交通事故で被害者が死亡した場合~加害者の責任・処罰と慰謝料・損害賠償の相場

交通事故

交通事故で死亡事故が起こった場合には、誰が示談交渉をするのか、どのくらいの賠償金を請求できるのかが問題です。死亡事故の場合、死亡慰謝料や過失割合の点で被害者側が不利になってしまうこともあります。有利に示談交渉を進めて損をしないためには弁護士に対応を依頼することが大切です。加害者側になった場合には、刑事責任や行政上の責任にも注意が必要です。

死亡事故とは

交通事故の中でも、死亡事故とはどのような事故なのでしょうか?

そう言われたら、「被害者が死亡した事故」と答えることでしょう。確かにその通りですが、交通事故の死亡事故は、死亡したタイミングで取扱いが多少異なります。事故が起こって即死した事案と、しばらく入院などによって治療した後に死亡する事案があるからです。

即死事故の場合には死亡と事故との因果関係が問題になることもありませんし、損害の項目も少ないです。

これに対し、事故後相当な期間が経過してから死亡した事案では、死亡と事故との因果関係が問題になることがあり得ますし、死亡するまでの期間の休業損害や治療費、入通院慰謝料などの損害も発生します。ひと言で死亡事故とは言っても、いろいろなパターンがあることを押さえておきましょう。

死亡事故が起こった場合の加害者の責任

次に、死亡事故が起こった場合、加害者にはどのような責任が発生するのかを確認しましょう。

交通事故の加害者には、大きく分けて行政上の責任と刑事責任、民事責任が発生します。そして、法的や制度的に課されるものとは違いますが、相手を死なせてしまったということで、道義的な責任も負うことになります。以下で、それぞれについて見てみましょう。

行政上の責任

まず、行政上の責任があります。これは、平たくいうと免許の点数の問題です。日本の免許制度では、道路交通法違反や交通事故を起こすと、免許の点数が加点されていく方式になっています。そして、免許の点数が一定以上になると、免許停止処分を受けたり免許が取り消されたりして、運転ができなくなります。

また、点数が高くなると、免許の欠格期間が発生します。欠格期間というのは、その間は免許を取得することができない期間のことです。たとえば、死亡事故を起こして免許取消となり、欠格期間1年になったら、取消後1年の間は免許を取ることができなくなります。

刑事責任

死亡事故を起こしたら、刑事責任も発生します。刑事責任とは、刑事事件になって処罰される場合の責任です。つまり、警察に逮捕されて裁判にかけられて、有罪判決を受けることです。

有罪になったら、罰金や懲役、禁固などの刑罰を受けますし、一生消えない前科がついてしまいます。

交通事故の場合でも、傷害事件や窃盗事件と同じ「前科」がつくので、注意が必要です。死亡事故は結果が重大なので、刑事上の責任を見逃してもらえずに裁判になってしまう事例が多いですし、最近は交通事故への厳罰化がすすんでいるので、重い刑罰が科される可能性があります。

民事責任

死亡事故を起こしたら、民事責任が発生します。民事責任とは、被害者に対する損害賠償責任のことです。

交通事故で被害者が死亡したら、被害者には多大な損害が発生します。まず、死亡したことによって精神的苦痛を被るので死亡慰謝料が発生しますし、死亡したことによって将来得られるはずだった収入が得られなくなって逸失利益が発生します。

葬儀費用も損害内容となります。このような死亡事故の場合の賠償金は1億円や2億円を超えてくることもあるので、加害者は、非常に大きな責任を負うことになります。

道義的責任

死亡事故を起こしたら、加害者は道義的な責任も負います。

道義的責任とは、行政罰や刑事罰などの法的な罰ではありませんが、社会的に責めを負うという責任です。たとえば、新聞で報道されて社会内で批判をされたり、会社にいづらくなったり家族が近所で肩身の狭い思いをしたり、子どもが学校でいじめられたりする、というような不利益があります。

どこへ引っ越しをしても、なぜか噂が回ってしまい、落ち着いて生活することが難しくなるケースもあります。何より、自分(加害者)自身が一番辛く、一生「人を死なせてしまった」という重荷を背負い、自分を責め続けてしまうこともあります。

人を死亡させたということは、それだけ重大な結果を発生させてしまったということなので、重い道義的責任が発生するのもやむを得ないことです。

交通死亡事故で加算される点数

運転免許証

それでは、交通事故で人を死亡させると、免許の点数はどのくらい加算されるのでしょうか?

