交通事故の慰謝料計算基準には3種類があり、中でももっとも高額なのは弁護士基準です。弁護士に示談交渉を依頼すると慰謝料が数倍に増額されることも多々ありますし、示談交渉の精神的なストレスもなくなります。弁護士費用を払っても大きなおつりがくるケースが大多数なので、人身事故に遭って慰謝料請求をするなら弁護士に相談して相場の金額を確かめてみましょう。
目次
交通事故の慰謝料とは?
交通事故と慰謝料の基本的な関係
交通事故に遭ったら、当然のように「慰謝料」を請求できると考えている方が多いです。しかし交通事故だからといって、必ず慰謝料請求できるとは限りません。慰謝料が発生するのは、基本的に人身事故のみです。車が壊れただけの「物損事故」の場合、基本的に慰謝料請求はできません。
また交通事故で発生する損害は「慰謝料」だけではありません。怪我をしたら治療費や通院交通費、休業損害、逸失利益などのいろいろな損害が発生します。慰謝料はこれらとは別の精神的損害なので、交通事故の示談の際には、慰謝料を含んだ「損害賠償金」を請求できます。
それでは慰謝料とは何か
それでは交通事故で請求できる「慰謝料」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
慰謝料はずばり「精神的苦痛に対する損害賠償金」です。交通事故の中でも、人身事故に遭って怪我をしたり死亡したりすると、被害者は恐怖や苦痛、不安を感じ、多大な精神的苦痛を受けます。そこで、その精神的なショックを慰めるための賠償金として、慰謝料が必要となるのです。物損事故では、被害者はそれほど大きな精神的苦痛を受けないと考えられているので、慰謝料が発生しません。
また死亡事故の場合、「被害者が即死したら精神的苦痛を受ける時間がないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、被害者は死亡の瞬間に強い精神的苦痛を受けて慰謝料が発生し、それがそのまま相続人に相続されると考えられています。
交通事故で請求できる慰謝料の種類
交通事故で発生する慰謝料について、もう少し細かくみていきましょう。実は交通事故で請求できる慰謝料には3種類があります。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
それぞれがどのようなものか、みていきましょう。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、交通事故によって負傷したときに認められる慰謝料です。入通院治療を受けた期間の長さに応じて支払われるので「入通院慰謝料」といいますが、怪我をすると認められるので傷害慰謝料とも呼ばれます。
入通院慰謝料は、基本的に被害者が受傷すれば発生するので、後遺障害が残らなくても支払ってもらえます。ただし入院治療や通院治療を受けた場合に限って認められるので、受傷しても病院に行かなかったら支払いを受けられません。
また入通院した期間の分を計算されるので、治療期間が長いケースの方が高額になります。入院と通院を比べると、入院した人の方が重傷と考えられるので、同じ治療期間であれば、通院期間より入院期間の方が、慰謝料は高額になります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故によって「後遺障害」が残った場合にのみ支払われる慰謝料です。後遺障害とは、交通事故後治療を受けても完治せずに後遺症が残ってしまい、そのことについて正式に「後遺障害認定」を受けた場合の身体や精神の障害です。
後遺障害が残ると、被害者は一生その症状を抱えて生きて行かないといけないので、多大な精神的苦痛を受けるので、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」が支払われます。
ひと言で交通事故の後遺障害と言ってもケースによってさまざまですから、後遺障害慰謝料の金額は、残った後遺障害の内容によって大きく異なります。当然重い症状が残った場合に慰謝料の金額も高額になります。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、その名の通り、事故で被害者が死亡したときに支払われる慰謝料です。被害者に家族がいて、被害者の収入によって生活していたケースでは、被害者の死亡によって家族も大きな精神的苦痛を受けるので、死亡慰謝料は、家族がいた人の方が高額になる傾向にあります。
交通事故・慰謝料金額3つの基準
実際に交通事故が発生したとき、上記の3種類の慰謝料はどのようにして計算されるのでしょうか?実は、交通事故の慰謝料計算基準には3種類があり、どの計算方法を採用するかで慰謝料の金額が大きく異なってきます。
どのような基準があるのか、以下でご紹介します。
自賠責基準
1つ目の慰謝料計算基準は「自賠責基準」です。自賠責基準は、自賠責保険で保険金を計算する際に利用されています。
自賠責保険は、もともと交通事故被害者に対する最低限の給付をすることを目的とする保険なので、支払金額も低くなります。任意保険などは「自賠責基準」があたかも正当な基準であるかのような説明をしてくることがありますが、自賠責基準は被害者がもともと持っている法的な権利としての慰謝料請求権の金額と比べて相当小さな金額となるので正当とは言えず、鵜呑みにすべきではありません。
任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社が保険金を計算するために独自に定めている基準で、主に任意保険会社が被害者と示談交渉を進める際に利用されます。
多くの交通事故のケースにおいては被害者が自分で示談交渉を行うので、任意保険基準を適用されて各種の慰謝料が計算されています。
任意保険基準は、自賠責基準よりは多少高めになっていることが多いですが、被害者に保証された法的な権利としての慰謝料の金額と比べると、かなり低くなります。つまり、任意保険から提示された慰謝料の金額で納得してしまったら、被害者にとっては損になる可能性が高まるということです。
弁護士基準
