むち打ち症の治療方法~必ず整形外科を受診し、治療の方向を相談すること~

公開日:2020年12月16日 最終更新日:2021年01月22日

接骨院

監修記事
この記事は佐藤 學(元裁判官、元公証人、元法科大学院教授)が監修いたしました。

むち打ち症の治療は、まず診断書を書ける病院の整形外科を受診すること。そして状況に応じて整骨院・接骨院での治療に切り替えることを検討する。治療が長引く場合には後遺障害診断書も必要となるので、整形外科との関係性を良好に保っておくことが大切です。

むち打ち症治療の基本はまず整形外科で検査を受けること

通院を続けるには整骨院・接骨院を選んでも良い

交通事故に遭った場合、すぐに病院で診察を受けるのが基本です。特にむち打ち症の場合は比較的軽い頸椎捻挫から、神経や脳などに思いがけない場所にダメージを負っている可能性がありますので、症状を見逃さないためにしっかりと検査をしてもらいましょう。

また、むち打ち症は、受傷直後に痛みや不調を感じないケースが多いため、まずは交通事故で負傷したかもしれないことを医師に告げ、事故状況から考えられる症状があるかないか、きっちりと診断してもらう必要があります。

事故直後に診断を受けない、又は交通事故の事実を告げて診察を受けておかない場合、後に首の痛みや不調が出てきても、交通事故との因果関係が疑われる場合がありますので、注意してください。

(注)本ページに記載している治療法は、一般的な知識として覚えておいた方が良いというもので、その通りの治療をおすすめするものではありません。必ず医師の診断を受け、適切な治療を受けてください。
その際には、保険医療機関及び保険医療担当規則17条が、「保険医は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。」と規定していることも、留意すべきことになります。

最初の診断は、必ず病院の整形外科に行くこと!

交通事故直後にむち打ち症が疑われた場合は、以下の2つの理由から、必ず病院の整形外科に行くことをおすすめします。

充実した検査が可能であること

病院の整形外科には、レントゲンやMRIといった検査機器が充実しています。整骨院・接骨院には技師がいないために、これらの検査を受けることはできません。少しでも首に不調を感じた場合は、事故の状況や症状を伝え、整形外科で精密検査をしてもらいましょう。

ただし、むち打ち症の多くは、筋肉や神経などのレントゲン検査では異常が見つかりにくい部位の損傷になります。レントゲン検査で異常が見つからなくても、首や肩の痛み、また気分が悪い、体調が悪いなど、むち打ち症と考えられる症状がある場合は、我慢しないで医師に異常を訴えましょう。

損害賠償請求には診断書が必要となること

交通事故で被害者となってしまい、人身事故の警察への届出や加害者に対する損害賠償請求を行う際、事故によって負傷したことを示す診断書が必要となります。さらに、症状固定後に後遺障害が残り、後遺障害等級認定に基づく慰謝料や逸失利益の請求のためには後遺障害診断書が必要になってきます。これらの診断書や後遺障害診断書は医師のみが作成できるもので、柔道整復師が施術を行う整骨院・接骨院では原則として書いてもらえません。もちろん、整体やマッサージなどでは診断書を入手することも不可能となりますので、必ず一度は病院の整形外科に行く必要があります

ただ、整形外科は診療時間が限られていて通院することが難しかったり、症状に対する治療のみとなったりしますから、むち打ち症の施術を得意としている整骨院・接骨院の方が通院には適している場合があります。その場合は整形外科の医師に、通院を続けたいが診療時間内に通うことが難しいこと、自宅や職場近くの整骨院・接骨院に通いたいことを伝え、その事実をカルテに記入してもらっておきましょう。

柔道整復師のむち打ち症施術には医師の同意が必要、できる施術も限定的

なお、ここで注意しておきたいのは、柔道整復師法17条では、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。」と規定されているということです。

この17条の趣旨は、「患者の人体に危害が生じるのを防止すること、柔道整復師の施術は医師の行う医業に対する補助的なものであるため、原則として医師の同意がない限り、柔道整復師は脱臼又は骨折の患部に施術はできないこと、ただし、例外的に、医師の診断を受けるまで脱臼又は骨折を放置すると、生命又は身体に重大な危害を来すおそれのある場合は、柔道整復師も、その業務の範囲内において、患部を一応整復する行為としてのいわゆる応急手当ができるとした」と考えられています。

すなわち、柔道整復師が行えるのは、打撲、捻挫と応急の手当としての脱臼、骨折、若しくは医師の同意を得た脱臼、骨折の施術に限定され、手術・投薬はできず、レントゲン検査、MRI検査や診断もできないということです。

ところで、柔道整復師の施術に関しては、健康保険も限定的とはいえ承認しています(厚生労働省HP「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」参照)。
同HPは、「柔道整復師の施術を受けられる方へ」とし、「保険を使えるのはどんなとき」として「整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に保険の対象になります。なお、骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。」としています。