基本的に加算される点数

まず、交通事故で人身事故を起こすと、安全運転義務違反となって、2点が加算されます。そして、相手を死亡させた場合には、基本的に20点が加算されて、その時点で免許取消になってしまいます。この場合の免許欠格期間は1年です。

危険運転や道路交通法違反がある場合

また、死亡事故でも特に危険性の高い運転によって相手を死なせた場合には、さらに高い点数が加算されます。危険運転致死の場合には、62点が加算されるので、免許が取り消しになることはもちろんのこと、欠格期間が8年となります。

飲酒運転の場合には、35点が加算されるのでやはり免許取消となります。このとき、死亡事故の点数20点と合計して55点画家算されるため、免許の欠格期間は7年となります。ひき逃げをすると(救護義務違反)、やはり35点が加算されて、死亡事故の分と合わせて55点が加算され、7年の欠格期間が発生します。

以上のように、死亡事故を起こすと基本的に免許取消になること、他の交通違反があるとさらに重い処分を科されることを、押さえておく必要があります。

交通死亡事故で加害者に与えられる処罰は?

取り調べ

過失運転致死罪(自動車運転処罰法5条)

次に、交通事故で被害者が死亡した場合に加害者に与えられる刑罰の内容を確認しましょう。

このとき、通常の交通事故のケースでは、過失運転過失致死罪が適用されます(自動車運転処罰法5条)。過失運転致死罪が適用されるのは、運転車が通常有するべき注意義務を怠ったケースですが、その場合の過失墓なり広く認められます。たとえば、脇見をしていて歩行者をはねて死なせたり、前方をよく見ていなくて前のバイクに衝突して死なせたりすると、この罪が成立してしまう可能性があります。

過失運転致死罪の法定刑は、7年以下の懲役または禁固、100万円以下の罰金刑です。

危険運転致死罪(自動車運転処罰法2条)

死亡事故の中でも、特に危険な運転をしていた場合には、さらに重い罪が課されます。この場合には危険運転致死罪となります(自動車運転処罰法2条)。

危険運転致死罪は、故意やそれに近い重大な過失にとって車を運転して交通事故を起こしたケースです。たとえば、飲酒状態で車を運転していたり、無免許で車を運転して交通事故を起こしたりした場合には、危険運転致死罪が適用される可能性が高いです。

危険運転致死罪の法定刑は、1年以上の有期懲役となります(20年以下)。

死亡事故を起こした場合、危険運転致死罪になると必ず懲役刑になる

通常の過失運転致死罪なら罰金や禁固刑になる可能性もあるのと比べて、非常に刑罰が重くなっていることがわかります。

また、同じ懲役刑になった場合でも、過失運転致死罪なら執行猶予がついて実際には刑務所に行かずに済むパターンも多いですが、危険運転致死罪になると、まず執行猶予はつきません。危険な運転で人を死亡させた場合には、殺人にも近い感覚で取り扱われ、何年もの間刑務所に行かなければならない可能性が高くなるので、絶対にそのようなことをしないことが重要です。

死亡事故の場合の刑事裁判手続き

在宅での捜査が行われることもある

死亡事故を起こすと、刑事事件になって裁判になる可能性が高いです。そこで、事故後の刑事裁判の流れについて、簡単にご説明します。交通事故で相手を死亡させた場合、まずは警察に逮捕されることが多いです。

ただ、逃亡のおそれがなく、証拠隠滅のおそれなどもないケースでは、勾留が行われずに2,3日で釈放されることもよくあります。ただ、釈放されたからといっても、無罪放免になったわけではありません。その後も警察や検察が事件についての捜査を進めます。また、逮捕後の勾留が続くケースもあります。

