【図解あり】むちうち症になったら支払われる慰謝料相場をすべて解説

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佐藤 學(元裁判官、元公証人、元法科大学院教授)の写真

佐藤 學(元裁判官、元公証人、元法科大学院教授)

むちうちとは

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むちうちかも?と思ったら弁護士に相談されることをお勧めします

交通事故によるむちうちの場合、弁護士が介入することで慰謝料が大幅に増額するケースもございます。通院方法や今後のやり取りについてご説明させていただきますのでまずはお気軽にご相談ください。

むちうち症とは

むちうち症とは、交通事故に遭い、首がむちのようにしなることで起こる頸部外傷の局所症状の総称です。自動車の追突や急停車などの際に、首の頸椎が、むちのように不自然な形でしなってしまい、ダメージを受けたために発生する症状です。

「むちうち症」というのは、医学的な傷病名ではありませんので、「外傷性頸部症候群(頸椎捻挫・頸部挫傷)」「神経根症(頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症)」「脊髄損傷」など医師の専門的診断を受けることが必要です(日本整形外科学会HP)。

むちうち症の症状

交通事故に遭ったとき、「むちうち症になった」という話をよく聞きますよね?ただ、具体的にどのような場合に起こり、どういった症状が発生するのかを知らない方も多いでしょう。

むちうち症になると、非常にさまざまな症状が出る可能性があります。多いのは、首や肩、腕の痛み、肩や手のしびれ、吐き気などです。めまいや耳鳴り、息苦しさ、腰痛や眼精疲労が発生することもあります。食欲不振、脱力感が発生したりすることもありますし、意欲が低下してうつ病につながることもあります。

むちうち症になりやすい交通事故のパターン

むちうち症になりやすい交通事故は、追突事故です。後ろから急に追突されることで、頸椎や腰椎がS字型にしなるからです。横から急に衝突された場合、急停車した場合なども同じです。交通事故に遭い、首や腰が不自然な形に曲がった後、身体に異常を感じたら、まずはむちうち症を疑ってみる必要があります。

むちうち症で交通事故被害者が加害者に請求できる項目

むちうち症になったら、加害者に対してどのような損害賠償をすることができるのでしょうか?請求できる項目をチェックしましょう。

治療費

まずは、治療費を請求することができます。入院費用、通院費用、投薬料、レントゲンやMRIなどの検査料などすべて、実費で支払いを受けられます。

通院交通費

通院のために交通費がかかった場合には、請求できます。電車やバスなどの公共交通機関を利用したときには実費の支払いを受けられますし、自家用車で通院した場合には、通常は1キロメートルあたり15円で算定したガソリン代を請求できます。

文書料、雑費

交通事故では、医師に診断書を作成してもらったり、病院から検査資料を取り寄せたりする必要がありますし、交通事故証明書を取得する必要もあります。そうした場合、文書料や手数料がかかりますが、そういったものも、損害として加害者に支払いを請求することができます。

休業損害

むちうち症になると、体調が悪くなってしばらく働けなくなってしまうことがあります。通院日には仕事を休まなければならないこともあるでしょう。そのようなときには、休業損害を請求することができます。休業損害を請求できるのは、サラリーマンや公務員、自営業者やアルバイトなどの仕事をしていた人です。専業主婦などの家事従事者の場合にも休業損害が認められます。

入通院慰謝料

むちうち症になると、病院で治療を受けます。その場合、入通院慰謝料の支払いを請求することができます。入通院慰謝料は、交通事故で怪我をしたことに対する慰謝料であり、傷害慰謝料と言われることもあります。

後遺障害慰謝料

むちうち症になった場合、治療を継続しても完治せず、後遺障害が残ってしまうことがあります。その場合、後遺障害慰謝料が認められます。後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害の内容や程度により、異なります。

後遺障害逸失利益

むちうち症で後遺障害が残ったケースでは、逸失利益を請求することができます。逸失利益というのは、将来得られるはずだったのに、得られなくなってしまった収入のことです。

後遺障害が残ると、通常「労働能力」が低下します。以前と同じようには身体を動かせなくなるからです。そして、労働能力が低下すると、本来よりも収入が下がると考えられます。そこで、こうした失われた利益を「逸失利益」として相手に請求することができるのです。逸失利益を請求できるのは、サラリーマンや公務員、自営業者やアルバイト、パート、専業主婦などの人ですが、子どもや学生でも逸失利益の請求が可能です。

むちうち症の賠償金の相場

むちうち症になると、合計でどのくらいの賠償金を支払ってもらえるのでしょうか?