3つ目の基準は弁護士基準です。これは、法的な根拠を持った正当な基準であり、裁判によって慰謝料を請求するときにも採用されています。
金額的にも3つの基準の中でもっとも高額です。弁護士が示談交渉に対応すると、当然のように弁護士基準が適用されるので、被害者が自分で示談交渉を進めるよりも大幅に示談金が増額されます。
入通院慰謝料の計算方法
入通院慰謝料は、どのように計算されるのか、それぞれの慰謝料計算基準を比較してみましょう。
自賠責基準
自賠責基準の場合、入通院慰謝料は基本的に「入通院の期間(総治療期間)×4200円」によって計算します。入院でも通院でも金額は同じです。ただし実際に通院した日数が少ない場合には、「実通院日数×2」が基準となります。
自賠責の入通院慰謝料の根拠となる治療日数は、以下の小さい方の数字です。
- 総治療期間(入通院した期間)
- 実際に入通院した日数×2
自賠責基準では、実際に通院した日数が少なくなると、入通院慰謝料が減額されてしまいます。
また、自賠責の入通院慰謝料計算の際には、以下のようなルールも適用されます。
- 同じ日に2つ以上の病院にかかった場合の治療日数は1日とする
- 骨折などによるギプスの装着期間は治療日数に含めする
- 最終の診断書に「継続」「転医」「中止」と記載されている場合、総治療日数に7日加算する
たとえば6か月(180日)の総治療期間のうち、120日入通院した場合には、180日を基準として、
- 180日×4200円=756000円
の入通院慰謝料が認められます。
6か月(180日)のうち、80日しか通院しなかった場合には、実通院日数である80日×2が採用されるので、入通院慰謝料の金額は、
- 160日×4200円=672000円
となります。
任意保険基準
任意保険基準は、各任意保険会社が自由に定めているので、明確な基準はありません。ただ、撤廃前の任意保険統一基準に近い数字を採用している保険会社が多いので、ここではその数字をベースに説明します。
任意保険基準では、通院期間よりも入院期間の方が高額な入通院慰謝料を設定しているケースが多いです。金額的には、通院の場合に自賠責基準と同水準、入院すると自賠責基準より高くなる、というイメージです。
たとえば6か月180日の治療期間の場合、全期間通院なら643000円、2か月入院・4か月通院なら983000円の入通院慰謝料が認められます。
交通事故の損害賠償金額を算出する場合、自賠責基準、任意保険基準、そして弁護士(裁判)基準と3つの基準があり、自賠責基準が...
弁護士基準
弁護士基準で計算する場合にも、通院期間より入院期間の方が、入通院慰謝料の金額が上がります。また弁護士基準の場合、軽傷の場合と通常程度の怪我の場合とで異なる基準が使われており、軽傷の場合には慰謝料が3分の2程度に減額されます。さらに、通院日数が少ない場合には、総治療期間ではなく実通院日数×3.5の数字が採用されて計算されることがあります。
計算例を挙げます。
通院6か月の場合
通常程度の怪我で通院6か月のケースでは、入通院慰謝料の相場は116万円程度となります。
入院2か月、通院4か月の場合
通常程度の怪我で入院2か月、その後通院4か月したケースでは、入通院慰謝料は165万円程度となります。
6か月の間に通院日数が45日だった場合
6か月の間に45日しか通院しなかった場合には、158日分(45×3.5)の入通院慰謝料しか請求できません。その場合、入通院慰謝料は81.6万円程度に減額されます(軽傷を前提として計算しています)。
通院6か月(軽傷)だった場合
被害者が打撲などの軽傷やむちうちで痛みなどの自覚症状しかなかった場合には、慰謝料は減額され、6か月の通院のケースで89万円程度となります。
このように、弁護士基準で計算すると、同じ6か月の治療期間でもケースによって入通院慰謝料が大きく変わってきますが、どのケースでも任意保険基準や自賠責基準よりは高額になります。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
通院6か月 | 756000円 | 643000円 | 1160000円 |
入院2か月、通院4か月 | 756000円 | 983000円 | 1650000円 |
軽傷 | 756000円 | 643000円 | 890000円 |
通院日数が80日 | 672000円 | 643000円だが、適宜減額される可能性が高い | 1160000円(軽傷の場合には890000円) |
通院日数が45日 | 378000円 | 643000円だが、適宜減額される可能性が高い | 816000円 |
入通院慰謝料をなるべく多く獲得する方法
入通院慰謝料をなるべく多く獲得するには、以下のようなことが重要なポイントとなります。
まじめに通院する
1つは、通院の頻度です。むちうちなどで症状が落ち着いてくると、病院に行くのが面倒になってまじめに通院しなくなる被害者の方が多いです。しかし通院日数が少なくなると、どの基準でも慰謝料を減額されます。任意保険基準でも、通院日数が少なくなったら慰謝料を減額されることが多いですし、「通院していないということは、そもそも完治しているということだ」などと言われて治療日数に数えてもらえなくなることも多々あります。
そこで、通院するときには、多少面倒でもまじめに病院に行くことが重要です。目安としては週に3~4度以上は病院に通うのが良いでしょう。病院に行った日は仕事を休んでも休業損害を請求できるので、減収分についてはそちらで対応してみてください。
通院を途中でやめない
交通事故被害者によくあるパターンですが、体調がある程度回復してくると、通院を途中で打ち切ってしまう方がおられます。仕事や日常が忙しいので病院に行っている余裕がないということもあるでしょう。
しかし、入通院慰謝料は入通院の日数や期間に応じて支払われるので、治療を途中で打ち切るとその分慰謝料が減額されるのは必至です。たとえ面倒でも、医師が「完治」または「症状固定」と判断するまで通院を継続しましょう。
交通事故では「むち打ち」になることが非常に多いです。この場合、相手の保険会社とトラブルになったり、後遺障害の認定が難しく...