突然検察庁から呼び出される

そして、被疑者(加害者)に対する取り調べが行われます。勾留されている場合には引き続いて取り調べが行われますが、身柄拘束されていない場合には、検察庁に呼出を受けるおことになります。この呼出のタイミングは、交通事故から数ヶ月以上が経過していることもあり、加害者にとってみると、「突然で非常に驚く」ことが多いです。身柄拘束されている場合には、勾留期間が20日までなので、その期間内に行われます。

起訴されて刑事裁判になる

そして、その後検察官が、やはりこの事件は刑事裁判にすべきだと判断したら、起訴されて刑事裁判になります。身柄拘束が続いているようなケースでは、ほとんどの場合に刑事裁判になります。起訴されたら、身柄拘束されている場合には、保釈ができるようになるので、保釈金を積んでいったん社会に戻ることができます。

刑事裁判では、交通事故事件についての審理が行われて、加害者が有罪なのかどうか、どのくらいの刑罰を適用すべきかなどが決められます。関係する証拠を調べて、最終的に被告人質問をして、検察官と弁護人が最終の意見陳述を行い、裁判は結審します。

判決が言い渡される

結審すると、だいたい1ヶ月くらいで判決が言い渡されます。判決において、被告人が有罪なのかどうか、有罪だとしたら何罪になるのか、またどのくらいの刑罰が適用されるのかが告げられます。ここで、裁判官が懲役1年と言ったら、1年間刑務所に行かなければならないということです。刑事裁判を有利にすすめるためには、刑事事件に強い弁護士に対応してもらうことが重要です。

死亡事故で請求出来る賠償金の種類

お金

次に、視点を変えて、被害者が加害者に対して行う民事責任追及について見てみましょう。死亡事故の場合、被害者は加害者にどのような賠償金を請求することができるのでしょうか?これについては、葬儀費用と死亡慰謝料、逸失利益があります。また、事故後治療を続けてから死亡した事案では、治療費や入院雑費、付添看護費や休業損害、入通院慰謝料なども発生します。治療費や休業損害、入通院慰謝料などについては、人身事故(傷害)のケースと同じです。以下では、葬儀費用と死亡慰謝料、死亡逸失利益について見てみましょう。

葬儀費用

死亡事故が起こると、被害者の葬儀をしなければなりません。このときにかかる葬儀費用は損害賠償の対象になります。葬儀費用として支払いの対象になるのは、以下のような費用です。

  • 遺体の運搬用
  • 火葬代
  • 葬儀社の費用
  • お布施や読経料、戒名の費用
  • 墓地、墓石代
  • 初七日や四十九日などの法要の費用

法要については、四十九日までの分が認められるのが普通です。金額としては、相場が150万円となっていますが、合理的な理由がある場合には、それ以上の費用支払いが認められることもあります。

また、香典を受けとってもその分差し引かれることはありません。損害が発生したときに利益を受けるとその分を賠償額から差し引くことを「損益相殺」と言いますが、香典をもらっても損益相殺はしない、ということです。逆に、香典返しをしても、その分が損害として加算されることもありません。香典については、損害賠償とはまったく別個の問題だと受け止められている、ということです。

死亡慰謝料

被害者が死亡したときには、死亡慰謝料も発生します。死亡慰謝料とは、被害者が交通事故で死亡したことによる精神的苦痛に対する賠償金のことです。被害者が死亡すると同時に遺族に相続されるので、遺族が死亡慰謝料を請求できると考えられています。

また、自賠責保険の場合には、遺族にも固有の慰謝料が認められます。任意保険基準や弁護士基準でも遺族の慰謝料はありますが、多くのケースでそれは本人の慰謝料に含まれるものとして計算されています。

逸失利益

死亡事故が起こると、逸失利益も発生します。逸失利益とは、交通事故で被害者が死亡したことにより、事故後に得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入のことです。たとえば、今20代で就職していた人なら、生涯に数億円の収入を得る可能性も合ったはずですが、死亡するとそれらの収入が全て無くなるので、逸失利益となります。