後遺障害が残ったかどうかや被害者の年齢、収入などによっても大きく異なります。後遺障害が残らなかったら数十万円までですが、後遺障害が残ったら200万円程度の賠償金を支払ってもらうことができます。後遺障害の程度が重く、事故前の収入が高かった人などの場合、1000万円を超える賠償金を請求できるケースもあります。

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むちうち症は自覚症状が現れにくい

事故直後は症状を感じない

むちうち症では、事故後すぐには痛みやしびれなどの症状が出ないことがよくあります。交通事故直後、被害者は「自分が怪我をした」ことに気づきません。そこで、被害者は、警察に「物損事故」として届出をしてしまいます。また、怪我をしていないと思っているので、病院にも行きません。しかし、その後2、3日が経過すると、だんだんと痛みやしびれ、めまいや耳鳴りなどが発生してくるのです。

しかし、そうなると多くの問題が発生します。

物損事故にすると、慰謝料を支払ってもらえない

1つは、物損事故として届け出ていることによる問題です。物損事故になると、物損事故の賠償金しか支払ってもらえなくなります。治療費や慰謝料、休業損害などの費用はまったく請求できません。治療はすべて自腹になりますし、心身の機能に後遺障害が残っても、一切支払いを受けることができなくなります。

事故と症状の因果関係を証明できなくなる

もう1つは、病院に行っていないことによる問題です。事故後すぐに病院に行かないと、交通事故とむちうち症の症状の因果関係を証明することができなくなってしまいます。事故後数日してから痛みが発生したと言っても、相手からは「怪我は、交通事故後別の原因で負ったものだろう」と言われてしまいます。すると、やはり治療費や慰謝料などの支払いを受けられなくなってしまいます。

事故現場で痛みがなくても、「人身事故」にして「病院に行く」

そこで、交通事故時に衝撃を受けたら、たとえその場で痛みなどの自覚症状がなくても、必ず警察には人身事故として届け出るべきです。そして、現場での実況見分が終わったら、事故直後に病院に行って、受診しておく必要があります。むちうち症の場合に行く病院は「整形外科」です。

万一、物損事故として届け出てしまったら

むちうち症になったとき、物損事故として届け出てしまったら、もはや慰謝料はあきらめるしかないのでしょうか?

警察で、人身事故への切り替えをする

物損事故から人身事故に切り替えることは可能です。そのためには、まずは病院に行って診察を受け、診断書を書いてもらう必要があります。そしてそれを警察署に持参して、人身事故への切り替え申請をします。交通事故が発生してからの日が浅ければ、警察が対応してくれます。だいたい10日までが目安です。

加害者の保険会社に、人身事故証明書入手不能理由書を提出する

日が空いてしまった場合には、警察が受け付けてくれません。この場合でも、人身事故扱いにしてもらい、慰謝料の支払いを受ける方法があります。そのためには、加害者の保険会社に連絡を入れて「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を提出します。これは「どうして人身事故と書いてある事故証明書を提出することができないのか」を説明するための書類です。

加害者の保険会社に書式があるので、送ってもらって必要事項を記入して提出しましょう。これが受け付けられたら、治療費や休業損害、慰謝料などの人身事故の賠償金を支払ってもらうことができるので、一安心です。

どちらにしても、早く対応をすることが重要なので、万が一物損事故として届け出てしまったら、すぐに整形外科に行って必要な対応をしましょう。

むちうち症は、治療費を途中で打ち切られやすい

治療費打ち切りの問題とは

交通事故でむちうち症になった被害者の方が抱えるお悩みで多いのは、「治療費を途中で打ち切られてしまう」問題です。事故後、しばらくの間は、加害者の保険会社が治療費を支払ってくれるのですが、通院期間が長くなってくると、支払いを打ち切られてしまうのです。加害者の保険会社から「そろそろ治療は終わりです」「症状固定としてください」「示談交渉を始めましょう」などと言われることも多いのです。