弁護士基準で計算する
慰謝料を計算するときに必ず「弁護士基準」を適用することも重要です。上記で比較した通り、同じ状況でも自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のどの基準を適用するかにより、慰謝料の金額が大幅に異なってくるからです。
弁護士基準を適用すると、ほとんどどのようなケースでも慰謝料が大きく増額されます。被害者が自分で示談交渉をすると任意保険基準を適用されるので、高い弁護士基準をあてはめるため、弁護士に示談交渉を依頼するのが得策と言えます。
後遺障害慰謝料の計算の仕方
次に、後遺障害が残ったときの後遺傷害慰謝料の計算方法をご紹介します。
後遺障害慰謝料の基本的な相場
後遺障害慰謝料は、認定された「後遺障害の等級」によって機械的に算出されます。交通事故の後遺障害は、内容や程度に応じて14段階に分けられ、それぞれ「等級」がつけられます。1級がもっとも重症で、14級がもっとも軽い内容となっています。当然等級が上がれば上がるほど慰謝料が高額になります。
自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のどの基準でも、等級ごとのだいたいの相場が決まっています。3つの基準を比較すると、以下の通りです。
後遺障害の等級 | 弁護士基準 | 任意保険基準(推定) | 自賠責基準 |
---|---|---|---|
1級 | 2800万円 | 1300万円 | 1100万円 |
2級 | 2370万円 | 1120万円 | 958万円 |
3級 | 1990万円 | 950万円 | 829万円 |
4級 | 1670万円 | 800万円 | 712万円 |
5級 | 1400万円 | 700万円 | 599万円 |
6級 | 1180万円 | 600万円 | 498万円 |
7級 | 1000万円 | 500万円 | 409万円 |
8級 | 830万円 | 400万円 | 324万円 |
9級 | 690万円 | 300万円 | 245万円 |
10級 | 550万円 | 200万円 | 187万円 |
11級 | 420万円 | 150万円 | 135万円 |
12級 | 290万円 | 100万円 | 93万円 |
13級 | 180万円 | 60万円 | 57万円 |
14級 | 110万円 | 40万円 | 32万円 |
なお、任意保険基準については推定値であり、実際の数字はそれぞれの保険会社によって異なります。
上記をみると、自賠責基準と任意保険基準はだいたい似通った数字になりますが、弁護士基準で計算すると、他の基準の2~3倍の水準となっています。
たとえばむちうちになったら12級または14級の後遺障害認定を受けられる可能性がありますが、14級になった場合、自賠責基準なら32万円、任意保険基準なら40万円にしかなりません。弁護士基準なら110万円となります。12級の場合、自賠責基準なら93万円、任意保険基準なら100万円程度ですが、弁護士基準なら290万円です。
両眼の失明や植物状態、重度の高次脳機能障害などの重大な後遺障害認定を受けて1級となった場合では、自賠責基準なら1100万円、任意保険基準なら1300万円程度ですが、弁護士基準なら2800万円にまで金額が跳ね上がります。
後遺障害慰謝料をなるべく多く獲得する方法
確実に、高い等級の後遺障害認定を受ける
後遺障害慰謝料をなるべく多く獲得するには、まずは「後遺障害認定」を受けることが必須です。後遺障害認定を受けなければ、そもそも後遺障害慰謝料が支払われないからです。
また、高い等級の認定を受けることも重要です。後遺障害慰謝料は、等級が上がるほど高額になるからです。
後遺障害認定を適切に認定してもらうには、後遺障害の症状の内容や程度、交通事故との因果関係などを立証して自賠責保険を納得させる必要があります。そのためには、「被害者請求」と言って、被害者自身が自主的かつ積極的に後遺障害認定の手続きを進める方法をとるべきケースもあります。被害者が自分一人で取り組むとうまく進められない可能性があるので、心配なら交通事故に強い弁護士に相談して後遺障害の手続きを任せるのが良いでしょう。
弁護士基準で計算する
後遺障害慰謝料は、弁護士基準で計算すると他の計算基準より大幅に金額が増額されます。上記で見たように、弁護士基準にするだけで2倍や3倍になります。そこで高額な慰謝料を獲得したいなら、弁護士に依頼して示談交渉を進めてもらうべきです。
死亡事故の場合の慰謝料
死亡事故が発生すると、被害者には「死亡慰謝料」が認められます。死亡慰謝料はどのような計算方法になるのか、みておきましょう。
自賠責基準の場合
自賠責基準の場合には、本人の慰謝料と遺族の慰謝料に分けて計算されます。
本人の慰謝料は、一律350万円です。
遺族の慰謝料は、遺族の人数によって異なります。1人なら550万円、2人なら650万円、3人なら750万円です。遺族が被扶養者の場合には、上記に200万円が加算されます。