生活費控除

ただし、生きて働いていたら、その分生活費がかかるはずですが、死亡事故の場合、被害者は生活費がかからなくなります。そこで、逸失利益計算の場合には生活費を控除しなければなりません。

事故当時働いていた人に認められる

また、逸失利益は、本来得られるはずだった収入のことですから、これが認められるためには、事故当時に働いていて収入があった必要があります。たとえば、サラリーマンや個人事業者などの場合には、逸失利益が認められやすいです。無職無収入の人には逸失利益が認められませんし、収入があってもマンションの賃貸収入のような不労所得の人には、やはり逸失利益が認められません。

主婦や幼児、子どものケース

ただし、専業主婦などの家事従事者の場合には、家事労働に経済的な価値があると認められるので、逸失利益が認められます。この場合には、全年齢の女性の平均賃金を用いて逸失利益を計算します。

幼児や子どもの場合にも、事故時には収入がありませんが、将来収入を得られる蓋然性が高いので、逸失利益が認められます。この場合、男児には男性の平均賃金、女児には女性の平均賃金を用いて計算することが基本ですが、そうなると、男児と女児とで金額に不均衡が起こってきます。

日本では、女性よりも男性の方が平均賃金が高額になっているからです。そこで、女児の逸失利益を計算するときには、男女の平均賃金を採用することが多いです。

さらに、逸失利益計算の際には、中間利息を控除する必要があります。将来収入を得る場合には、一括で受けとるのではなく何年もかけて順番に受けとっていくものですが、逸失利益として支払いを受ける場合には、まとめて一括で受けとることになるので、その分の利息を控除する必要があるからです。そのため、ライプニッツ係数という特殊な係数が用いられます。

死亡慰謝料の計算方法

次に、死亡慰謝料の計算方法をご説明します。死亡慰謝料の計算基準には、自賠責基準と任意保険基準、弁護士・裁判基準があります。自賠責基準が最も低くなり、任意保険基準が中くらい、弁護士・裁判基準が最も高額になります。以下で、それぞれの計算方法による死亡慰謝料の金額を見てみましょう。

自賠責基準

まずは、自賠責基準による死亡慰謝料です。

この場合、本人の慰謝料は、一律350万円

どのような人でも同じです。そして、遺族がいる場合には、遺族固有の慰謝料が認められます。遺族固有の慰謝料は、遺族の人数や、被害者に扶養されていた人がいたかどうかによって、異なります。

基本的には、遺族が1人なら550万円、2人なら650万円、3人なら750万人です。被害者に扶養されていた人がいた場合には、遺族が1人なら750万円、2人なら850万円、3人なら950万円となります。自賠責保険で遺族固有の慰謝料が認められる遺族の範囲は、配偶者と子ども(養子や認知した子ども、胎児を含む)、親(養親を含む)です。

任意保険基準

次に、任意保険基準による死亡慰謝料を見てみましょう。これについては、被害者がどのような人であったかによって金額が異なります。任意保険会社によって細かい数値は異なりますが、だいたい以下のようになります。

任意保険基準による死亡慰謝料
一家の大黒柱の場合 1700万円程度(1500~2000万円)
配偶者の場合 1450万円程度(1300~1600万円)
18歳未満で未就労の場合 1400万円(1200~1600万円)
高齢者(65歳以上)の場合 1250万円(1100~1400万円程度)

弁護士・裁判基準

さらに、弁護士・裁判基準による死亡慰謝料の金額を見てみましょう。これについても、被害者の立場によって金額が変わってきます。具体的な数値は、だいたい以下の通りです。

弁護士・裁判基準による死亡慰謝料
一家の大黒柱の場合 2800万円〜3600万円程度
母親や配偶者の場合 2000万円〜3200万円
独身の男女の場合 2000万円~3000万円程度
高齢者の場合 1800万円〜2400万円程度
子どもの場合 1800万円〜2600万円程度