治療費を打ち切られてしまったら、被害者は自腹で病院治療をしなければならないので、加害者の保険会社の言うままに治療を打ち切ってしまう方もいます。しかし、治療を辞めるのは、非常にまずいことになります。交通事故後の治療は、「完治又は症状固定」するまで継続しなければならないからです。

症状固定とは

症状固定とは、治療を続けても、それ以上症状の改善の望めない状態のことです。症状固定すると、それ以上治療を続けても意味がないので、治療は終了です。交通事故の場合、症状固定するまでの治療費は、加害者に請求することができます。入通院慰謝料も、症状固定するまでの分を請求できます。また、症状固定したときに残っている症状が「後遺障害」です。そこで、症状固定したら、後遺障害の等級認定を受けることができるようになります。

そして、症状固定したかどうかを判断するのは、病院の担当医師です。症状固定は、医学的な判断だからです。加害者の保険会社ではありません。加害者の保険会社は「そろそろ症状固定です」などと言ってくることがありますが、何か根拠があってそう言っているわけではありません。「むちうち症で、事故後3か月くらい経っているから、症状固定しているはず」と憶測で言っているだけです。保険会社内部に「むちうち症は3か月で症状固定」などというマニュアルがある場合もあります。

早期に治療を打ち切る問題点

それでは、任意保険会社から治療費の打ち切りにあったときに治療を辞めてしまうと、どのような問題があるのでしょうか?

まず、必要な治療を受けられなくなってしまいます。まだ症状固定していないのであれば、治療によって改善する可能性もあります。それなのに、治療を打ち切ると、体調が悪いまま放置することになってしまいます。また、その後の治療については自腹になることも問題です。

どうしても体調が悪いからと思って病院に行っても、既に症状固定としていたら、その分の治療費の請求はできません。入通院慰謝料も減ります。さらに、適切に後遺障害等級認定を受けられないおそれもあります。後遺障害は、本来症状固定時に残っている症状について判断するものですから、症状固定前に治療を打ち切ると、後遺障害に関する請求が難しくなるのです。

このように、加害者の保険会社の言うままに治療を辞めると不利益のオンパレードのようになってしまうので、絶対に従ってはいけません。

健康保険を使って通院を継続しましょう

加害者の保険会社から治療費の打ち切りにあった場合には、自分の健康保険に切り替えをして、通院を継続すべきです。保険組合や市町村(国民健康保険の場合)に対し、「第三者行為による傷病届」を提出したら、交通事故後の治療にも健康保険を適用してもらうことができます。

通院先の病院によっては、「交通事故の患者は健康保険を使えません」と言ってくることがありますが、そのような決まりはありません。交渉をしてみて、どうしてもダメなら転院も考えるべきです。そのような交通事故患者に理解のない病院に通院を継続していると、後日後遺障害等級認定を受けるときにも協力を受けにくいと考えられます。

交通事故が労災だった場合には、労災保険を利用して通院を継続することも可能です。労災保険が適用されると、自己負担分が0になるので、非常に助かります。是非とも利用すると良いでしょう。ただし、労災保険を利用した場合には、健康保険の給付はありませんので、注意が必要です。

むちうち症で整骨院に通うと、トラブルになりやすい

むちうち症になった場合、「整骨院」に通院することもあります。「整骨院」への通院も、トラブルの要因になりやすいのです。

病院と整骨院の違い

まず、整骨院と病院について混同されていることがあるので、区別を説明しておきます。病院は、医師資格を持った医師が診察や治療をしてくれる場所です。治療とは、症状を改善するための各種の処置のことです。病院では、投薬やレントゲン、MRIなどによる検査もしてもらえます。

これに対し、整骨院の先生は「柔道整復師」という資格を持った人です。医師ではないので「治療」はできず、症状を緩和するための「施術」ができるだけです。また、投薬やレントゲンなどの検査はできません。そこで、整骨院に行っても、症状を治してもらうことはできませんし、必要な検査も受けることができません。

交通事故に遭ったら、必ず病院に行きましょう

むちうち症で病院に行かずに整骨院に通っても、レントゲンやMRIなどによる検査を受けることができませんし、医師による診断を受けることもできないので、むちうち症になったという証拠を残すことができません。そうした場合、後に加害者に賠償金の請求をしたとき「交通事故でむちうち症になったとは認められない」と言われて、一切の賠償金を否定されるおそれがあります。

