのか?

「遷延性意識障害」は、脳に深刻なダメージを負って発症しますが、機能を失った脳を回復させる手術方法などは、現状ではありません。基本的には、障害を負った者の自己治癒能力で回復を待ち、現状維持を図ることが治療の目的となります。

「遷延性意識障害」の治療法は?

但し、近親者が声をかけ続けるなど、周りからの働きかけによって向上することもあり、意識を取り戻して「遷延性意識障害」の状態から脱することができたという例もあります。また、脊椎電気刺激療法、脳深層部刺激療法、音楽運動療法などで回復したという報告もあります。

しかし回復は、周囲のことが認識できるようになったり、意思表示ができたりするようになる「最小意識状態」や、記憶障害や注意障害があるけれども動くことは可能な「高次脳機能障害」の状態までにとどまり、完治は非常に難しいとされています。

常に介護を要する後遺障害となる

現在の医療制度では、入院期間が3カ月を過ぎると退院または転院を求められる場合が多くあります。その場合は受け入れてくれる病院や施設を探さなければなりませんが、リハビリ主体の長期療養型病院は少ないため、非常に困難な状態となることが考えられます。

また在宅介護にする場合も、訪問診療や訪問介護、ヘルパーを利用しなければならず、患者のケアをするためには家族の経済的、心理的、体力的な負担もかなり大きくなります。

「遷延性意識障害」では24時間常時の介護が必要となりますが、金銭的にヘルパーを雇うことは難しいと考えられます。その場合、ヘルパーには床ずれ防止、爪きり、痰の吸引、酸素の吸入などの医療行為は認められていないため、家族が行わなければなりません。

また、四肢の関節が固まってしまわないようにマッサージをすることも有効ですが、長期間にわたる介護は非常に過酷なものとなります。

以上のような状態に、少しでもサポートになるよう、弁護士に示談交渉を依頼し、弁護士(裁判)基準の損害賠償金を得ることが大切になってきます。

「遷延性意識障害」の損害賠償交渉

万が一、交通事故によって「遷延性意識障害」になってしまった場合、加害者との損害賠償交渉には、他の怪我や障害と違って大きなハードルがあります。それは被害者自身に意識がない、または明確な意思表示ができないので、直接賠償交渉ができないことです。

成年後見制度の申し立てを行う必要がある

障害を負った人が未成年であれば、両親が法定代理人として損害賠償交渉を行う権利があるので、問題はありません。

一方、障害を負った時点で本人が成人だった場合は、成年後見人を選ぶ必要があります。

基本的には被害者の家族または親族が成年後見人となるケースが多く、手続きは家庭裁判所に申し立てて専任されることになりますが、交通事故の損害賠償請求に限定されず、日常生活のすべての契約を行わなくてはなりません。

そのため、障害を負った人に適当な親族がいない時も含め、弁護士に成年後見人となってもらうことが、手続きなどをスムーズに進める良い手段になります。

特に多額の損害賠償金請求を行うためには、弁護士が手続きを行った方がより迅速かつ確実に示談を進め、補償金を受け取ることが可能となるでしょう。

「遷延性意識障害」の等級は?

「遷延性意識障害」と診断され、後遺障害認定を申請した場合、介護を要する後遺障害第1級と認定されます。これは、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」と規定される、後遺障害等級の中で最も重いものとなります。

自賠責保険からは、4,000万円を上限とした保険金が支払われることになりますが、長期にわたる介護が必要となる重い障害となるため、自賠責保険の補償だけでは済まないケースが多いと考えられます。

余命制限を採用させないこと

通常の損害賠償金額の計算方法では、被害者の平均余命までの損害を対象としますが、加害者側が「遷延性意識障害者の余命は健常人の平均余命より短い」などと主張してくることがあるようです。

判例ではこの余命制限を採用しないというものが多数を占めていますが、しっかりと理論的に反論できるように、弁護士に後見人となってもらうことが大切です。

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