幅のある数字となっているのは、裁判が起こったときに事案の個別の事情を勘案して適切な金額を認定しているためです。

逸失利益の計算方法

次に、死亡逸失利益の計算方法をご紹介します。以下の通りの計算式で計算できます。

「事故前の基礎収入(年収)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」

事故前の基礎収入とは、交通事故前に実際にかせいでいた収入のことです。そこで、事故前の収入が高かった人であるほど、逸失利益の金額は上がります。生活費控除率は、被害者の属性によって変わります。一家の大黒柱の場合には30〜40%、女性(女児や主婦を含む)の場合には30〜40%、男性の単身者(男児を含む)の場合には50%となります。

また、逸失利益は就労可能年数までの分が認められるので、若い人ほど逸失利益の金額は上がります。被害者が若く、年収も高い人であった場合には、逸失利益の金額が1億円を超えてくることも珍しくありません。

死亡事故で損害賠償請求ができる人

請求権を取得するのは相続人

次に、死亡事故のケースでは、誰が損害賠償請求をすることができるのかを見てみましょう。

人身傷害事故や物損事故の場合には、被害者が生きているので自分で相手に対して損害賠償請求をしますが、死亡事故の場合には、被害者は死亡しているので、自分で賠償請求することができません。この場合には、遺族が賠償請求をすることになります。これは、被害者の損害賠償請求権が遺族に相続されるからです。

一般的に相続というと、預貯金や土地などの目に見える財産のことを思い浮かべることが多いかもしれませんが、損害賠償請求権などの権利も相続の対象になります。そこで、死亡事故が起こると、被害者の法定相続人が損害賠償請求権を相続します。

法定相続人の範囲と順位

法定相続人は、民法によってその範囲と順位が定められています。まず、配偶者は常に法定相続人となります。

第1順位の法定相続人は子どもなので、被害者に配偶者と子どもがいた場合には、配偶者と子どもが法定相続人となります。この場合、配偶者と子どもが相手に対して賠償金の請求や示談交渉をします。

被害者に子どもがいない場合、親が第2順位の法定相続人となるので、配偶者と親が法定相続人となります。この場合には、配偶者と親が相手と示談交渉をして賠償金請求の手続をすすめます。

被害者に子どもも親もいない場合には、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になります。そこでこの場合には、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となり、連携して相手に賠償金の請求をしなければなりません。これらの法定相続人の範囲は、自賠責保険の遺族固有の死亡慰謝料の範囲とは異なるので、混乱が起こることもあります。

法定相続分に応じて分ける

また、法定相続人には法定相続分があるので、賠償金を受けとった場合には、法定相続分に応じて賠償金を分配する必要があります。配偶者と子どもが相続人なら双方が2分の1ずつとなります。配偶者と親が法定相続人になる場合には、配偶者が3分の2、親が3分の1となります。配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になる場合には、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。

このように、死亡事故が起こると、そもそも誰が賠償請求できるのか、賠償金を受けとることができるのか、さらにはどのようにして賠償金を分配すべきかについて、当事者が正確に把握しておらず、手続きがスムーズに進まないことが多いです。この点は死亡事故の難しさの1つとなっているので、正確に理解しておく必要がありますし、弁護士の助けを借りる必要性が高い部分でもあります。

被害者の遺族が取るべき対応

お葬式

次に、死亡事故が起こった場合の被害者の家族がとるべき対応について、まとめます。特に即死事案の場合には、事故の知らせが突然やってきます。通常は警察などから知らせが届くでしょう。このことで、家族は動転してしまうことが普通です。ただ、少し気持ちを落ち着かせたら、まずは事実確認をすべきです。そして、死亡事故が本当であることがわかったら、自動車保険の会社に連絡を入れましょう。

本人の遺体確認などをしたら、すぐに葬儀の準備を進めないといけません

病院で死亡診断書を書いてもらい、死亡届を提出して火葬証明書をもらいます。葬儀社と打ち合わせをして葬儀を済ませたら、49日の法要までの期間はすぐに過ぎてしまいます。家族が死亡して大変なショックを受けていますが、やるべきことがたくさんあって、何も考える暇もなく時間が経っていくでしょう。