交通事故に遭ったら、まずはすぐに整形外科(病院)に行く必要があります。どうしても整骨院に行きたい場合には、病院での治療が一段落して、症状が落ち着いてからにしましょう。

整骨院に行く場合の注意点

また、自分の判断で勝手に整骨院に行ってはいけません。必ず病院の医師に相談をして、許可をとってから通う必要があります。勝手に整骨院に通うと、整骨院での料金支払いに健康保険を使えなくなってしまったり、加害者の保険会社から整骨院の施術費を出してもらえなくなったりするおそれがあります。

さらに、病院の医師の機嫌を損ねて、関係が悪化することもあります。

むちうち症で、確実に慰謝料を獲得するためのポイント

以上のように、むちうち症になった場合、まずはきちんと人身事故として届出をして、すぐに病院(整形外科)に通い、整骨院に行くときには病院の医師の判断を仰ぐこと、そして、症状固定するまで確実に通院を続けることが、適切に慰謝料を獲得するためのポイントです。

むちうち症の慰謝料相場

むちうち症になったら、加害者に対してどのくらいの慰謝料を請求できるものなのでしょうか?入通院慰謝料、後遺障害慰謝料の順番に、確認していきましょう。

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入院期間や通院期間が長くなると、その分高額になります。むちうち症の場合、通常入院はしないので、主に問題になるのは通院期間です。ただし、入院が必要になるケースもあります。その場合、相手から「入院は不要」「入院はむちうち症と因果関係がないから、入院費用を支払わない」などと言われることがあるので、事前に医師と相談して同意をとっておくことが必要です。

2段階の慰謝料計算基準

むちうち症でも、レントゲンやMRIの画像などに異常が見られない場合(自分が感じる痛みやしびれなどの自覚症状しかない場合)には、入通院慰謝料の金額が低めになります。これに対し、画像などで明確に異常が見られる場合、慰謝料が高額になります。では、もう少し具体的に見てみましょう。

慰謝料の算定基準には、後述するように、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準という3つの基準があります。
ここでは、弁護士基準によって、一般的な説明をすることとします。

弁護士基準は、いわゆる赤い本や青本に基づく基準で、訴訟になった場合に見込むことができる賠償額の基準になります。赤い本と青本でも多少の相違がありますので、以下の説明は、赤い本によっています。
弁護士基準では、入通院期間に応じて慰謝料額を算定します。赤い本の算定表には、下記のように、別表Ⅰと別表Ⅱの2種類があります。

入通院慰謝料については、原則として入通院期間を基礎として別表Ⅰを使用します。別表Ⅰでは、通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とされることもあります。

また、むちうち症で他覚的所見がない場合や、軽い打撲・軽い挫創(傷)の場合は、入通院期間を基礎として別表Ⅱを使用します。別表Ⅱでは、通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とされることもあります。

なお、慰謝料算定の基礎となる入通院期間とは、症状固定時までの入通院期間をいいます。

【表の見方】
・入院月数を上欄から、通院月数を左欄から求めて、両者が交差する欄の金額が求める慰謝料です。
・入院のみの場合は、上欄の月数のすぐ下の金額が、入院期間に該当する慰謝料です。
・通院のみの場合は、左欄の月数のすぐ横の金額が、通院期間に該当する慰謝料です。

別表Ⅰ(単位:万円)
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院  53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346  
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344    
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341      
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338        
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335          
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332            
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326              
13月 158 187 213 238 262 282 300 316                
14月 162 189 215 240 264 284 302                  
15月 164 191 217 242 266 286                    
別表Ⅱ(単位:万円)
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 85 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229  
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225    
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219      
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214        
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209          
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204            
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200              
13月 120 137 152 162 173 181 189 195                
14月 121 138 153 163 174 182 190                  
15月 122 139 154 164 175 183                    

後遺障害慰謝料

むちうち症でも、後遺障害が認定されることがあります。むちうち症で認定される可能性のある後遺障害は、14級か12級です。レントゲンなどの画像診断によって異常が検出されない場合には、低い等級である14級が認定されますし、画像診断で異常が見つかった場合には、高い等級である12級が認定されます。