そして、近年、整骨院・接骨院の過剰診療が社会問題となる中で、被害者が損害賠償を請求する際、施術の必要性・相当性が争われる裁判が増え、裁判所も、特に、医師の指示ないし同意のない施術については、必要性・相当性の判断を厳しくする傾向にあると指摘されています。したがって、整骨院・接骨院の施術を受ける際には、この点を理解したうえ、利用するようにしましょう。

むち打ち症が頸椎捻挫の場合は、比較的短い期間で治癒可能

むち打ち症は、医学的な傷病名ではないので、外傷性頸部症候群(頸椎捻挫・頸部挫傷)、神経根症(頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症)、脊髄損傷など医師の専門的診断を受けることが必要とされになります(日本整形外科学会HP)。

しかし、交通事故によって起こるむち打ち症の多くは「頸椎捻挫」あるいは「頸部挫傷」というもので、むち打ち症の約70~80%がこの診断を受けます。

マッサージは治りを遅くする。初期は動かさないようにすること

「頸椎捻挫」の場合、受傷直後のマッサージは逆効果

手や足の捻挫と同様に、まずは冷やすことで痛みを緩和し、炎症を抑えます。湿布を貼ることも有効ですが、冷湿布と温湿布を間違わないようにして、初期は必ず冷やすようにしましょう。ダメージを受け腫れ上がった筋肉を冷やし、病院で処方された痛み止めの薬を服用しますが、痛み止めは症状を抑えるためのもので、治癒を促進しているわけではありませんので、無理をして動かさないようにするのが大切です。

捻挫の治療はウィルス性の病気の治療などとは違い、基本的には自然治癒を助ける治療となるのです。

むち打ち症に独特の治療法というと、首の負担を軽くするために、頸椎カラー(コルセット)をつけることもあります。

軽い症状なら3か月程度で治癒

炎症が治まったら、固まった首の筋肉をほぐし機能を回復させるためのリハビリが始まります。

整形外科では首のけん引や温熱療法が中心となります。
整骨院・接骨院では、固まった筋肉をほぐし、血流を促すために電気を流したり、マッサージを行ったりします。
「頸椎捻挫」であれば、鍼灸院での施術も効果的と言われています。

軽い「頸椎捻挫」であれば、このような治療やリハビリを続けて3か月程度で治癒するケースが多く見られます。

「頸椎捻挫」または「頸椎挫傷」以外の診断を受けた場合は、整形外科の医師の治療方針に従ってください。

整骨院・接骨院、鍼灸院での治療が有効な場合も

整形外科への通院が難しい場合、あるいは症状の改善が見られない場合は、整骨院・接骨院、又は鍼灸院に転院した方が良い場合もあります。

病院の治療で症状が改善しない場合

むち打ち症は、整骨院・接骨院や鍼灸院といった、東洋医学の手法による施術をすると効果がある場合もあります。整骨院・接骨院では、病院でも行うけん引や温熱療法にあわせて、患部だけではない全身マッサージや、ずれた骨を正常に戻す整体を行います。鍼灸院では、経穴(神経のツボ)に針を打つ鍼治療を行います。

整形外科と整骨院・接骨院の違いは?

病院には医師免許を持った医師が診察にあたりますが、整骨院・接骨院では柔道整復師という国家資格を持った有資格者が施術を行います。また、原則として整骨院・接骨院や鍼灸院でも、むち打ちの施術に自賠責保険は使用可能です。

整形外科からの転院においても、近年では提携している病院や医院が多いため、比較的スムーズに行うことができるでしょう。

一方で、注意しなければならないのは、国家資格である柔道整復師に対し、これに極めてよく似た整体師という資格があることです。いわゆるカイロプラクティクといった看板を掲げて整体をしているクリニックに多いのですが、整体師は国家資格ではなく民間資格ですので、こういう施設での施術は避けた方が良いでしょう。

損害賠償請求や後遺障害等級認定においては、国家資格を持った有資格者の施術を受けておくことが必要です。

鍼灸院での施術も有効

鍼灸院とは、国家資格を有する鍼灸師(はり師、灸師)が東洋医学的な治療をする施設です。整形外科での西洋医学的なアプローチで症状が改善されない場合に、鍼灸院を訪れる方が多いようです。

念のため、保険会社に転院を連絡しておくこと

むち打ち症の施術で鍼灸院に通う場合、国家資格を取得して開業している鍼灸院であれば、整骨院・接骨院と同様に自賠責保険は適用されます。ただ保険会社によっては、報告をしないで勝手に病院から整骨院・接骨院や鍼灸院に転院すると保険金の支払いを拒否したケースもあります。

整骨院・接骨院や鍼灸院で施術を受ける場合は、まずその施設が自賠責保険の使用が可能かを確認したうえ、保険会社に報告してから施術を受けるようにしましょう。

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