49日が終わると、だんだんと日常生活を取りもどしながら、相手との示談交渉の準備を進めていかないといくことになります。家族が死亡した心痛で示談のことなど間が宅はないかもしれませんが、賠償金を受けとらないということは、被害者の権利を実現しないということですし、亡くなった被害者も報われないので、被害者のためにも正当な権利行使は行うべきです。

保険金の請求で必要な書類

遺族が相手の保険会社に保険金の請求をするときには、必要書類があります。

具体的には、

  • 保険金の支払い請求書や交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 死亡診断書(死体検案書)事故前の収入の証明書(源泉徴収票や確定申告書など)
  • 印鑑証明書
  • 身分証明書
  • 戸籍抄本
  • 委任状

が必要です(自賠責保険のケース)。

死亡事故の場合には、遺族が複数いて賠償金の請求権者が数人いることが多いですが、原則的に代表者を1人さだめて、他の請求権者全員による委任状と印鑑証明を提出する必要があります。

示談交渉を始めるタイミングは?

次に、死亡事故の場合に示談交渉を始めるタイミングについて、見てみましょう。死亡事故が起こると、遺族は大変な精神的苦痛を被るので、示談交渉のことなど考えたくないということが多いです。確かに、死亡した翌日や葬儀の最中などに、相手が示談交渉の連絡をしてくることなどは、通常ありません。多くのケースで、だいたい四十九日の法要を過ぎた頃に示談交渉を開始します。

ただ、このタイミングで必ず示談交渉を開始しなければならない、という意味ではなく個別の事案の状況によってはそれより遅くしてもらうこともあります。四十九日法要は、あくまで目安と考えましょう。

相手が示談交渉を急いでくるケース

死亡事故が起こると、相手(加害者)が示談交渉を急いでくるケースがあります。これはいったいどのような理由によるものでしょうか?

加害者は自分の刑事裁判で有利になりたいため

実は、このことは加害者の刑事裁判と関係しています。死亡事故を起こすと、加害者は刑事責任を負うので、刑事裁判になる可能性が高いです。この刑事裁判において、被害者と示談交渉ができていると加害者は有利になります。たとえば、示談交渉ができていなかったら懲役1年の実刑になってしまう場合でも、示談ができたら執行猶予がついて刑務所に行かなくてよくなるケースもあります。

しかも、示談は刑事裁判が結審するまでに成立させないと、判決で勘案してもらうことはできません。そこで、加害者は自分の刑事裁判で有利になりたいために被害者に示談を急がせてきます。

このようなケースでは、被害者は加害者の都合に合わせる必要はありませんから、特に示談を急がなくてもかまいません。ただ、相手も気の毒だと思っていたり、特に示談内容に疑義がなかったりするケースでは、示談をしてもかまいません。大切なのは、どうして相手が示談を急いでいるのかという理由を理解して、その上で自分が良いと思う判断をすることです。

損害賠償請求権の時効は3年

死亡事故が起こると、被害者の遺族としては、事故を忘れたいのでなるべく関わりたくないと考えることがあります。相手との示談交渉も、いずれはしないといけないと重いながらも、気が重くなるので放置してしまうことがあります。このように、示談交渉をしないで長期間が経過すると、示談ができなくなってしまうおそれがあるので、注意が必要です。

このことは、損害賠償請求権の時効と関係します。交通事故が起こったときに相手に賠償金を請求できる根拠は、損害賠償請求権です。ところが、この損害賠償請求権には時効があります。その期間は3年ですから、交通事故発生と加害者を知った時点から3年が経過すると、もはや相手に損害賠償請求することができなくなります。

示談交渉は、相手に対して話合いで損害賠償請求をする手続きですから、事故後3年が経過すると、相手から賠償金(示談金)を支払ってもらえなくなるということです。

被害者が死亡したのに、1円も受け取れないということになると、被害者は本当に救われませんし、遺族もさらに大きな苦痛を被ることになるでしょう。後に後悔をしないためにも、死亡事故が起こったら、早めに示談交渉に臨むことが必要です。

死亡事故では過失相殺が不利になる?