14級の場合の後遺障害慰謝料は110万円、12級の場合の後遺障害慰謝料は290万円です。

むちうち症で後遺障害認定を受ける方法

後遺障害等級認定とは

むちうち症になったとき、認定を受けられる可能性のある後遺障害の等級は、12級13号か14級9号です。

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

上記のような後遺障害が残った場合、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することができます。ただ、実際にお金を支払ってもらうためには、後遺障害を「認定」してもらう必要があります。たとえ痛みやしびれなどの症状が残って不自由な思いをしていても、正式に認定を受けないと、慰謝料を支払ってもらうことができないのです。

後遺障害等級認定の申請手続きには、事前認定と被害者請求の2つがあります。
事前認定とは、加害者の任意保険会社が、被害者の代わりに、後遺障害等級認定の申請手続きを行うことをいいます。
また、被害者請求とは、被害者が直接加害者の自賠責保険会社に後遺障害等級認定の申請手続きを行うことをいいます。

後遺障害等級認定の流れ

実際に後遺障害の等級認定を行うときの流れをご説明します。

医師に、後遺障害診断書を作成してもらう

まずは、症状固定するまで通院を継続することが大前提です。そして、被害者は、症状固定後、担当医師に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。

後遺障害診断書とは、後遺障害の内容に特化した診断書です。定まった書式があるので、医師に渡して記入してもらいましょう。こちらのページからダウンロードできます。

後遺障害診断書の内容は、後遺障害等級認定に非常に大きな影響を及ぼします。そして、後遺障害の等級認定を的確かつ迅速に受けるためには、後遺障害診断書に、できる限り詳細かつ具体的に被害者の症状や治療状況を記載してもらい、症状の裏付けとなる他覚的所見(画像所見や神経学的所見等)を記載してもらう必要があります。症状を正確に記載してもらうため、自覚症状についてはしっかり医師に伝えましょう。医師が「完治」などと書いてしまったために等級認定を受けられなくなる例もあるので、注意が必要です。できれば、後遺障害診断書の作成経験のある医師に書いてもらう方が安心です。

事前認定と被害者請求

担当医師に後遺障害診断書を作成してもらったら、事前認定の場合、被害者は、後遺障害診断書を加害者の任意保険会社に送付し、任意保険会社は、後遺障害診断書以外のすべての必要書類を収集します。
被害者請求の場合、被害者は、後遺障害診断書を含む、すべての必要書類を収集します。

そして、事前認定の場合、任意保険会社は、すべての必要書類を損害保険料率算出機構(以下「損保料率機構」といいます)の下部機構である自賠責損害調査事務所(以下「調査事務所」といいます)に送付して申請手続きを行うとともに、調査依頼をします。

また、被害者請求の場合、被害者は、すべての必要書類を加害者の自賠責保険会社に提出して申請手続きを行い、自賠責保険会社は、必要書類に不備がないか確認のうえ、提出された必要書類を調査事務所に送付するとともに、調査依頼をします。

審査と認定

調査事務所は、送付された必要書類に基づいて、事故発生状況、支払いの的確性(自賠責保険の対象となる事故かどうか、また、傷害と事故との因果関係があるかどうかなど)及び発生した損害の額などについて審査を行います。必要書類の内容だけでは事故に関する事実確認ができないものについては、事故当事者に対する事故状況の照会、事故現場等での事故状況・周辺状況の把握、医療機関に対する被害者の治療状況の確認など必要な調査を行います。なお、後遺障害の等級認定が難しい事案など、調査事務所では判断が困難な事案については、調査事務所の上部機関である地区本部や本部で審査を行います。
調査事務所は、審査をふまえて、後遺障害等級認定(非該当ということも当然あります)を行います。

後遺障害等級認定の申請手続きをするとき、事前認定と被害者請求のどちらが有利なのでしょうか?