そこで自賠責基準の死亡慰謝料は、最大でも1300万円となります(被扶養者の遺族が3人いたケース。本人の350万円+遺族の950万円=1300万円)。
任意保険基準の場合
任意保険基準は各任意保険会社によってさまざまですが、1つの例として以下のような数字を挙げておきます。
- 一家の大黒柱が死亡した場合、1500~2000万程度
- 配偶者が死亡した場合、1300~1600万円程度
- 18歳未満で未就労の被害者の場合、1200~1600万円程度
- 被害者が65歳以上の高齢者であった場合、1100~1400万円程度
あくまで1つの参考値ですが、自賠責基準よりは高額になるのが通常です。
弁護士基準の場合
弁護士基準の死亡慰謝料の相場は以下の通りです。
- 被害者が一家の支柱だった場合、2800万円程度
- 被害者が母親や配偶者だった場合、2500万円程度
- その他(子どもや高齢者、独身の男女など)の場合、2000万円~2500万円程度
このように、弁護士基準で死亡慰謝料を計算すると、その他の基準と比べて1000万円やそれ以上慰謝料が増額されるケースも多々あります。
死亡慰謝料をなるべく多く獲得する方法
死亡慰謝料をなるべく多く獲得するには、以下のようなことが重要です。
慰謝料が増額される事情を数多く主張・証明する
死亡慰謝料は、ケースによって金額が大きく異なります。上記では相場を述べましたが、実際には3000万円以上の慰謝料が認められている裁判例も多数あります。そのようなケースでは、交通事故が悪質であったり(飲酒運転やひき逃げなど)、遺族(子どもの親など)が交通事故を目の当たりにしていたりなど、慰謝料の増額事由が認められています。
こうした慰謝料を増額すべき事情があるならば、適切に主張して考慮してもらうことにより、死亡慰謝料を標準より上げさせることが可能となります。
弁護士基準を適用する
死亡慰謝料についても、やはり弁護士基準と他の基準とでは金額が全く異なってきます。
同じように被害者が死亡して遺族が甚大な心痛を抱えているのに、慰謝料の計算基準などという問題で慰謝料が1000万円以上も減額されるのは、あまりにも不合理です。
被害者に法的に認められた慰謝料を補償してもらうため、死亡慰謝料の請求は必ず弁護士に依頼しましょう。
交通事故の損害賠償請求を行う権利があるのは原則として被害者本人のみだが、被害者が死亡してしまった事故でも、被害者の遺族が...
慰謝料の金額が増減するケース
ここまで慰謝料の標準的な「相場の金額」をご紹介してきましたが、実際の慰謝料の金額は、ケースによって増減します。以下では、交通事故の慰謝料が増額されるケースや反対に減額されるケースがどのような場合なのか、説明を加えていきます。
慰謝料は事情をふまえて修正される
「慰謝料が増減額される」と聞くと「人によって慰謝料が変わる?そのようなことになったら不公平ではないか?」と思う方がおられるかもしれません。
なぜ慰謝料は「事情を踏まえて増減される」のでしょうか?
そもそも慰謝料は「精神的苦痛に対する賠償金」です。精神的苦痛は、目に見えるものではないので、慰謝料の金額はそもそもがフィクションの数字です。不公平にならないように、同じような事故では同じような金額が認められるように相場を設定されてしていますが、個別のケースによって、明らかに精神的苦痛が強いケースとそうでもないケースがあるものです。
また被害者に過失がある場合や、すでに他からお金を受けとっている場合には、交通事故の賠償金そのものが減額されることがあります。すると賠償金の一部である慰謝料も自然に減額の対象になります。
このようなことから、各種の事情によって慰謝料は増減額されます。以下では、具体的にどういったケースで慰謝料が増額され、あるいは減額されるのかみていきましょう。
慰謝料金額が増加するケース
慰謝料が増額されるのは、以下のようなケースです。
事故態様が悪質
たとえば加害者が飲酒運転や無免許運転をしていたり、大幅なスピード違反をしていたりして重過失があった場合や、加害者に危険運転致死傷罪が適用されるケースなどでは加害者が悪質な分、被害者の精神的苦痛が大きくなるので、慰謝料が増額されやすいです。
加害者が反省していない
交通事故を起こしたのに、加害者が反省していないケースでも慰謝料が増額されることがあります。加害者が一度も被害者に謝りに来なかったり、平気で事故状況について虚偽を述べたりする場合や、任意保険に加入せず交通事故被害者への補償を軽視している場合などです。
被害者が離婚した、結婚が破談になった
交通事故による受傷をきっかけに家族関係が壊れてしまい、離婚に至ってしまうケースがあります。また事故前に結婚が決まっていた人でも、後遺障害が残ったなどの事情で破談になることがあるでしょう。そういったケースでも被害者の受ける精神的苦痛が大きくなるので、慰謝料は増額されます。
被害者が失職した
交通事故で重大なケガをすると、それまでのようには仕事を続けられなくなる方が多いです。サラリーマンなどの方は退職せざるを得なくなることがありますし、自営業者の方も廃業を余儀なくされることがあります。このように、退職や廃業などで失職すると、被害者は多大な精神的苦痛を受けるので、慰謝料が高額になります。