過失割合が高くなると、賠償金を減らされる

死亡事故の場合、人身傷害事故にはない注意点があります。それは、過失相殺の点で被害者が不利になることが多いことです。

交通事故では、加害者と被害者の双方の過失割合を決めます。多くの交通事故では、どちらかが一方的に100%悪いということは少なく、たいていの場合にどちらにも一定の過失が認められるからです。そして、被害者が相手に請求出来る賠償金の金額は、被害者の過失割合の分は減額されてしまいます。

たとえば、賠償金額が8000万円でも、被害者の過失割合が2割なら8000万円×(1-20%)=6400万円になってしまう、ということです。そこで、交通事故では、自分の過失割合を低くすることが重要です。

死亡事故では本人が主張できないことが問題

しかし、死亡事故の場合には、被害者が死亡しているので、被害者自身に事故状況の確認をすることができません。そうなると、加害者の一方的な言い分によって事故状況が決定されて、過失割合が決められてしまうことが良く起こります。こうした場合、被害者の過失割合が不当に高くなって、相手に請求できる賠償金の金額が大きく減らされてしまうことになります。

死亡事故で過失割合を適切に認定してもらう方法

そこで、死亡事故で相手と示談交渉を進めるときには、過失割合の認定を適切に行うことが重要です。証拠としては、たとえばドライブレコーダーの記録や、事故現場の防犯カメラ映像、目撃者、実況見分調書などがあります。

ドライブレコーダーは、交通事故状況の把握に役立つので、是非とも登載しておくと良い

事故現場が公道や駐車場、マンションや店舗の近くで防犯カメラ映像が残っている場合には、そのカメラの設置者に話をして、映像をダビングさせてもらうことができるケースもあります。事故の目撃者を探して、見つかったら話をして陳述書などを確保しておくことも必要です。

弁護士に依頼して、刑事記録の実況見分調書を取り寄せると、事故の詳細な状況がわかって適切な過失割合の認定に役立ちます。以上のように、死亡事故の被害者が有利に過失割合の話合いをすすめるためには、弁護士に依頼する必要性が高い部分が多いです。

死亡事故の賠償請求の進め方

次に、死亡事故が起こった場合の賠償請求の進め方をご説明します。

示談交渉

交通事故が起こったら、まずは相手の保険会社と示談交渉をします。遺族が複数いる場合には、代表者を定めて話し合いをすすめましょう。示談交渉によって、損害賠償金額や過失割合について協議が整ったら、その内容で示談書を作成して、賠償金の支払いを受けることができます。賠償金が支払われたら、基本的には法定相続分に従って相続人らが分配します。

調停、ADR

示談によっても話合いができず、解決ができない場合には、調停やADRを利用することができます。

調停とは

調停とは、簡易裁判所で行う話合いの手続きです。この場合、調停委員会が相手との間に入ってくれて、話し合いをすすめてくれます。相手と直接顔を合わせないで済むので感情を抑えやすいですし、調停委員会から和解案の提示なども受けられます。このようなことにより、お互いが合意することができたら、その内容で調停が成立して、交通事故問題が解決されます。

調停が成立したら、その後速やかに相手の保険会社から賠償金の支払いを受けることができます。この場合にも、法定相続人が法定相続分に応じて賠償金を分配します。

ADRとは

ADRとは、裁判外の紛争解決手続きです。交通事故のADRとしては、交通事故紛争処理センターのものや日弁連の交通事故相談センターのものが有名で実績も多数あり、おすすめです。

ADRでは、センターの担当弁護士が和解をあっせんして話し合いをすすめてくれますし、話合いができない場合には、審査請求をして、センターで決定を出してもらうこともできます。審査決定の内容に納得ができたら、その内容に従って相手から賠償金の支払いを受けることができます。

訴訟

調停をしても意見が合わない場合やADRによっても解決ができない場合には、訴訟によって賠償金の請求をしなければなりません。示談が決裂した時点で、調停やADRをせずにいきなり訴訟をすることも多いです。訴訟とは裁判のことで、交通事故の場合には損害賠償請求訴訟となります。