事前認定は楽だけど、認定を受けられないおそれが高くなる

楽なのは、事前認定です。事前認定のときには、後遺障害診断書を加害者の任意保険会社に送ったら終わります。他には、何もしなくてかまいません。ただ待っていただけで、任意保険会社から連絡が来て、結果がどうなったか教えてもらえます。「14級でした」と言われることもありますが、「非該当でした(認定を受けられなかった)」と言われることもあります。理由については、あまり丁寧に説明してもらえません。

反面、事前認定では、事故の加害者の任意保険会社に重要な後遺障害等級認定の申請手続きを任せてしまうことになるので、不安です。「本当に、きちんと手続きをしてくれているのか」わかりません。加害者の任意保険会社にしてみると、被害者の後遺障害等級が認められない方が有利ですから、自社内の産業医に依頼して、被害者の不利になる内容の意見書を書かせて提出するケースもあります。

事前認定にすると、後遺障害の等級認定が受けにくくなるおそれがあります。

被害者請求は面倒でも、認定を受けやすい

被害者請求の場合には、自分で必要書類を全部揃えて加害者の自賠責保険会社に提出しなければなりません。交通事故証明書や事故状況証明書、診断書や診療報酬明細書、印鑑登録証明書等の必要書類がたくさんあるので、とても面倒です。また、病院からレントゲン画像等の検査資料や診療報酬明細書を取り寄せたりするために、費用もかかります。

ただ、被害者請求の場合、自分で手続きをすることができるので、どのように申請が行われたのかがわかり、安心です。また、担当医師に依頼して有利になる内容の意見書を書いてもらい、追加提出することも可能です。そこで、被害者請求を利用した方が結果として後遺障害の等級認定が受けやすいですし、たとえ非該当になっても納得しやすいです。

結論的に、むちうち症で確実に後遺障害の等級認定を受けたいなら、被害者請求を利用すべきです。

12級13号の認定を受ける方法

12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、被害者の自覚症状が、他覚的所見によって、医学的に証明できた場合です。

12級13号の認定を受けるためには、被害者の自覚症状(知覚障害、局部のしびれ感、麻痺など)が、他覚的所見、すなわち、理学的検査(視診、打診、聴診、触診)、画像所見(レントゲン画像、CT画像、MRI画像など)や神経学的所見(神経学的検査を実施した上での所見)によって、客観的に異常所見と確認され、かつその異常が当該交通事故の骨折等の外傷による器質的損傷と認められる必要があります。 
このような場合に、被害者の自覚症状が、他覚的所見によって、医学的に証明できたといえることになります。

画像診断については、レントゲン検査、CT検査、MRI検査がありますが、MRI検査は必須になります。

また、事故当初からのMRI画像は、神経根圧迫状態等の経緯を観察するうえで、重要な役割を果たしますので、MRI(0.5テスラ、1.5テスラ、3.0テスラの順に性能が高くなり、3.0テスラでは末梢脳血管や末梢神経の状態まで確認できますので、むちうち症の被害者は3.0テスラで頸部、腰部を撮影してもらうことが必要です)の撮影装置を常備した病院に通院した方が望ましいといえます。

そして、しびれなどの異常知覚がある場合には、必ず頸部や腰部のMRIの撮影をもらうことです。MRIの画像所見がなければ、現実問題として、後遺障害等級認定が難しくなります。

検査によって異常が発見されたら、その資料をつけて被害者請求の方法で後遺障害等級認定の申請手続きをします。そうすれば、12級13号の等級認定を受けられる可能性が高くなります。

14級9号の認定を受ける方法

症状を証明できなくても、後遺障害等級が認定される

14級9号の「局部に神経症状を残すもの」とは、被害者の自覚症状が、医学的に説明できた場合です。

14級9号の認定を受けるためには、被害者の自覚症状(頭痛、めまい、疲労感など)が、他覚的所見は認められないものの、医師による理学的検査や神経学的所見(神経学的検査を実施したうえでの所見。神経学的検査では、患者の意思と無関係に結果が得られる深部腱反射検査及び筋萎縮検査の検査結果が重視されます)と一致している必要があります。

そして、治療状況や症状推移などから症状が一貫していること、将来においても回復困難と認められること(14級か非該当のボーダーラインの場合、医師の所見が特に重要になります)であれば、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当することになります。