被害者が就職、入学、留学できなくなった
交通事故前に就職や入学、留学などの新たな門出が決まっていても、交通事故に遭うと実現不可能になってしまうことが多々あります。このように将来の道を断たれると被害者が大きな精神的苦痛を受けることは明らかですので、慰謝料が増額されます。
被害者が流産、中絶した
妊婦が交通事故に遭うと、衝撃で流産してしまうケースがありますし、レントゲンや投薬などの治療を受けるため、やむなく中絶するケースもあります。そのようなとき、被害者の受ける精神的苦痛は通常のケースより大きくなるので、慰謝料が増額されます。
逸失利益が認められなかった、減額された
交通事故で醜い傷跡が残る「外貌醜状」や脚の軽度な短縮障害、味覚・嗅覚の障害など、労働能力に直結しにくい後遺障害では、「逸失利益」が認められなかったり減額されたりすることがあります。そのような場合には、慰謝料を増額することにより、全体としての賠償金額が調整している裁判例が多数あります。
治療が過酷、苦痛を伴う
怪我の程度が重大で、治療方法が過酷であったり苦痛を伴ったりすると、慰謝料が増額される可能性があります。
慰謝料金額が減少するケース
慰謝料が減額される例としては、以下のようなパターンがあります。
過失相殺された
交通事故では、加害者だけではなく被害者側にも何らかの過失があることが多いです。そのために、示談交渉では被害者と加害者の「過失割合」を決定します。被害者にも過失割合があると、その分「過失相殺」されて、被害者の受けとれる慰謝料やその他の賠償金が減額されます。
身体的素因で減額された
交通事故には「素因減額」という考え方があります。素因減額とは、被害者側の要因によって損害が拡大したときに、被害者に支払われる賠償金を減額することです。
素因には「身体的素因」と「心因的素因」があります。身体的素因とは、被害者の持病や既往症、体質などの身体的な要因です。たとえばヘルニアがあったために治療に時間がかかった場合や、以前にも交通事故に遭っていて、そのときの後遺障害が原因で治療が長引いた場合、完治しなかった場合などに身体的素因による減額が行われることがあります。
ただし単に「被害者の首が標準よりも長い」という程度の「被害者の特殊な体質」程度では身体的素因による減額は行われません。
心因的素因で減額された
被害者の「心因的素因」とは、被害者の「気持ちの問題」による減額です。たとえば、被害者が事故前からうつ病にかかっていたために積極的に治療を受けず入通院期間が長引いた場合や、被害者が事故で落ち込み自殺未遂をしたために損害が拡大した場合などには心因的素因による減額が行われます。
損益相殺された
交通事故の損害賠償では「損益相殺」によって慰謝料が減額される可能性もあります。損益相殺とは、交通事故によって「利益」を得た場合において、その利益分を損害賠償金額から減額することです。
被害者は交通事故がなかったら利益を得られなかったのだから、そのような利益の分は損失と通算するのが公平なので、損益相殺が行われます。
損益相殺の対象になるのは、以下のような受取金です。
- 自賠責保険から受けとった保険金
- 政府保障事業によって支払われてん補金
- 労災保険金
- 厚生年金や健康保険などからの給付金
- 人身傷害補償保険の保険金
これらのお金を受けとると、その分慰謝料が減額されます。
これに対し、以下のようなお金は受けとっても損益相殺の対象になりません。
- 香典
- お見舞金
- 生命保険の死亡保険金
- 搭乗者傷害保険の保険金
- 自損事故保険の保険金
- 生活保護の給付金
- 労災の特別支給金、特別支給年金
自動車保険からの給付金については、人身傷害補償保険は損益相殺の対象になりますが、搭乗者傷害保険や自損事故保険は対象にならないので注意が必要です。
また労災給付については、基本的な給付金は損益相殺の対象になりますが、特別支給金、特別年金部分は損益相殺の対象から外れます。
何が損益相殺の対象になり、何が対象にならないかということは非常に複雑で把握しにくいです。自分で判断がつかない場合には弁護士に聞いて確かめるのが確実です。
交通事故・慰謝料請求までの流れ
交通事故に遭って慰謝料を支払ってもらえるまで、どのような流れで請求手続を進めていけば良いのか、説明します。
- 交通事故で負傷
- 治療開始
- 症状固定
- 後遺障害認定
- 示談交渉
- 示談成立
- 訴訟提起
- 和解または判決で解決
交通事故で負傷
人身事故に遭ったら、事故現場で必ず警察を呼びましょう。被害者であっても車やバイクを運転していた場合や同乗していた場合には報告義務があるからです。またけが人がいたら救護する必要がありますし、事故現場に散らかっているものなどあれば片付けをして、後続車に事故を知らせるなどして2次被害を防止しなければなりません。警察がやってきたら実況見分に立ち会って、事故の発生状況を正確に説明しましょう。