損害賠償請求訴訟では、遺族全員が原告となります。また、訴訟を有利にすすめるには、適切に法的な主張と立証を展開しなければなりません。素人では対応が難しいので、弁護士に対応を依頼することがほとんど必須になるでしょう。

訴訟によって裁判所が事実認定を行ったら、最終的に判決が下されます。これにより、最終的に賠償金の金額が決定します。判決が出たら相手の保険会社はこれに従うので、速やかに賠償金の支払いを受けることができます。支払われた賠償金を遺族で分けたら、ようやく交通事故問題が解決されることになります。

死亡事故では弁護士が必要!

弁護士

死亡事故は重大で対応が難しい!

交通事故の中でも、死亡事故は非常に重大な事案です。損害賠償金額も大きくなりますし、賠償金の計算方法も複雑です。さらに、誰が請求権者になるかという問題もありますし、遺族がまとまらないケースなどの問題もあります。

被害者の過失割合を大きくされがちなので、そのような問題に対応する必要もあります。相手(加害者)の刑事事件との関連での問題も起こります。家族が亡くなって大きな心痛を抱えた状態で、このような問題にすべて遺族だけで対応することは、負担が大きすぎます。そこで、死亡事故の場合には、弁護士に対応を依頼すべきです。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼すると、相手との示談交渉はすべて代行してくれますし、被害者が有利になるような証拠を集めて法的に適切な主張をするので、被害者が不利になることはありません。過失割合も適切に認定してくれますし、高額な弁護士・裁判基準で賠償金を計算してくれるので、請求できる賠償金の金額も上がります。遺族が直接相手と話をしなくて良いので、遺族の精神的苦痛も和らぎます。

死亡事故でかかる弁護士費用

そうなると、気になるのが弁護士費用でしょう。交通事故の弁護士費用は、どのくらいかかるのでしょうか?

法律相談料

まず、法律相談料が発生します。
これは、弁護士に交通事故の相談をする際にかかる費用です。だいたいどこの事務所でも30分5000円(+税)となっています。

着手金

次に、着手金が発生します。
これは、弁護士に示談交渉などの手続を依頼したとき、当初にかかる費用です。通常は一括払いするものであり、後に戻ってくることは予定されていません。交通事故の示談交渉の場合、着手金はだいたい10万円~20万円くらいです。

報酬金

さらに、報酬金も発生します。これは、事件が解決したときに、その解決内容に応じてかかってくる弁護士費用です。交通事故の示談交渉の場合には、回収できた示談金の10%~15%くらいが報酬金になることが多いです。

弁護士費用特約とは?

このように、交通事故で弁護士に依頼すると、基本的に弁護士費用がかかりますが、弁護士費用特約をつけていると、その負担がなくなります。

弁護士費用特約とは

自分の自動車保険につけておく特約で、交通事故にかかる弁護士費用を自分の保険会社が負担してくれるものです。被害者が加入していた自動車保険に弁護士特約がついていたら、遺族は弁護士費用を支払わなくても弁護士に示談交渉を依頼することができます。

弁護士費用特約は、ただでさえ自分が加入していても気づかないことが多い特約なので、死亡事故の場合には、遺族がこれに気づかないケースがさらに多くなります。死亡事故が起こったら、示談交渉を開始する前に、まずは弁護士費用特約がついているかどうかを確認して、ついているようなら忘れずに特約を使って弁護士に対応を依頼しましょう。

弁護士費用特約を使う場合でも、依頼する弁護士は自分達で選ぶことができます(保険会社から指定された弁護士を強制されるわけではありません)。

以上のように、死亡事故が起こったら、弁護士に対応を依頼して示談交渉を進めていくことが非常に重要です。すぐに示談に取り組みたくなくても、損害賠償請求権には3年の時効があるので、いずれは示談交渉しなければなりません。信頼できる弁護士を探して依頼したら、遺族の負担はかなり軽くなります。今、家族が死亡事故に遭って悩んでいる方は、まずは一度、交通事故に強い弁護士に対応を相談すると良いでしょう。

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