このような場合に、被害者の自覚症状が、医学的に説明できたといえることになります。

実際には、むちうち症になった場合、MRI検査などで異常を確認できるケースは少ないため、後遺障害の等級認定を受けるときには主に14級9号によることとなります。

神経学的検査を受けよう

14級9号で、証明が要らないとは言っても、何の資料もない場合には後遺障害の等級認定を受けられません。そこで、「神経学的検査」という検査を行うことにより、症状を確認していきます。たとえば、腱反射テストやジャクソンテスト、スパークリングテストや関節可動域検査といった検査手法を使います。まだ実施していない場合には、医師に相談しましょう。

自覚症状の訴えの変遷に注意

また、自覚症状の訴えに、不自然な変遷がないことも重要です。たとえば、当初は「右肩が痛い」と言っていたのに、いつのまにか「首が痛い」と言い始め、「雨が降ったら痛い」と言い、「背中がしびれる」と言うなど、主張内容がコロコロ変わると、「本当は症状が無いのではないか?」と疑われます。病院では、訴えた内容がカルテに記載されているので、医師に症状を訴えるときには、そのときどきの気分で適当なことを言わないことが大切です。

このようにして、合理的な自覚的な主張を行い、それに一致した神経学的検査の結果が出たら、14級9号の認定を受けられる可能性が高くなります。

むちうち症の慰謝料は、弁護士基準で請求する

交通事故の慰謝料の基準とは

むちうち症で高額な慰謝料を請求するためには、等級だけではなく算定基準も重要です。
交通事故の損害賠償額算定基準には、自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準の3種類があります。この中で、妥当な基準は弁護士基準です。弁護士基準は、訴訟になった場合に見込むことができる賠償額の基準だからです。
自賠責基準は、自賠法に基づく自賠責保険の支払基準であり、任意保険基準は、各任意保険会社が独自に定めている基準です。

弁護士基準で計算

3つの基準を比較するとき、金額的には、弁護士基準が圧倒的に高額です。他の2つの基準で計算したときと比べて、慰謝料が2倍、3倍になることも多いのです。

先にご紹介した入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の金額は、すべて弁護士基準によるものです。もし自賠責基準や任意保険基準で計算をしたら、賠償金の金額が2分の1や3分の1程度まで、大きく減らされてしまいます。

たとえば、後遺障害12級の後遺障害慰謝料は、弁護士基準なら290万円ですが、自賠責基準なら93万円、任意保険基準(現在は各社とも非公表ですが、統一基準があった当時の場合)なら100万円にしかなりません。14級の後遺障害慰謝料は、弁護士基準なら110万円ですが、自賠責基準なら32万円、任意保険基準(上記と同じ)でも40万円にしかならないのです。

むちうち症になって同じように苦しんでいるのに、算定基準1つのことで、賠償額を大きく減らされて、大変な不利益を受けてしまいます。そこで、むちうち症になって慰謝料請求をするときには、弁護士基準で計算する必要性が高いのです。

自分で示談交渉をすると、弁護士基準が適用されない

それでは、どのようにすると、弁護士基準を適用してもらうことができるのでしょうか?

実は、被害者が自分で任意保険会社と示談交渉を進める場合、弁護士基準を適用してもらえる可能性は低くなります。加害者の任意保険会社は、被害者と直接示談交渉をするために、任意保険基準を定めているからです。

被害者は、通常交通事故の損害賠償額算定基準について、知識がありません。そこで、任意保険会社は、「被害者が、安いことに気づかずに示談してくれたら良い」と考えて、さも当然であるかのような顔をして、任意保険基準を当てはめてくるのです。被害者自身が「その金額は低い」「納得できない」というと、「そんなことはない。この条件は、あなたのための特別な条件です。弁護士に依頼したら、もうこの条件は出せません」と言ったり、「それだったら、示談はできませんね」などと言ったりします。

そうして、被害者が「裁判するくらいなら、示談してしまおうか…」と考えるのを待っています。

弁護士に依頼しましょう

むちうち症の被害者が弁護士基準で慰謝料を計算してもらうためには、弁護士に示談交渉を依頼すべきです。弁護士が示談交渉の代行をするときには、弁護士基準を使うものだからです。弁護士が使うから、弁護士基準と言われています。

加害者の任意保険会社も、弁護士相手に任意保険基準を主張することはありません。弁護士は、任意保険基準を受け入れることはありませんし、もし強硬に任意保険基準を主張したら、裁判をされてしまうだけだからです。