ただし負傷の程度が酷く動けない場合などには無理に上記のような対応をする必要はありません。救急車が来るのを待って適切な救護を受けましょう。
治療開始、継続
事故現場での対応が終わったら、すぐに病院に行って治療を開始すべきです。重傷なら入院しての手術などが必要になるケースもありますし、軽傷でもしっかり通院して怪我の完治を目指しましょう。
症状固定
交通事故後の怪我の治療は「症状固定」するまで継続します。症状固定とは、それ以上治療を行っても状態が改善しなくなった状態です。症状固定したときに後遺症が残っていたら基本的に一生残るので「後遺障害認定」の対象になります。
症状固定時期は医師が判断するので、医師と相談しながら症状固定するまで治療を進めていきましょう。
後遺障害認定
症状固定したときに後遺症が残っていたら「後遺障害認定」を受ける必要があります。後遺障害には1~14までの等級があり、どの等級になるかによって、支払われる慰謝料の金額が大きく異なってきます。
自分で適切に認定を受けられる自信がない方は、交通事故に強い弁護士に依頼して等級認定手続きを進めてもらいましょう。
示談交渉
後遺障害等級認定の結果がでたら、その内容を前提に相手の保険会社との示談交渉を開始します。示談では、双方の過失割合や慰謝料を始めとした各損害金の金額を決めていきます。お互いに最終的な合意ができれば示談が成立します。
示談成立と慰謝料支払い
示談が成立すると、「示談書」を作成して被害者と加害者が双方署名押印します。するとその後速やかに相手の保険会社から指定した口座へ示談金が振り込まれます。慰謝料も示談金の中に含まれているので、示談が成立したら慰謝料も支払ってもらえます。つまり、慰謝料は示談が成立するまで支払われません。
訴訟提起
相手の保険会社と交渉をしても合意できず決裂してしまったケースでは、訴訟を提起して裁判所に損害賠償金を決定してもらう必要があります。裁判所は、慰謝料を含めた各損害発生の有無や金額を判断してくれますし、過失割合や後遺障害の等級についても決定してくれます。つまり交通事故の賠償問題について不満がある場合には、訴訟に持ち込めば裁判官がすべて決めてくれるということです。
ただし訴訟は法的に専門的な手続きなので、有利な判決を獲得するには訴訟の専門家である弁護士による対応が必須です。
和解または判決によって解決
訴訟の途中で相手と和解した場合や裁判官が判決を下した場合には、損害賠償金が確定し、賠償問題が終局的に解決されます。
交通事故慰謝料に関するよくある質問Q&A
交通事故の慰謝料についてよくある質問に回答します。
そもそも慰謝料と示談金は何が違うの?
慰謝料とは、人身事故の被害者が受ける「精神的苦痛に対する損害賠償金」です。
これに対し示談金は、交通事故の被害者が加害者から受けとる損害賠償金全般です。示談金には慰謝料だけではなく治療費や休業損害、逸失利益、物損などがすべて含まれます。慰謝料よりずっと広い概念で、金額も慰謝料より高くなります。
つまり慰謝料は、示談金のごく一部だと考えると良いでしょう。
交通事故でむちうちに!慰謝料の相場はいくら?
むちうちになったときにもらえる可能性のある慰謝料は「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」です。
むちうちの入通院慰謝料は、入通院期間によって異なります。通院3か月なら53万円または73万円程度、通院6か月なら89万円または116万円程度、通院8か月なら103万円または132万円程度です。(いずれも前者は自覚症状しかないケース、後者はMRIなどで以上を把握できるケースの金額です)
むちうちの後遺障害慰謝料は、12級になった場合に290万円程度、14級になった場合に110万円程度です。
むちうちで後遺障害認定されたら、上記の慰謝料を合計した金額を受けとれます。後遺障害認定されなかった場合には、入通院慰謝料のみです。
交通事故の慰謝料は通院日数によっても変わる?
変わります。弁護士基準でも、通院日数が少なくなると実通院日数の3.5倍が基準とされてしまうからです。
痛みなどの症状が出ているのであれば、通院をサボらずに一定以上の頻度(できれば1週間に3、4回以上)で通院した方が良いです。
交通事故のリハビリで通院が続く場合も、慰謝料は請求できる?
できます。
リハビリ関連の費用(治療費や交通費等)も交通事故によって発生した損害ですので、相手に請求できますし、リハビリ期間も治療期間に含まれるので、その間の入通院慰謝料が発生します。
示談した後慰謝料が低すぎるとわかった場合、示談のやり直しは可能?
いったん示談をして示談書を作成してしまった場合、後に「実は慰謝料が安かった」ことが判明しても示談のやり直しは困難です。「その金額で示談すること」自体に勘違いがなかったら、「錯誤」にもなりません。
そこで示談をするときには「本当にその金額で良いのか」しっかり検討する必要があります。後で「実は相場より安かった」と知っても後の祭りになるので、示談する前に交通事故に詳しい弁護士に話を聞いて、正当な慰謝料の金額を把握することが重要です。
死亡事故の慰謝料請求は誰が請求するのか?