むちうち症の被害者が、加害者の任意保険会社から提示された慰謝料に納得ができずに弁護士に対応を依頼すると、それだけで慰謝料額が2倍や3倍に増額されます。弁護士費用を支払っても、十分におつりが来るだけの利益があります。

むちうち症の慰謝料で損をしないための対処法

以上を前提に、むちうち症の被害者が慰謝料請求で損をしないための対処方法をまとめます。

人身事故として届け出る

まずは、人身事故として届け出ることです。万一物損事故で届けてしまったら、速やかに切り替え申請をしましょう。

すぐに病院に行く

すぐに病院に行かないと、むちうち症と交通事故の因果関係を証明できなくなります。事故当日か、遅くとも3日以内には整形外科を受診しましょう。

症状固定まで通院を継続する

加害者の任意保険会社から治療費を打ち切られても、通院を辞めずに症状固定まで継続する必要があります。このことで、入通院慰謝料が増額されますし、後遺障害等級認定も受けやすくなります。

できれば後遺障害12級を認定してもらう

症状固定した後は、後遺障害等級認定の申請手続きをします。できれば12級の認定を受けられると、後遺障害慰謝料が大幅にアップします。精度の高いMRI検査機器を使って検査してもらいましょう。

12級が無理でも14級を認定してもらう

レントゲンやMRI画像によって異常が見られなくても、14級なら認定を受けられる可能性があります。良い専門医に相談しながら、神経学的検査を使い、矛盾のない自覚症状の訴えをして、後遺障害等級認定の申請手続きをしましょう。

被害者請求をする

後遺障害等級認定の申請手続きをするときには、被害者請求の方法を利用することが重要です。

弁護士に対応を依頼する

実際に加害者に対して慰謝料請求をするときには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。このことにより、弁護士基準が適用されるので、自分が交渉する場合と比べて慰謝料の金額が2倍、3倍にアップします。

交通事故のむちうち症で、適切な慰謝料を得るには弁護士に相談を

交通事故でむちうち症になった場合、適切な金額の慰謝料を獲得するためには弁護士のサポートが重要です。

正しい対処方法をアドバイスしてくれる

弁護士に相談をすると、各段階で正しい対処方法をアドバイスしてくれます。たとえば、加害者の任意保険会社から治療費を打ち切られそうなとき、整骨院に通院したいとき、加害者の任意保険会社の主張内容が間違っていると感じるときなど、法的なサポートを受けられたら安心です。弁護士には、常に正しい判断が期待できるため、後に不利益を受けるおそれがなくなります。

後遺障害認定をサポートしてくれる

後遺障害の等級認定を受けるときには、被害者請求を利用すべきです。ただ、被害者請求は、非常に手間がかかります。自分で書類集めをして自分の裁量で申請手続きができるので工夫の余地があるのは良いのですが、工夫するだけのスキルがなかったら、単に面倒なだけです。

弁護士に相談すると、弁護士が代理で後遺障害の等級認定の申請手続きをしてくれます。交通事故に強い弁護士なら、後遺障害等級認定の申請手続きの経験もノウハウも豊富なので、効果的に被害者請求を進めてくれます。このことで、後遺障害の等級認定を受けられる可能性が格段に高まります。

加害者の任意保険会社の提示金額に納得できないときに、助けてくれる

むちうち症の被害者の方は、加害者の任意保険会社から示談金の提示を受けたとき「納得できない」と感じることが多いことでしょう。しかし、「示談しない」というと、裁判するしかありませんし、裁判しても示談金が上がるかどうかがわからないから、結局加害者の任意保険会社の言い分を受け入れてしまうことにもなりかねないのです。

このようなとき、弁護士に依頼したら、適切な金額を教えてくれますし、示談交渉の代理人となってくれるので、被害者は安心できますし、高額な慰謝料を受け取ることができます。

むちうち症で対応に困ったら、弁護士に相談しましょう

以上のように、むちうち症の被害者が困ったとき、弁護士のサポートを受けることが非常に有効です。交通事故対応でお悩みの場合には、まずは交通事故に専門的に取り組んでいる弁護士に相談してみましょう

交通事故に強い【おすすめ】の弁護士に相談

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交通事故弁護士による交通事故トラブル解決事例

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