交通事故の慰謝料請求をするのは、通常事故に遭った本人です。しかし死亡事故の場合、本人は死亡しているので慰謝料請求できません。この場合、誰が慰謝料請求するのでしょうか?
死亡事故で慰謝料請求するのは、被害者の相続人たちです。相続人が複数の場合には、代表者を1人定めて加害者の保険会社に連絡する必要があります。自分達で代表者を決められない場合には、全員が弁護士に委任すると、弁護士を中心に慰謝料請求を進めていくことが可能です。
慰謝料請求はいつのタイミングで開始すればよいのか?
慰謝料請求をするのは、示談交渉を始めるときです。
後遺障害が残らないケースでは怪我が完治して治療を終了するとき、後遺障害認定を受ける場合には後遺障害認定結果が出て相手の保険会社と示談するときに、それぞれの慰謝料を請求します。
死亡事故の場合には、葬儀が済んで49日の法要が済んだあたりから慰謝料請求(示談交渉)を開始するケースが多いです。
相手の主張する慰謝料の金額がおかしいと思う場合、どうやって正しい計算をすれば良いのか?
慰謝料の計算方法についてはこの記事でも紹介しているので、まずは自分であてはめて計算してみてください。また、交通事故の赤い本、青い本と呼ばれる書籍を購入して、自分であてはめてみることも可能です。
ただ、素人の方では正確に慰謝料を計算することが難しい場合も多いです。その場合には、交通事故に強い弁護士に相談して、試算してもらうのが一番確実で手っ取り早いです。
慰謝料を受けとったら税金が発生する?
交通事故の慰謝料には基本的に税金はかかりません。お見舞い金や治療費、休業損害などについても同様です。
ただし、お見舞い金はあまりに高額だと課税対象になる可能性がありますし、交通事故によって事業用の資産が毀損された場合で、その資産の填補のために支払われる賠償金についても課税対象となるケースがあります。
慰謝料と過失割合の関係について知りたい
過失相殺されると、被害者が加害者に請求できる賠償金額が全体として減額されます。慰謝料は賠償金の中に含まれますので、過失割合によって賠償金全体が下がると自然に慰謝料も減額されます。
なるべく高額な慰謝料を受けとりたい場合には、被害者の過失割合を減らすことが大切です。
交通事故慰謝料請求・増額の成功事例
通院3か月や通院6か月のケースで慰謝料を増額できた事例をご紹介します。
交通事故で通院3か月。慰謝料を161万円、約5倍にまで増額できた事例
Aさんは、交通事故でむちうちとなり、当初かかった病院では「全治3か月」と診断されました。実際に3か月通院を続けましたが、思ったように回復しなかったので、Aさんとしては治療の継続を希望しました。しかし保険会社からは「もう治療は終わりましょう」と言われ、慰謝料として378000円を提示されました。
納得できなかったAさんは、弁護士に相談に行くと、弁護士からは「症状固定していないなら治療を継続しましょう。」と言われました。アドバイスに従って症状固定するまで半年通院を続け、後遺障害14級の認定を受けました。
最終的に、入通院慰謝料89万円、後遺障害慰謝料110万円の合計199万円の慰謝料を受けとることができました。もともとの提示額である378000円からは161万円程度増額されており、慰謝料は約5倍に上がっています。
交通事故で通院6か月、慰謝料が450万円、2倍以上アップした事例
Bさんは交通事故で複雑骨折して、通院6か月にて症状固定し、後遺障害8級の認定を受けました。任意保険会社からは、入通院慰謝料983000円、後遺障害慰謝料400万円の合計4983000円の提案を受けました。ここから3割の過失相殺をされるので、実際の慰謝料は350万円程度になるということでした。
Bさんとしては、これだけの酷い後遺障害が残っているのに350万円というのは安いのではないか?と思い、弁護士に相談に行きました。すると、弁護士基準で計算すれば慰謝料が大きく上がり、弁護士費用を支払っても十分おつりが来ると教えてもらえました。また過失割合については、3割は高すぎ2割程度になるだろう、ということでした。
そこで弁護士に依頼して示談交渉を任せたところ、入通院慰謝料が165万円、後遺障害慰謝料が830万円、合計995万円になり、過失割合は2割に落ち着きました。最終的にBさんの手元には800万円弱が入ってきました。もともとの保険会社の提示額と比べると、450万円もアップしており、2倍以上の金額になりました。
このように、交通事故では弁護士に依頼して弁護士基準で計算すると、それだけで慰謝料の金額が大きく上がりますし、過失割合を修正するとなおさら慰謝料が大幅に増額されるケースが多いです。交通事故で慰謝料請求するなら弁護士に依頼すべきです。
交通事故の慰謝料交渉を弁護士に相談するメリット
交通事故の慰謝料の示談交渉を弁護士に依頼するメリットを整理します。
弁護士基準で計算されるので慰謝料が大きく増額される
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する一番のメリットは、「弁護士基準」が適用されることでしょう。このことにより、ほとんどの人身事故のケースでは慰謝料が大きく増額されます。よほど小さい事故ならばともかく、多くのケースでは弁護士費用を払っても十分おつりがくるので、被害者の最終的な手取り額が上がります。
なるべく高額な慰謝料を受けとりたいならば、自己判断で示談してしまう前に弁護士に話を聞いてみるべきです。
労力が省ける
交通事故の示談交渉は、忙しくしている現代人にとって非常に労力のかかるものです。相手から連絡がなかったらこちらから連絡しないといけませんし、相手から連絡が入ったら電話に出て対応しなければなりません。相手から提案があれば、それが法的に妥当か検討する必要がありますし、こちらからの反論や再提案なども考えなければなりません。
このようなことが面倒になって、適当な条件で示談を成立させてしまう方もおられますが、それでは良い条件で示談することは難しいでしょう。示談交渉の専門家としての弁護士に任せてしまえば、依頼者自身は何もする必要がなくなって大きく労力を省けますし、粘り強く対応して高額な慰謝料獲得を目指せます。
有利に交渉できる
示談交渉では、ポイントを押さえた主張を行い、相手の主張に対する的確な反論を展開する必要があり、そうした対応ができないと有利な解決は不可能です。ところが被害者には専門知識もスキルもないので、自分で対応するとどうしても相手の保険会社の方が強い立場になってしまい、不利な状況に追い込まれがちです。
弁護士に対応を依頼すると、文献資料や過去の裁判例を調べたりして依頼者の有利になる要素を見つけてくれますし、専門家として上手に交渉を進めるので、依頼者の主張が通りやすくなり、その立場が有利になります。
精神的なストレスもかからない
交通事故の示談交渉は、非常に大きなストレスがかかるものですが、弁護士に依頼すると、依頼者は自分で保険会社と直接話をする必要がなくなり、ストレスからも解放されます。
慰謝料を含めた損害賠償の問題に不安がある場合にはいつでも弁護士に相談してアドバイスをもらえるので安心感を得られて治療や日常生活、仕事などにも専念しやすいです。
過失割合が適正になる
交通事故で賠償金の金額を算定するとき、「過失割合」は非常に重要な要素となります。被害者が自分で示談交渉をすると、被害者の過失割合を高くされて不当に慰謝料を減額されることも多々ありますが、弁護士に依頼すると、適正な数値が適用されて、結果的に賠償金額が上がるケースも多いです。
交通事故の慰謝料交渉を弁護士に相談するデメリット
交通事故慰謝料請求を弁護士に依頼するとデメリットはないのでしょうか?以下で、考えられるものをあげて検討しましょう。
費用がかかる
まず、弁護士に依頼すると弁護士費用がかかります。世間では弁護士というと「高額な費用がかかる」というイメージも強いので、依頼を躊躇される方も多いでしょう。
しかし交通事故では、弁護士基準と任意保険基準の大きな差があるため、多くのケースでは弁護士に依頼することによって賠償金が大幅に増額されます。弁護士費用が増額された金額の2割程度だとしても、増額した金額の8割はそのまま被害者の手元に入ってくるのです。そこで弁護士に依頼すると、弁護士費用を支払っても得になる可能性が高いです。
また自動車保険に「弁護士費用特約」がついている場合には、特約を利用すると、300万円までは弁護士費用がかからなくなりますし、無料相談や着手金無料に対応している弁護士もたくさんいます。このように、今は安く弁護士に依頼できる方法がいろいろあるので、「弁護士は高い」と決めつける前に、是非とも一度、弁護士相談を受けてみましょう。
弁護士を探す手間がかかる
弁護士に交通事故の対応を依頼しようとすると、弁護士を探す手間がかかります。弁護士の知り合いなどいないし、面倒なので自分で解決してしまおう、という方も多いでしょう。
しかし、今はネットを使って簡単に弁護士を探せます。弁護士事務所のウェブサイトを見ると、交通事故に力を入れている弁護士かどうかもはっきりわかりますし、プロフィールの詳細も載せていたりするので弁護士選びに苦労はしません。メールや電話一本で簡単に無料相談の申込みができてしまいます。
昔のように、知り合いの伝手を頼ってようやく弁護士にたどり着く、という時代ではなくなっているので、是非とも一度、ネットで交通事故に強い弁護士を検索してみてください。
交通事故の慰謝料交渉は弁護士に相談を
交通事故で恐ろしい目に遭って苦痛を伴う怪我をしたら、きちんと慰謝料を支払ってもらうべきです。ましてや後遺障害が残ったり被害者が不幸にも死亡してしまったりした場合には、どれだけお金を支払ってもらっても購うことはできないでしょう。
現在の法律の制度によると、弁護士に依頼すると弁護士基準が適用されて、慰謝料が大きく増額される仕組みになっています。不合理かもしれませんが、弁護士に依頼するかしないかだけで慰謝料の金額が大きく変わってくるのです。
人身事故の被害者の正当な権利を守るためには弁護士の力を頼る必要があります。交通事故に遭われたならば、まずは交通事故に力を入れて取り組んでいる弁護士を探してアドバイスを受けるところから始めてみて下さい。
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